ロケットニュース24

天草(てんぐさ)からところてんを作ってみたら、デザートからおかずまで万能すぎて感動!

2021年11月7日

先日イルカの刺身を食べるために和歌山県を訪れたところ、道の駅の売店で四角い袋に入った乾いた草みたいなものを見つけた。パッケージには「天草」との文字で、価格は38gが520円(税込)。

これは「あまくさ」ではなく「てんぐさ」と読むらしく、何かと思えば心太(ところてん)の材料となる海藻なのだそうだ。

えっ、嘘だろ~~!? こんな草が!?!? ……ちょっと信じられなかったのだが百聞は一見にしかず。実際に煮だして作ってみることにしたら……美味し&楽し過ぎて大の大人が思わずはしゃいでしまった!

・小さな海藻の集まりだった

さてこの天草、見れば見るほど……


ヘチマのタワシに見える。


付属の説明書によれば最初に水でふやかす必要があるらしい。よく見てみると10人前も作れるそうだ。多いな!!


ということで水をかけてみたところ……


一瞬でバラバラになった!!!!


こうして見るとヘチマじゃなくて小さな海藻の集まりであることが一目瞭然だ。まずは1枚口に入れてみたが、ゴリゴリと硬くて食べられたもんじゃない。まるでプラスチックを噛んでいるみたいだ。

本当にこれがゼリー状になるんだろうか……?


・ひたすら煮込むだけ

手順書通り、1時間ほど水に浸けた上で鍋を火にかけてみる。天草たちは見た感じまったくふやけている様子はなく、1枚食べてみたが食感はやはりプラスチックのまま。


変化が起きたのは茹で始めて1時間ほど経ってから。

水をつぎ足しながらもグツグツと沸騰させていたところ、だんだんトロみが出てきたのだ。しかも……

オブラートのような白くて薄い膜が鍋のフチに出てきた!!


ブクブク沸いてくる水蒸気の動きも鈍く、糊のような質感。いい感じ! と喜んでいたのだが、残念ながらちょっと目を離した隙に吹きこぼれてしまった。

こぼれた液はあっという間に冷えて固まって片づけに手間がかかった。火にかけた鍋から目を離してはいけない。深く反省しよう。


気を取り直して天草をザルにあげる。コンロで学習したが、すぐに固まってしまうためスピード勝負だ。

天草はすっかりやわらかくなり、濡れたティッシュのように簡単にちぎれる。が、出汁の抜けきった昆布のようであまり美味しくはない。


最後に布巾で濾(こ)して冷蔵庫で冷やせば完成だ! 時間はかなりかかったが、手順としては煮出して濾すだけなので簡単と言っても良いだろう。

液はだし汁のような黄金色。ところてんっていうよりもお味噌汁にしたくなる色であった。


・プリっと歯ごたえ

ここまで冷やす時間を含めて6時間以上。ようやく完成したところてんを食べてみよう! まずは程よいサイズに切りわけて、


天突(てんつき)というお馴染みの装置にセット。


ギュッと押し出す!!


押し出す!!!!!!!!!!


この感触癖になる!!!!!!!!!!


黒蜜ときな粉をかければ極上デザートの出来上がりだ!

なにもつけずに食べると臭くて酸っぱい気がしたのだが、黒蜜はすべてを包み込みつつも美味しさに昇華してくれる。昔から食べられているのにはちゃんと理由があるんだなぁ。

濃く煮詰まってしまったためか市販のものより歯ごたえがプリっと強く食べ応えがある気がした。柔らかさを調整できるというのは手作りならではかもしれない。


・味変の結果、オススメは……

さて。ところてんは美味しかったが10人前は伊達じゃなく、ご覧の通りまだまだ未加工の塊が残っている。全部をこのまま食べるといつかは飽きてしまいそう。


それならば味変をしてみよう! ってことでところてんに合いそうな3種類の食材を選んでみた。左から豆乳、リンゴジャム、コーヒーだ。


まずはコーヒーを淹れて、


ところてんの塊と一緒に加熱する。


ところがこの方法はマズかったらしく、ところてんが溶け切らないうちに水分が蒸発してしまったため最終的にできた液体は僅かこれだけ。

残る2つは先にところてんを溶かした上で味付けをすることとした。ところてんは一度固まると溶けにくい。今後ところてんを溶かす方の参考になれば幸いである。


味付けをしたところてんを、


天突きしちゃう!


まずはコーヒーからいただいてみる。

濃度を考えると嫌な予感しかしないが……


ゲェーッ! 苦いわッ!!!!!!!!


珈琲の酸味と苦み、ところてんの出汁と酸味、すべてが嫌な方向に際立っている。おまけに煮詰める時に焦げてしまったのだろう。焦げ臭さまで加わっているという残念なオマケ付きであった。

できれば二度と食べたくないし、もしも今後作る機会があるならばインスタントコーヒーで作りたい。わざわざドリップしたのに不味いなんてショック過ぎる……。


次にリンゴジャム。

無難に美味しいのではないかと思っているが……


あれ? リンゴ、どこ????


うっすらと甘酸っぱい味はするのだが、ちょっと量が足りなかったようだ。しかし実を言うとリンゴジャムは天突の網目に詰まって苦戦を強いられた一品。フードプロセッサーにかけるか、素直にリンゴジュースを入れる方が良かったかもしれないな。


最後に豆乳。

実は食べる前から勝算を感じている。というのも子供の頃豆腐が嫌いだった筆者は、寒天豆腐という商品にハマって豆腐嫌いを克服した過去があるのだ。醤油をかけて食べれば間違いなく美味しいだろうという自信がある。


……。

ホラ、やっぱり美味しい~!


大豆の風味がまったりとしていてクリーミー。天草の独特な香りもうまく和らげているように感じる。おかずところてんとしての新境地を開拓した逸品と言い切ってしまっても良いだろう。


筆者的に順位をつけるなら、通常のところてん → 豆乳ところてん → リンゴジャムところてん → コーヒーところてん の順に好きであった。通常と豆乳はかなり良い勝負をしていたと思うが、万人受けするのはやはり通常のところてんであろう。

なおアレンジ3種を作る際すべてに共通していたのが、ところてんの溶けにくさだ。たっぷりの水と一緒に加熱しても最後まで細かい塊が残ってしまったので、味付けをする場合は天草を煮出した液に直接味付けした方が美しく仕上がるのではないかと思う。


軽い気持ちで挑戦してみた天草を煮込んでイチから作るところてん。意外にも味付けを変えるだけでスイーツからおかずまで万能に活躍してくれることに気が付いてしまった。

しかもところてんとくれば、低カロリーで食物繊維たっぷりでダイエットや健康にまで良いときた。大きな声では言えないがところてんを食べ続けた数日間、筆者のお通じは尋常でなく改善したぞ。

500円前後でたっぷり10人前も手に入るので、時間がある方には是非チャレンジしてみてほしい!

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
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▼天突は業務用調理器具を扱う店舗にて偶然発見。運命を感じて即購入してしまった。

▼豆乳のパック。外付けのストローを挿すと蓋つきの注ぎ口が完成する。知らない間にこんなに進化していたとは……!

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