2022年3月3日から全国のはま寿司にて「はま寿司 春のとろ祭り」が始まった。今回は色々な寿司ネタのトロがテーマのようだ。メニュー的に、目玉は「大切り びんちょうまぐろ」や、「焼津産 一本釣りとろかつお」などなのだろう。
しかも、多くのネタが税込み110円で提供されるっぽいところも気になる。場合によっては神フェアな可能性も無くはないだろう。クオリティをジャッジすべく、さっそく食べに行くことに。
・14皿
ということでいつも通り、主だったものを片っ端からオーダー。今回は全部で14皿だ!
まずはフェアの本命からレビューしていこう。「大切り びんちょうまぐろ(110円)」。
「大切り」と名乗った以上、サイズのジャッジは厳しめになる。どの程度か伸ばしてみると、そこそこ長いことが発覚。もうちょっと幅があれば、より「大切り」感が出てグッドだが、及第点だと思う。
いや、これで1皿1貫110円であることを考えれば、コスパ的には中々のものか。味のクオリティに関しては可も無く不可もなく。平均より少し優等生みたいな感じだ。
・鰹(かつお)について
続いては「焼津産 一本釣りとろかつお(110円)」。さて、鰹の寿司はどこでも定番だが、しかしほとんどの場合、それは表面を炙られた鰹のたたき。完全に生な刺身が乗った寿司はあまり見ない。
鰹は傷みやすくクオリティの維持が難しいしな。普通に新鮮でも、他の魚より生臭くなりがちだ。それこそ獲れたてをパーフェクトに血抜きして、すぐに食べられるような環境でなければ、たたきにしておくのがベターだと思う。
しかし、今回 はま寿司は生の刺身を寿司に乗せてきた。しかも「とろかつお」だという。
これが俗に「トロ鰹」と呼ばれるもののことであれば、昨年の秋から冬あたりに獲れた、冷凍の戻り鰹ではないか……と推測する。
カツオのシーズンは基本的に年に2回。春から夏にかけてと、秋から冬にかけて。前者で獲れるものが上り鰹で、後者が戻り鰹だ。
基本的に、上(のぼ)り鰹はそこまで脂が乗っていないが、身が締まっていて歯ごたえが良く、さっぱりしている。対して戻り鰹は太っており、脂が乗りまくっているのが普通。
・トロ鰹とは
そしてトロ鰹とは、一般的に、この太った戻りガツオのことを指す呼称……だった気がする。(マグロのトロ的な感じで)脂が乗っていますよ的な。
もしかしたら間違っているかもしれないが、筆者の知る限りでは「トロ鰹」というブランドだとか、あるいは戻り鰹の特定の部位のみを指す言葉ではないと思う。
ということで、要は生の戻り鰹だと思うのだが、これを良いクオリティで出すのは非常に難しいだろう。はま寿司は、やれるのか?
ビジュアルはこの通り、すさまじい真紅。まるでルビーのように透明感のある濃い赤だ。それにしても、なんだか初鰹(シーズン最速で水揚げされた上り鰹)みたいな透明度だな。
色はともかく、気になるのは盛大に垂れてきている血が混じった水。解凍を急ぎすぎたのだろうか? ちょっと気がかりだが、食べてみよう。
……なるほど。ちょっと食感が微妙で、味もブラッディだ。例えるなら、親知らず抜歯後4日目くらいの、吸うと微妙にまだ出血する段階の口内のテイストみたいなそういうアレ。
食感については、やはり解凍に失敗した感。味も、鰹にしたってブラッディすぎる気がする。さすがにハズレではなかろうか? 圧倒的な下ブレ個体をひいた可能性を考慮し、2皿目をオーダー。
今度は1皿目よりも不透明だ。水も垂れていない。食べてみると、ああ、ほど良い感じ。
これは、当たり外れがデカいのかもしれない。しかし、回転寿司で生のトロ鰹にチャレンジした漢気は評価したいと思う。
あまり期待せず1皿頼み、いい感じのが出てきたらリピってみるのが良いと思う。どうやったって生の鰹は難しいと思うので、ガチャ運と厨房スタッフの解凍スキル次第ではないかなと。
あるいは、柚子胡椒と合わせられたら、多少のクオリティのブレはカバーできるんじゃなかろうか。ワサビよりも、鰹の臭みには柚子胡椒だと思う。どうだろう。
・輝いたのはまさかの
という感じでその他も食べたのだが、はっきり言って今回は寿司の中で「これだ!」というものが無かった。いや、不味かったとかではなく、全てが100点満点中70点とか75点とかそれくらいな感じで、おおよそイメージ通りな感じ。
ネタ的に期待を超えるポテンシャルを秘めているのは「とろかつお」だと思うが、それについては上述の通り。いやー、ちょっと今回はエンターテインメント的にシビアな展開だった。
それにしても、14皿も脂多めなネタを食うと、さすがにちょっと魚の脂がクドい。
最後に味覚をリセットしてから帰りたい。おっ? あさりバター醤油ラーメン(506円)とか、良さそうやん。
ラーメンうめぇぇえええ!!!
魚脂魚脂した舌に、良い感じでジャンク感あるしょっぱさが心地いいぜ! 地味にアサリの出汁がよく出ている。硬めな麺も、柔らかいトロ系のラッシュのあとだと新鮮だ!
ぶっちゃけ、通常なら特別にピックアップする程かと言われるとそうでもない気がするが、トロ祭りの〆のラーメンはいつもより美味く感じた。
参考リンク:はま寿司
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼炙りとろ穴子。110円。かなり淡白で柔らかい。醤油の種類で味わいがとても大きく左右されると思う。あるいは、醤油よりも藻塩がいいかもしれない。炙りフレーバーの香ばしさが良い感じ。
▼とろ銀鱈。165円。ノーマルと
炙りがある。ノーマルはプニプニコリコリで美味い。タラ感ある。炙りは表面の締まりが増して、タラ風味が控えめになる。
まずはお得な「食べ比べ(308円)」をオーダーし、両方試すのがコスパ良いと思う。モノは単品も食べ比べも同じなので。
▼炙り豚とろ。110円。ノーマルの他に、柚子胡椒のせがある。柚子胡椒乗せの方がさっぱりしてて美味かった。酒のツマミ感がある。この柚子胡椒を「とろかつお」にもつけて欲しかった。
▼とろたくつつみ。110円。ノーマルとユッケがある。どちらも完全に酒のツマミ。
▼とろいくら。165円。どうやったって不味くはならないネタ。でも小さいので、コスパは良くない。
▼大切りみなみまぐろ 大とろ。308円。ノーマル、炙り、粗切り本わさびがある。前回のフェアでもあった「みなみまぐろ 中とろ」が「大とろ」に進化した。普通に美味い大トロ。