毎年12月13日が来るたびに実感する。「また1年経ったんだな」って。5年前のこの日、私(佐藤)は冗談半分でポールダンススタジオに足を運んでいた。それが1年、また1年と経て、ついに5年も続いているとは。自分でも驚きである。
ダイエットのつもりだったのがすっかり夢中になり、今では生活の一部。週3回の練習を続けられている。43歳で始めてすでに48歳。もう50歳が見えているけど、成長や新しい可能性を感じ取ることができている。
・もう多くを望めない
昨年は「この先、そう長くは続けられないかもな」なんて思っていた。肩を痛めて、整形外科で診察してもらったところ『右肩関節周囲炎』と判明。いわゆる四十肩になっていたのだ。診察当初は就寝時に患部がうずいて仕方がなかった。
そして毎週通院してリハビリを受けることになった。これ以上、悪化させないためには肩回りの筋肉を鍛えて、あまり激しい運動をしないように注意しなければいけない。もう多くは望めないな。無理してポールダンスできなくなるなら、無理せず長く続けたかった。
150日間のリハビリを終える頃には痛みはなくなっていたけど、身体の使い癖も要因のひとつだから、またなってもおかしくない。とにかく細く長くポールダンスを続けていくんだ。それで十分だ。
・もしかして……
それでも習慣化した練習は毎週3回継続した。そうしたところ静かに雪が降り積もるみたいに、地道な練習がずっと自分に力を与えていたことに気づいた。前はできないと思っていた技や動きがちょっとずつちょっとずつ身についている。
2度と挑戦できないと思っていた「フェニックス」(背面スピンからポール上で逆立ち)という技ができるようになった。コレが原因で肩を痛めたはずなのに、できるようになってる!
前はもっとへなちょこだったはずなのに、手先足先までしっかり力が行き届くようになっている。撮影した動画を自分で見返しても、キレイになってきてるとわかるほどだ。
怖くて挑むことさえできなかったアクロバティックな技にも、チャレンジできるじゃないか。そのうちモノにできそうな段階まで習得しつつある。
もしかして、成長してるんじゃないの、俺?
・同じ歩幅でこのまま
大げさかもしれないけど、去年は本当にもうダメだと思っていた。これからは「老い」と向き合って、ゆっくりと坂道を降りて行こう。つまずかないように歩いて行こう。そう思っていたんだけどね。
コツコツ培った身体の方は「は? 爺臭いこと言ってんじゃねえよ。まだイケる」って言ってるみたいだ。
とは言ってもやっぱり無茶はできない。またどこかを傷めたら元も子もないから、とにかく同じ歩幅で歩いて行こう。
・ただコツコツと
そういえば、先日の漫才日本一を決める「M-1グランプリ2021」で『錦鯉』が最年長王者になった。私とそう変わらない歳の彼らが、勢いも実力もある若手コンビを下してトップを獲ったことがとても嬉しかった。めちゃめちゃ勇気をもらったよ! 同世代の人たちも同じように感じたはず。年齢を理由に諦めるべきではないなあって。
大きな成果がなくても、誰にも褒められることはなくても、やりたいことをやりたいように。ただコツコツと自分の道を突き進んでいく。多少つまずいても諦めないで。ただただ進んで行こう。自分の成長を、新しい可能性を感じられるはずだから。
来年と言わずに、今からやろう。
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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▼ポールダンスを始めて5年の動画(岡崎体育『おっさん』 2021年12月)
▼ポールダンスを始めて3年の動画(2019年12月)