繰り返しの毎日。なんて色褪せた日々だ。しかし、よく考えたら、新宿二丁目の雑居ビルの一室にオッサン8人が詰め込まれてひたすら記事を書いているのだから当たり前である。編集部は今日も砂漠みたいだ。全員目が死んでいる。
この気分を上げるためにはオシャレしかないだろう。そこで編集部員全員でファッション対決してみることにした。予算は1万円。オッサン8人がGUで1万円コーディネート対決したらこうなった!
・GUだけでどこまでやれるか
安さで知られるGU(ジーユー)。ひと昔前なら安い服は品質の低さがバレるものも多かったが、今はそうとも言い切れない。私(中澤)は、最近、ファストファッションの店でしか服を買っていないが、正直「これで十分だな」と思うのだ。
しかしながら、量産型な雰囲気が拭えないのもまた事実。GUのみでどこまでやれるのかは未知数だが、逆に言うと、ガチのセンス勝負と言えるのではないだろうか。やれんのか! GU!
・審査員
なお、審査はファッションも取り扱っている姉妹サイトPouch(ポーチ)の女性記者、百村モモとあんすずの2名に評価してもらう形で競うぞ。
あんすずは、日本を代表する服飾の専門学校・文化服装学院の出身者でもあるので、一般的な女性目線の百村モモと両面からの評価と言える。すなわち負けた時の言い訳はできない。負けたら即シャバ憎のガチセンス勝負! レディーゴー!!
・1人目、中澤星児
テーマ「フォーエバー21」
こだわりポイント:パーカー
発色がキレイで見つけた時「勝った」と思いました。
審査員「めっちゃフォーエバー21(笑)」
中澤星児「靴もパンツも靴下も、もちろんリュックもGUです」
あんすず「靴下を見せてもらっていいですか?」
中澤星児「どうぞ」
あんすず「みじかっ!」
百村モモ「靴下だけめっちゃGUなのが惜しいですね」
──靴下ってくるぶし丈じゃないとダサイもんじゃなかったんけ? チラッとしか見えないし色は何でもいいと思っていたが、そういう部分もバッチリ見てくるところが流石女子である。そんな2人の私のGUファッション評は以下の通り。
百村モモ「若くて可愛い男子スタイルでまさに『フォーエバー21』という感じでした。いっしょにいると気持ちが明るくなる感じが素敵です。靴下のチョイスがフォーエバー21じゃなかったのが残念」
あんすず「リュックといい、パーカーといい、全体の色合いといい、リュックをギュッとあげているところといい、90年代テイストなアメリカの高校生みたいなかわいい色合い!
ユニコーンみたいなパープルのパーカーは、ちょっと前のブロンドヘアだったらもっと似合っていたかもしれない……!
個人的には、ちらっと見せた靴下……「短かっ!!!」と思ったのが減点でした(笑)靴はモスグリーンじゃなくて、黒に白い紐のコンバースのようなシンプルだったら、よりよかったなぁと思いました」
──思っていたよりガチの意見が来た。ちなみに、全部で税込9840円。やってみての個人的感想を述べると、オシャレ云々の前に、まず1万円以内でこれだけ揃ったことにビックリだった。
というわけで意外と選択肢が広いGU。しかしながら、私が最初なのは、全員の服を見た時に「1番手かな」と思ったからだ。GUでパーカーに出会った時は「勝った」と思ったが、私なんて全然甘かったのである。続々登場するファッションモンスターたち! GUのポテンシャルを感じたい人は次ページへ急げ!!
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
・【衝撃】オッサン8人がGUで1万円コーディネート対決した結果 → 審査員「マジで……?」(2ページ目)
評価のガチさは1ページ目で伝わったのではないだろうか。身をもって女子の審査の目を知ったからこそ、この後に続く者たちがどんな評価をされるのか私には全く予想がつかない。そんな中、自信満々だったのがP.K.サンジュンである。
・2人目、P.K.サンジュン
テーマ「スポーティーの秋」
こだわりポイント:パーカーとジャケット
動きやすく楽な服装でありつつ、ジャケットで “出来る感” を演出。結果、オシャレ番長になってしまった。
──大学にこういう人いたな。個人的にはそんな感想である。特にジャケットにパーカーを合わせるというのがそれっぽい。ロケットニュース24編集部メンバーの間では「ナチュラル」と評価されたP.K.サンジュン。審査員の待つ部屋へ入室する際も堂々としたものである。
が……!
審査員「マジか……」
百村モモ「全体的に安っぽくて、それぞれの服を選んだ理由が「寒いから」「暑いから」で、見た目よりも着心地を優先しすぎた結果、オシャレがテーマなのにかけ離れてTHE休日のお父さんのファミレスに見えました」
あんすず「家でゆっくりくつろいでいたのに、急に「遊ぼうよ!」と言われて、着替えるのもめんどいしな~、とりあえずジャケット着てこ~と出てきた感(笑)
これでデートに来られたら、「あれデートってこと、忘れてたのかな…」とちょっとショック。改善点としては、パーカーがなければまだマシですかね……。スポーティーさというより、部屋着感が出てました……」
──ケチョンケチョンに言われとる! 隣で聞いている私までヘコんでしまうレベルだった。もうやめてあげて。とっくにサンジュンのライフはゼロよ。
しかし、それでこそ全うな評価が得られるというものだ。では、編集部員の間でイケメンかつオシャレと名高いあひるねこはどうか?
・3人目、あひるねこ
テーマ「超シンプル」
こだわりポイント:バルーンパンツ
シンプルながらもオーバーサイズで今っぽい感じにしました。
──うわー! いそう!! なんか渋谷とかにいそうな感じになってる! ダボッとした感じも若者っぽい。自分で選んだと思えないくらいの調和力だ。これシンプルに見えてできへんでえ! 本命の登場やー!!
審査員「マネキンの着てる服を上から下までそのまま買ったみたい」
百村モモ「“オシャレ” がテーマと考えるとちょっと物足りない! と思いました。オシャレだけどGUの枠から出ない量産型系でした」
あんすず「可もなく、不可もなく、ザ・平均点。あひるねこさんはGUの回し者なんじゃ? というくらいGUを推して、推して、推しているコーデ。ディテールにこだわっているところは好印象ですが、狙っている感がだんだんチャラく見えてきました……(笑)」
──君ら、ええ加減にしいや。でも、なんかスッとしたわありがとう。
雰囲気イケメンにも誤魔化されなかった女子たち。はたして、我々の中に高評価を受けられる人はいるのだろうか? むしろ、そっちの方が気になってきたが、ここで登場するのが我らが創始者Yoshioである。
・4人目、Yoshio
テーマ「真夏の秋」
こだわりポイント:コーデュロイのジャケット
本人コメントまだまだ秋も暑い。そんな秋でもさらっと着こなせるアイテムで全体をコーディネート。この格好でキャンプしたい。ちなみに夜に近づくにつれ寒くなったらジャケットで。
──普段からオシャレなYoshio。ジャケットに短パンを合わせるという発想にセンスが感じられる。ちょっと踏み外したら事故りそうなコーディネートを攻めていけるのは流石と言えるだろう。これは本気や! 眠れる獅子がついに本気を出したでえ!! 全力ガチ100%でYoshioが攻める!
審査員「ロンT後ろと前間違ってない?」
百村モモ「同系色でバランスよく、雰囲気がオシャレでした! スボンを折るこだわりも足長効果とのことで、組み合わせだけじゃなく着こなしも考えていて凄い! ただキャンプでその短パンは寒いだろうなと思った」
あんすず「オーバーサイズのアウターをポイントにおいて着ていたのですが、アウターがないほうがオシャレに見えた。オーバーサイズって着せられている感が出ることもあるんだなと私も学ぶことができましたね(笑)
ショートパンツと靴のバランスが良いため、おっしゃっていたようにスラッとスッキリ見えました。ロンTを後ろ前に着ていたお茶目さも最高でした」
──褒めているようで、よく見たら褒めてない! キャンプで短パンが寒いとかそっとしといてあげてよ!! あと、あんすずは言い方! ハッキリ「着せられてる感出てますよ」って言われた方がまだマシだから!!
全員に付き添っていると、もうオシャレって何なのか分からなくなってきた。この状況に続くのが、副編集長・和才雄一郎である。
・5人目、和才雄一郎
テーマ「むっつりオシャレ」
こだわりポイント:着心地の良さと清潔感の両立
もっとも重視したのは着心地の良さ。裏を返すと、パッと見はファッションにこだわりが無いように見える。だが、分かる人には分かる。さりげないオシャレというか、「実はオシャレ」と言われるのを意識した。
──私にはなんか普通のように見える。実はオシャレ……なのか? 私はよく分からないのだが、審査員には伝わるだろうか。
審査員「おっ……!」
百村モモ「P.K.サンジュンさんと同じ色合いだけどちょっと白カーディガンがあるだけでオシャレな風が吹き抜けると学びました。ちょいちょいこだわりのオシャレポイントが伝わってきました」
あんすず「トレンドのシェフパンツを取り入れていて好印象! ホワイトのカーディガンがぼやけてしまうインナーたちの色を締めている。あえてカジュアルに崩したようなコーデが今ドキっぽい! 靴下にポイントを持ってきているのに、見えないところが惜しかったです」
──初めて裏のない褒め言葉が! どうやら本当に分かる人には分かる何かがあったようである。ともかくこれはチャンスだ。このドサクサに紛れて砂子間イッケェェェエエエ!
・6人目、砂子間正貫
テーマ「中東のセレブ」
こだわりポイント:ダークブラウンで高級感を演出
カタール空港のラウンジで海外セレブと談笑するイメージ。サングラスとサンダルも込みで1万円以内は激アツだが、サングラスが試着できなかったから不安。
審査員「金持ってそう……!」
百村モモ「色の組み合わせと皮サンダルのバランスが知らないけど “中東のセレブ” を感じました。意外性とテーマがちゃんとあっていて、迫力あるオシャレを感じました! ダーク系のジャケットとタートルネックの雰囲気もかっこよかったです!」
あんすず「登場の際のポーカーフェイスが、空港でプライベート旅行が見つかったときのスターみたいだった。
少しうさんくさくも見えるけど、落ち着いた色合いでダンディさグイグイ。ホテルのラウンジでワイングラス片手に持ってそう。サンダルに抜け感が出てて◎ 強いて言うなら、インナーを明るくしたらフレッシュが出たのかな~と」
──なんと褒められてしまった。オシャレって何だろう……? 危うく根源的な疑問を感じてしまったことはさて置き、お次は編集長のGO羽鳥の登場だ。
普段から何かとディテールにこだわっているGO羽鳥。ロケットニュース24編集部の中で最も自分に合うファッションを選ぶのがウマイ印象だ。オシャレの方向性もユニクロを着こなすタイプなのでGUはお手のものだろう。
・7人目、GO羽鳥
テーマ「ちょっとよそいき」
こだわりポイント:小物
お金があまったのでサングラスやバッグも買いました。GUって安いなぁ~。
──なんかうさん臭くなっている気もするが、砂子間を経た今、オシャレな気もする。1つ1つは普通な気もするが、全部合わさった時に妙なオーラが出ている気もする。正直に言うともう何も分からない。そんなGO羽鳥について審査員の判断は如何に!?
審査員「品質にこだわってそう」
百村モモ「オシャレなひとの休日を感じました! サングラスもあって顔まわりの雰囲気が怖いけど、上半身が白系で爽やかな雰囲気があり全体のバランスがいいー! ビッグトートバッグがあることで雰囲気やわらかく見える! 植物大事にしていそう」
あんすず「清潔感があって、丁寧な暮らしをしていそう(本屋さんとか、お花屋さんを巡ったあとに、ピクニックに連れて行ってくれそう)。トータルでかわいらしいのですが、サングラスでちょっと男らしさも出ていたり、外すのが上手!
パンツの丈感がちょっと気になったのと(足首が見えるギリギリがよかった)、スニーカーはもう少し遊んでもよかったのでは、なんて思ったり……!」
──もはやこれにアドバイスできることが凄い。
さて、宴もたけなわ。この記事も5000文字。ここまで読んだ人お疲れ様でした。ついにラスト。佐藤英典の登場です。オシャレなイメージのない佐藤英典。むしろ、ファッションについてはナチュラルにYoshioにバカにされることもあるレベルなのだが……
GUでよくそのコーデできたな!
・8人目、佐藤英典
テーマ「秋」
こだわりポイント:オーバーオール
普段はあまり選ばないモノをチョイスしてみました。全体的に秋のトーンをイメージ。ちょっぴりセンチメンタルな気分です。
──落ち葉が似合いそうな服装は、言われてみたら確かに秋っぽいかもしれない。GUのマネキンとかのイメージとは全然違うのに、全体のコーディネートがストンと落ちるべきところにハマっている感じがする。これについての審査員評価は……
審査員「可愛い……!」
百村モモ「GUだけ・・・? 嘘だ! 見えないです!!! オーバーオールの着こなしと合わせたシャツの組み合わせがテーマの秋にちゃんと合っているだけじゃなく、カーディガンを腰に巻くことでオシャレ度もアップしている! 皮素材の帽子の組み合わせもバッチリで、全体的にGUに見えず高見えしている」
あんすず「かわいい~~~オシャレ~~~~! バケットハットがレザーで、オーバーオールがコーデュロイで、腰にはニットを巻いて……と素材がぜんぶ違うユニークさが最高!
バラバラの素材も季節感のあるカラーでまとめていて、オシャレ感度高い~! と思いました。オーバーオールの裾を太めに折り返しているのもツボでした。佐藤さんが選んだ靴も見たかったな~!」
──と、奇跡の大絶賛であった。さて、これで全メンバーが出そろったわけだが、想定外のファッションモンスターたちの登場に白熱する審査員席。はたして、栄冠は誰の手に?
今回のGU1万円コーディネート対決で2名の審査員が選んだ勝者は……
佐藤英典!
マジかよ……! と言いたいところだが、個人的にも負けて悔いなしだ。GUのポテンシャルについて考えさせられたし、何より似合っていたしな。
ぶっちゃけ、控室で着替えた時点で負けた気がしていた。今回の結果については文句なしだと思う。最後に審査員を務めてくれた2人に総評を聞いてみたところ……
百村モモ「「GUなのに!」という驚きと、黒に逃げない感じが大事かなと思って見ていたんですが、みんな意外とちゃんと選んでてビックリしました」
あんすず「GUだけと思えないコーデがいっぱいあって楽しかったです」
──とのこと。私自身、服を選んでいる時、みんな同じような感じになることを予想していたので今回の結果には驚いた。8人いれば8通りの着こなしがある。
GUのポテンシャルを思い知らされた今回の1万円コーディネート対決。さて、あなたは誰のコーディネートが好きだっただろうか。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.