世界最大級のソーシャル系マッチングアプリと言われるTinder(ティンダー)。出会いを求める男女が集まっているはずのこのアプリだが、私(中澤)はTinderで出会えたことがない。あまりに日本在住の人とマッチングされないため、プロフ画像をちょいハゲ煉獄さんにしたことは以前の記事でお伝えした通りだ。
ぶっちゃけるともうどうでも良い。ほとんど女性のスナップ写真集と化している。世の中には綺麗な人がいるもんだなー。そんな感じでティンダーを見ていたところ、やたら見覚えのある顔が表示された。これ……亀沢さんじゃね?
・これがギャルか
職場で隣の席の亀沢さんはギャルだ。髪はいつもキラキラした色をしていて、まつ毛は天井を突き破りそうなほど上を向いているし、カラコンも何種類も使い分けている。
学生時代から常に日陰者である私は、全員に話しかけるような亀沢さんの出社風景を見る度、コミュ力の高さにビビらずにはいられない。これがギャルか。
しかし、考えてみると、亀沢さんの私生活は何も知らない。当たり前である。職場で席が隣なだけなのだから。ひょっとして出会いを求めているのだろうか。まさか告ったらイケるのか……?
・どうやったら出会えるのか
プロフ画像と名前を変えてティンダーからアプローチするのが最も王道だが、残念ながらティンダーで表示される相手はかなりランダム性が強い。距離を絞っていてもタイ在住の人とか表示されてるし。
つまり何が言いたいかと言うと、私のティンダーに亀沢さんが表示されたのは奇跡のようなものなのだ。クッ、どうやったら亀沢さんと出会えるんだ!? マジで出会う方法が分からない。
・ふんわり聞き出せないか
本人はすぐ隣にいるのに画面の向こうの亀沢さんは宇宙の彼方にいるようである。だが、このままiPhoneの画面を見つめていても事態が動くことはないだろう。そこで意を決し、亀沢さんを呼び出してみた。ふんわりティンダーの話を引き出せないだろうか。
「お越しいただきありがとうございます」
「どうしたん? あらたまって」
「あっ!」
「え?」
「月が綺麗ですね」
「月、見えんし」
「あれがベガ、そしてあれがアルタイル」
「今冬だし」
「見てごらん。君はあの星なんだよ」
「曇ってるがな」
・直球で聞いてみた
ダメだ。遠まわしに聞きだそうとしても全然らちが明かない。そこで直接聞いてしまうことにした。ティンダーに登録してます?
「ああ、したね」
──あっさり認めた! ティンダーの亀沢さんアカウントは本当に亀沢さん本人だったのである。
「出会いを求めてるんですか?」
「いや、セイジのプロフ見ようと思って」
「なぜ?」
「え? 煉獄さんにしたって記事で読んだから。面白いかなーって」
──なお、亀沢さんいわく「確認して満足したからもうアカウントは消した」とのこと。どうやら、出会い目的は皆無なようである。ドキドキして損した。
っていうか、発端が私自身やんけ! 捕捉したと思いきや、逆に捕捉されていた今回の件。1人相撲とはこのことか。お恥ずかCーッ!!
それにしても、誠にネットは壁に耳あり障子に目あり。マッチングアプリだけではなくSNSを使う際はご注意を。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだから。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.