グルメライター格付けチェック──。それはグルメライターたちが己のプライドを賭けて勝負する “正真正銘のガチ企画” である。敗者は妙に口数が少なくなり、何より疑心暗鬼に陥ってしまう。笑顔の裏で毎回数名が涙を流している、実に恐ろしい企画なのだ。
さて、グルメ記事をお届けするグルメライターたちの味覚は本当に信用できるのか? 早くも第4回目を迎えた『グルメライター格付けチェック シーズン2』は、春らしさ全開の和菓子「桜もち編」をお届けしたい。
・和菓子が難しい理由
あくまで個人的な感覚になってしまうが、和菓子も見極めが非常に難しいお題の1つである。最大の理由は安い方の和菓子がとんでもなく進化しているためで、今どきコンビニやスーパーで「おいしくない和菓子」を見つける方が難しい。
また、最高級和菓子も「1つ1万円」なんてことはあり得ず、高いと言ってもせいぜい数百円程度。普段と比べると価格差はごくわずかで、しかも安い方も普通に美味しいから困ってしまう。ズバリ、和菓子はかなりの難題だ。
・高い方を当てろ
さて、ここで『グルメライター格付けチェック』のルールをおさらいしておこう。参加者は目隠しをしたまま “超高級食材” と “普通の食材” を味見し「どちらが高いか?」を当てる。ウマいマズいは関係なく「高い方」を当てれば正解だ。
今回用意した超高級食材は、約90年の歴史を持つ東京・神保町の名店「ささま」の桜もちで、価格は1つ360円。多くの和菓子好きから「手土産ならささまで間違いない」と絶大な支持を得る、超有名和菓子店である。というか、1つ360円の桜もちとは……恐ろしい。
もう一方はスーパーで購入した桜もちで、こちらは2個入で267円。つまり価格差はざっと3倍弱という計算になるが、果たしてグルメライターたちは見事に「ささま」の桜もちを見極めることができるのだろうか?
・悩める挑戦者たち
和菓子が好きでも「しょっちゅう桜もちを食べる」という人は、ほとんどいないハズ。そういう意味でも難しいお題ではあるが、グルメライターたちのジャッジはというと……。
P.K.サンジュン:B 「難しい、非常に難しい。香りも餅もさほど変わりはないけど、違うのはあんこかな。Aはねっとり、Bはなめらか。上品な小豆の風味を感じたのはBだった。ただコレという決め手までは無いんだよなぁ……でもあんこの風味を信じてBにしよう」
中澤星児:B 「Aだけ食べた感じだとこっちがコンビニっぽい気がするな……。って、マジか。全然わからない。Aは香りが強く、Bはあんこがなめらかで、外側のもちが米のつぶつぶが強い。うーん、でもAは香りが強すぎる気がする。Bの方が上品でウマいと思うし、これは自信あるかも」
原田たかし:A 「Aは口の中で渋滞を起こしてましたね。弾力というか、もち米のウマさを感じました。一方のBはスルッと飲み込めたんですが、やや物足りないというか。あと、あんこもAの方が上品で僕好みでした。年配に優しい理論でいうとBなんですが、Aのかつてない弾力を信じてAでお願いします」
砂子間正貫:B 「Aはもち米の粒感を感じましたが、逆に言うとそこだけかなと。正直そこまで高い気はしないですね。Bは口に入ってきた瞬間、センサーが反応しました。あとBの方が上品ですし。老舗とスーパーでこんなに違うのかと驚きました」
あひるねこ:B 「桜もちとしか言いようがないな……わかるワケがねえ。両方食べた感じだと、甘さの程度の同じくらいなんだよな……。ただ味は違う。香りも味も強いのはBで、Aの方が全体的に淡泊。正直わからないから、勘でB」
和才雄一郎:A 「結構自信あるかもしれない。答えはAです。香りだけにフォーカスしたら、完全にAでした。スーパーとかコンビニのレベルって高いから、味ってそこまで変わらないんじゃないかと思うんです。ただ香りは誤魔化せないと思うので……これはAでしょう」
亀沢郁奈:B 「桜もちって生れて初めて食べるわ。正直、あんこの違いはわからなかったし、餅は若干Bの方が美味しかった。ただ何より違ったのは葉っぱ。葉っぱが美味しかったのがB。ちゃんと葉っぱを食べさせようという心意気を感じたよね。私が好きなのはB」
Yoshio:B 「AはおいP。……って、BもおいP。あー、これはわかんねえ。うわ、ムズ! 難しすぎてウケるわ(笑)。うーん、両方ウマいんだけど、Aは桜が主張しすぎてる気がする。Bは手作り感があって、Aはちょっと工場っぽい感じがした。手作り感を信じてBにする」
難問だったため、もっと大きく割れるかと思われていたが、結局のところは2対6で収まった。ただこれくらい難しいと少数派の勝利も十分にありえるが……
どうなんだ!
どちらが超高級桜もちなんだーーーー!!!!!
正解は……
B!!!!!! Bが360円の桜もち!!!!!!!!!!
オッケェェェエエエエエエ! 桜もちはかなり難しく、中でもあひるねこは10分以上も桜もちを食べ続けていた。即答していたのは砂子間くらいだったので、やはり和菓子は「難題」と言って良さそうだ。
正解で3勝0敗: 中澤「Aは香りが強すぎる」
正解で3勝0敗: 砂子間「こんなに違うものかと驚きました」
正解で3勝1敗: サンジュン「あんこの風味を信じてB」
正解で3勝1敗: Yoshio「手作り感があったのはB」
正解で3勝1敗: 亀沢「葉っぱが全然違った」
正解で1勝1敗: あひるねこ「最後は勘でB」
不正解で2勝2敗: 和才「香りは誤魔化せない。ゆえにA」
不正解で2勝2敗: 原田「かつてない餅の弾力を考慮してA」
というわけで、激戦が続くグルメライター格付けチェック。抜け出すのは誰なのか? 逆に脱落するのは? 次回はこれまた難問の調味料から「オリーブオイル編」をお届けする予定だ。続報を待たれよ。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.