少々唐突ではあるが、結論を申し上げてしまおう。2022年4月1日(金)に公開される映画『モービウス』はかなり面白い。傑作とまでは言わないが、マーベルファンなら観ておいて損はしない良質な作品だ。
ストーリーや映像美もさることながら、本作の中心にいたのは間違いなく主演のジャレッド・レト。彼が扮する『モービウス』は、今度のマーベルユニバースに大きな影響を与える……かもしれない。
・モービウスとは
まずは『モービウス』のキャラクターとストーリーについてざっと説明しておこう。主人公のマイケル・モービウスは、幼い頃から血液の難病を患っている天才医師。コミックではスパイダーマンに登場するヴィラン(悪役)だが、根っからの悪人ではない。
自分のため、親友のため、難病の治療法を探すモービウスは、危険を顧みず自身の体にコウモリの血清を投与する。実験は成功かと思われたが、超人的な能力と併せて “大きな代償” を払うハメになってしまった。
その代償とは、抑えがたい血への渇望。予期せぬ形で “現代版ヴァンパイア” となったモービウスの運命は? その頃、ニューヨークの街では、次々と全身の血が抜かれた殺人事件が起きていた──。
・単純なヒーローではない
要するにモービウスは後天的に能力を得ており、その点はスパイダーマンと一緒。また、ヒーローなのかヴィランなのか立ち位置が掴みづらい点は、さしずめ “ダークヒーロー” といったところだろうか。
さて、基本的なストーリー自体はシンプルなので、特に「モービウスを観る前にコレを見ておいた方がイイよ!」という作品は無い。強いて言うなら「スパイダーマン:ホームカミング」になるが、マーベル映画を初めて見るという人でも十分に楽しめるハズだ。
・ジャレッド・レト、怪演
本作で個人的にもっとも感心したのは、ジャレッド・レトのなりきりっぷり。例えば、難病を患っている状態と能力を得てムキムキになった状態は全く違うモービウス医師であるが、どちらも見事に役柄に入り込んでいた。これはキャプテン・アメリカが血清を打つ前と後くらいの変貌っぷりである。
さらに言うと、医師として人間として善良なモービウスが、吸血鬼としての欲望と葛藤しているシーンなどは非常に見ごたえがあった。さすが実力派で知られるジャレッド・レトである。そりゃ、キャメロン・ディアスやスカーレット・ヨハンソンも惚れますわ。
・華麗なるリベンジを果たす
で、ここからは個人的な想いが強くなってしまうが、映画を観終わった際に真っ先に感じたことは「ジャレッド・レトのリベンジが成功したな」ということ。リベンジの相手は、2016年公開の映画「スーサイド・スクワッド」である。
同作で故ヒース・レジャー以来のジョーカーを演じたのは、何を隠そうジャレッド・レト。彼が演じるジョーカー自体は悪くなかったが「スーサイド・スクワッド」がヒドすぎたあまり、結果的にジャレッド・レトも高く評価されることはなかった。
当時は「ジャレッド・レトは大物だけど、アメコミ映画と相性が悪いのか?」なんて声もあったが、本作『モービウス』でジャレッド・レトは会心の演技を見せている。能力や存在感も含め、ジャレッド・レトが演じる『モービウス』はかなり魅力的なキャラクターだ。
・ユニバースは気にするな
ちなみに「モービウスはどのユニバースに属するのか?」と気になるファンも多いと思うが、1つだけ言えることは「マルチバースの扉が開いてしまった以上、それを考えるのは無意味」ということ。現時点では何もわからないが、モービウスが何かの作品にひょっこり現れたとしても何ら不思議ではない。
というわけで、少なくともマーベルファンなら押さえておきたい映画『モービウス』。ジャレッド・レトの怪演に見入ってしまうことだろう。映画『モービウス』は4月1日(金)公開だ。
参考リンク:映画『モービウス』公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
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