繁華街や港町にポツンと存在する中華食材店が好きだ。
店員さんとお客さんは全員中国の方、値札や商品名にも日本語は一切ナシ。つまりすべてが中国語であふれている店内を見て回れば気分はまるで海外旅行。口に合うかどうかは置いておいて、ついなにかしら買い物をしてしまうのだ。
いつものように偶然見かけた中華食材店に入って物色していたところ、まるで週刊誌の表紙みたいな騒がしいパッケージのドリンクを発見した。なんの飲み物だかサッパリわからなかったのだが……つい勢いに飲まれて購入してしまったのだ。
・冷蔵庫の中で異彩を放つ
それは様々なドリンクがずらっと並ぶ冷蔵庫の中でひとつ、異彩を放っていた。
日本国内でもそうであるように、どの飲み物もパッケージには どんな飲み物であるか がひと目でわかるイラストが使われているのが一般的であるようだ。
しかし1つだけ黒ベースに赤&黄色の文字というゴシップ臭のする色づかいに謎のポーズの美女のパッケージ。怖いもの見たさでつい購入してしまったのだ。
245ml入りの缶の価格は、筆者が購入した店舗では150円(税込)。どう思うかは人それぞれだが、輸入にかかる費用も含まれていると思うと筆者個人としては安いと感じるかな。
・正体はココナッツのドリンク
改めて自宅に帰って観察してみたところ 冷蔵庫の中で表に出されていたのは実は裏面で、実際の表面にはココナッツのイラストが描かれていた。
Google翻訳の力を借りつつ読んでみたところ、海南というリゾート地で生産されている33年の歴史を持つココナッツのドリンク。着色料や防腐剤を一切使用していないという スキャンダラスなパッケージとはかなりギャップのある本格志向の商品のようだ。
気になる裏面の美女は徐冬冬(シュー・ドンドン)という中国の女優。「本物のココナッツミルク。私は子供の頃から飲んで大きくなりました」とのコメントが載っているらしい。
大きくなりましたって……
彼女がセクシーすぎるって話のことだろうか? それとも文字通り成長したってことだろうか??
あまりにもセクシーすぎる……。
……。
「どやさっ!!」
…………。
彼女の腕が細く長いということがよくわかった。
・よみがえった懐かしい記憶
いざ開封しよう見てみれば懐かしいタブの形状をしている。
こういったプルタブ式のフタは、日本では1980年代ぐらいまで主流だったらしい。外したあとのプルタブのポイ捨てによる事故が問題となり、現在主流であるステイオンタブ式に置き換わっていったんだとか。
うわ~っ! なんか楽しいいいいいぃぃぃ!!
注いでみれば、中に入っていたのは白っぽい液体。筆者がこれまで見たことがあるココナッツミルクとは異なり、トロみがほとんどない。
ココナッツミルクとは果肉(イラストで言う白い部分)を絞って出てきた液体に水などを加えて煮込み、水分を蒸発させ切ったものということだ。トロみがあって油分が多く、クリーミーという特徴を持っている。
筆者の想像ではあるのだが、このドリンクはシンプルにココナッツの果肉を絞った液体に水と砂糖を加えたもの ということなのではないだろうか。
なおドリンクは真っ白ではなく灰色がかっている。この色はココナッツミルクも持っている特徴。漂白剤を使用していない証拠でもあるらしいぞ。
ひと通り観察して怪しい飲み物ではないということがわかったところで安心して飲んでみよう。
ちなみに香りは無いに等しい。ほんの僅かに青臭い気もするが、揚げ足を取るような気持ちで注意深く嗅がない限りはまったく問題ない。
サッパリした飲み口だな。
アッ! これは!!
美味しい!!!!
サラッとしつこくなく、しかしクリーミーな飲みごたえと甘さがある。どこかで食べたことがある味なんだけど、なんだっけ??
──5分ほど考えて思い出した。コーヒーフレッシュだ。
お恥ずかしい話なのだが筆者は子供の頃、コーヒーフレッシュが好物であった。
体に悪そうなので滅多に買ってもらえなかったが、1日1個の約束でチビチビと舐めて楽しんでいた。正直ずっと忘れていたのだが、数十年の時を経て突然鮮明に記憶がよみがえった。
……しかしコーヒーフレッシュの味が好きという人は多くないだろう。つまり、日本人の大部分はこのドリンクが好きじゃないかもしれない。
個人的にはかなりオススメしたい味なのだが。
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
▼意外にも牛乳よりもヘルシー。100mlあたりのカロリーは約50kcal(表記は208kj)、脂肪は2.1g(4%)だ。
▼冷蔵庫に偶然使いかけのココナッツミルクがあったため味見してみたところ、断然濃くてクリーミーだったが青臭く、そのまま飲むもんじゃないな という感想だ。