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便利すぎる食品用ポリ袋「アイラップ」調理が進化している! 中華料理を作ってみたらまさかの「炒めない炒飯」誕生!!

2021年8月30日

昭和時代から抜け出てきたようなレトロなパッケージに、かつては売上のほとんどを北陸と山形で占めていたという不思議なポリ袋「アイラップ」。過去記事でも詳報したとおり、食品の保存、調理、災害時の備えまで「なんでもござれ」のすごいヤツだ。

そんなアイラップ調理のレシピ本が好調らしい。昨年発売の『アイラップレシピ』はAmazon防災関連本ランキング1位、先ごろ発売した『ポリ袋でレンチンおかず 電子レンジでこんなにおいしい!』も早々に重版になったという。

ちらりと中を見てみたら、炒飯や回鍋肉のような中華料理まで電子レンジでできるだと? 高火力で鍋を振ることが美味しさの秘訣だというのに!?


・炒飯に挑戦

今回参照したのは『ポリ袋でレンチンおかず 電子レンジでこんなにおいしい!』(しらいのりこ著)。同じメニューでも袋の口を開けるか、結ぶかなど、書籍によって微妙な違いがある。

共通する注意事項として、耐熱温度に気をつけることや、必ず耐熱皿を使うこと、爪で破かないようにすることなどがあるだろう。アイラップの耐熱温度は120℃もあり、一般的なラップよりは溶けにくいが、直接熱源に接するような使い方はNGだ。

ためしに炒飯を作ってみよう。炒飯なんて作り方こそシンプルなものの、使い込んで油の染みた中華鍋、業務用の高火力、鍋をガシガシ振る腕力が必要なプロ料理の代表格だが……。炊いたご飯はあらかじめ用意。

詳細は書籍をご覧いただきたいのだが、驚いたのが最初に卵を軽くレンジ加熱すること。袋に直接入れて指で押しつぶすので、お椀や菜箸などは必要ない。

そこにご飯とネギ、チャーシューを入れる。実は本書では「レンチンチャーシュー」の作り方もレクチャーしていて、それを刻んで使うことになっているのだが、今回は作っていなかったので割愛。市販のベーコンを使った。

そもそもチャーシューを自分で作るほどの料理好きなら、ポリ袋調理はしないはず……と言い訳しておく。料理嫌いの筆者に必要なのは「時短」であり「簡略化」である。

味つけは鶏ガラスープの素を中心に、醤油やごま油など。全体をゴムべらで混ぜることになっているのだが、筆者は手で外側からガシガシとほぐす方がやりやすかった。ここでもまた洗い物が減った。

あとは耐熱ボウルを受け皿にして、電子レンジで加熱。


加熱後のアイラップや耐熱ボウルは火傷しそうに熱く、袋の口から出てくる蒸気も高温なので、ミトン必須である。

うむ、見た目は本当に炒飯である。炒めていないのに炒飯を名乗っていいのか迷うが、100人に聞いたら99人が「炒飯だ」というだろう。

1口食べてみると……やはり炒飯である! いうならば「プロが中華鍋で作った炒飯」にはかなわないが、料理下手が「家庭のフライパンで作ったムラのある炒飯」に比べたら遥かに美味しい!

味の混ざり具合、火の通り具合など、とにかく「安定している」印象なのだ。

卵に関しては、そぼろ状になるので塊(かたまり)があるし、「米粒がふわりと卵の衣をまとって」とはならない。けれどご飯はパラパラで、黙って出したら「フライパンかレンジか」なんてわからないのでは。

これは時短、手間の軽減、洗い物の軽減、美味しさなど、すべてにおいて実用性あり! である。


・それなら回鍋肉はどうか

続いて回鍋肉に挑戦。こちらも時短を極めるためにカット野菜を用意した。ただし分量は正確に守った方がよいそう。こまめに計量することが勧められている。

というのもレンジの加熱時間は食材の種類と分量で厳密に決まるそうで、「テキトーに」は通用しない。微妙な火力の調整ができないレンジ調理の特徴といえるだろう。

味つけは味噌や豆板醤、にんにくなど。筆者はすべて混ぜてしまったのだが、ペースト状になって混ざりにくかったので、別々に入れる方がいいかもしれない。書籍では料理番組のように、ひとつひとつの調味料を小皿に分けていた。

豚肉を含め、材料をすべてアイラップに投入したら……


袋ごと振る!


あとは指定の時間、電子レンジで加熱。どのメニューでも必ず耐熱ボウルを受け皿にするのだが、液もれしても安心だし、安定感が出る。上手くいけば耐熱ボウルはまったく汚れず残ることになる。

途中で1度、中身をかき混ぜる工程がある。ゴムべらで……と記載があるのだが、「袋を破かず」かつ「均等に」混ぜることが難しかったので、ここでも筆者はミトンで完全防備して袋を振った。食材は高温になっているので火傷に注意。

食器に移したら完成である! お味の方は……


うん、しっかり回鍋肉だ! そもそも回鍋肉は「茹で豚を鍋に戻す」のが語源らしく、現在では定義が難しいようだが、少なくとも「肉野菜炒め」として美味しく出来上がっている。豚肉なので火の通りが心配だったが、ちゃんと加熱されている。

まんべんなく混ざっているか半信半疑だったものの、味もしっかり馴染んで、味噌のまろやかさが舌に優しい。

中華鍋やフライパンに比べると、おそらく野菜のシャキシャキ感は残っていない。この部分だけはフライパンの勝利かな……と思っていたが、後片付けの段階になって思い知る。


最大の恩恵は……油でギトギトになったフライパンが残らないことである!


・災害時の備えにも

洗剤で食器を洗うことと、ポリ袋を使い捨てること、どちらが環境負荷が高いのか筆者にはわからないが、洗い物が断然に少なくなり、後片付けが簡単である。調理ばさみを使えばさらに調理器具が減るだろう。

人は無意識に「やり慣れた方法」を選ぶから、ついつい感覚的に使えるフライパンを取り出してしまうが、手順に慣れたら圧倒的にラクかもしれない。

過去記事でも取り上げているとおり、アイラップは「湯せん」も得意だそう。手が汚れず、また1度沸かした湯を何度も使えることから、水の貴重な災害時にも活用できるという。


『ポリ袋でレンチンおかず 電子レンジでこんなにおいしい!』(しらいのりこ著 / 単行本1518円)は電子レンジ調理に特化した1冊。エスニックからシーフード、和食まで毎日の食卓料理のバラエティを増やすイメージ。

一方の『アイラップレシピ 簡単・時短・手間いらず』(アイラップ愛好会著 / 単行本1540円)は災害時やキャンプなど、限られた資源で調理する方法にも多くのページをとっている。「ズボラ」というカテゴリーまであるぞ。

ともに電子書籍版もあるので、目的に応じてご利用いただきたい。


参考リンク:岩谷マテリアル株式会社、Amazon『ポリ袋でレンチンおかず 電子レンジでこんなにおいしい!』『アイラップレシピ 簡単・時短・手間いらず』
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.

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