プロレス vs ボクシング、柔道 vs 空手、相撲 vs ムエタイ……などなど、異なる競技が1つのリングで決着をつける真剣試合、それが「異種格闘技戦」だ。おそらく人類の99.9%は、異種格闘技戦の経験が無いことだろう。
つい先日のこと──。私、P.K.サンジュンは人生初の異種格闘技戦を経験した。果たして相手は誰なのか? どんなルールだったのか? そして勝負の行方は? 衝撃の結末は以下でご覧いただきたい。
・焦るアホ
ある日、いつも通りにデスクで仕事をしていると “アホの上司” として名高い当サイトのYoshioが深刻な表情で声をかけてきた。「大変だ……」「サンジュンしかいない……」などとブツブツ言っているが、いったい何のつもりなのだろうか?
「ヤバいよ、ヤバいよ。なんか伊藤園から挑戦状が届いてさ、異種格闘技戦にロケニューも出てくれって言われたんだよね」
「伊藤園って “お~いお茶” の伊藤園? そんなバカな(笑)」
「いや、マジなんだよ。天下一決定戦とか言い出してさ……。あいつら、俺たちを潰す気だな?」
「え、だいぶ意味がわからない」
「とにかく一緒に来てくれ! もう頼れるのはサンジュンしかいないんだ!!」
そう言うと、私の手を引き走り出したYoshio。そして別室で手渡されたのが「レスリングタイツ」と「レスリングシューズ」である。
・伊藤園はやる気らしい
その後、Yoshioから聞き取り調査を行った結果、判明したのは以下の3つ。「伊藤園が天下一決定戦を開催する」「どうやらマジで異種格闘技戦らしい」「ロケニューにも挑戦状が届いた」ということだ。何を考えてるんや、伊藤園。格闘技団体でも設立するつもりなのか?
とはいえ、挑戦状が来てしまった以上、逃げ出すワケにはいかない。「いつ何時誰の挑戦でも受ける!」──。私の中の “燃える闘魂” に火が付いた。上等じゃねえか、伊藤園よ。まずはお前らからぶっ潰してやんよ!
というわけで、指定の日時に伊藤園の本社にセコンドのYoshioと共に乗り込むと、そこには以前お茶づくりを教えてくれたカツ……いや、カクノさんがいた。前に会ったときは鬼軍曹くらい怖い顔をしていたが、今回は逆に不気味なほどニコやかな表情である。
「どうも、お待ちしてました。サンジュンさん」
「カツ……じゃないや、カクノさん。俺たちは逃げも隠れもせんですよ! この勝負、受けて立とうじゃねえか!!」
「いや、ロケニューさんならそう言ってくれると思ってました。うちの人間もスタンバイしてますので、さっそく会場までご案内しますね」
「スタンバイ……すぐに殺(や)っちゃっていいってことですかね?」
「まあ、そうですね」
「OK、上等だよ。ちなみに御社の代表は相当な猛者ですか?」
「はい、それは間違いないですね。それぞれが一騎当千の猛者と言っていいでしょう」
「それぞれ?」
「はい、うちは4人いますので」
「ハンディキャップマッチかよ! ハメやがったな!! ああ、もうめんどくせえ! 4人まとめてぶっ潰す!!」
・1 vs 4の戦い
天下の大企業、伊藤園ともあろう者がこんな卑劣な手を使うとは……! だが、私もかつては千葉県市川市本北方の狂犬として名を馳せた男。ここまで来たらやるっきゃねえ! 俺が勝ったら社名を「ロケット園」にしてもらうからな!!
そして……
導かれるままに……
会場に到着。
扉の向こうにいたのは……
え?
アウトレイジ?
鋭い眼光、体の厚み、隠し切れない殺気──。そこにいたのはどう考えても堅気には見えない屈強な男性(×4)。おいおい、絶対に伊藤園の人間じゃないだろ? そこまでして勝ちたいのかよ、伊藤園! お~いお茶が泣いてるぜ!!
・奇襲攻撃
だがしかし、心の中でゴングは打ち鳴らされた。こうなったら先手必勝、まずは1人殺(と)るしかない。お前からじゃヴォケェェェエエエ! 必殺・稲妻タックルじゃァァァアアアアア!!
一瞬で引き離されたでござる。
ヤバい、こいつらヤバい。特にメガネがヤバい。おそらくメガネの本職は、アメリカの治安の悪いバーのボディーガード。やべえ、グチャグチャにされる……! 俺、オワタ\(^o^)/
・謎のゴング
そんな時であった。カクノが突然「それでは始めていただきまーす!」と能天気な声を挙げたのだ。すると4人がおもむろに私の前に現れ、それぞれ以下のものを手渡してきた。
果たしてアウトレイジたちは私に何を渡してきたのか? ここから始まる予想外の展開とは? そして異種格闘技戦の正体とは? 衝撃の結末は後半へGOだ!
参考リンク:お~いお茶「真夏の火入れ大作戦」
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
【ガチンコ】伊藤園主催の「異種格闘技戦」に参加したらヤバイことになった! 4対1でフルボッコ寸前!! 死を覚悟した瞬間にミラクル発生!(後半)
奇襲攻撃をかわされ、アウトレイジたちによるフルボッコを覚悟したのも束の間、4人は私に以下のものを手渡してきた。
寿司屋からは「お茶の作り方」のペーパー。
キャッチャーからは茶葉。
サモハン・キン・ポーからはフライパン。
メガネからはザル。
え、どういうことなの?
ペーパーに目を通すと、どうやら「荒茶を加工して “お~いお茶” の茶葉を作れ」ということらしい。荒茶とは農家が加工する第1段階の茶葉のことで、荒茶をさらに手を加えて “お~いお茶” の茶葉になるという。な、なるほど。
寿司屋から手渡されたペーパーによると、茶葉作りのために必要なのは「乾燥」「選別」「火入れ」「合組(ブレンド)」の4ステップ。農家さんから届いた荒茶を丁寧に加工して “お~いお茶” の茶葉が完成するらしい。
「というか、この前飲んだ荒茶もめちゃめちゃ美味しかったですよ。本当にこんなことしてるんですか?」
「……」
「乾燥って……電子レンジを使うのかな?」
「……」
「たぶん乾燥はほんの少しでイイと思うんだよな、茶葉の香りが飛んじゃうから」
「……」
「1分……は長すぎるか。いやでも30秒じゃ短いだろうし……」
「……」
「何とか言えよ! マジで全員伊藤園の人じゃないだろ!!」
ただ圧をかけるだけで、口は一切開かないアウトレイジな4人。こうなりゃ俺が “お~いお茶” よりも美味しい茶葉を作って土下座してもらうしかあるまい。暑苦しくも孤独な作業が始まった。
・オリジナル茶葉を作る
で、ステップ1の「乾燥」は、茶葉の香りが飛ばないことを最優先に電子レンジで50秒加熱。取り出した茶葉はほんのりとお茶の香りが立ち、実にイイ仕上がりだ。アウトレイジたちも内心「正解……!」とビビっているに違いない。
お次にステップ2の「選別」だが、これが超めんどくせェェェエエエ!!! 荒茶は大きく「粉茶」「茎茶」「本茶」に分かれているらしく、伊藤園ではわざわざそれらを選別し、最適な火入れと配合をしているという。
粉茶はまだイイ。ふるいにかけるだけだから。問題は「茎茶」の除去作業。ピンセットで1つ1つ茎を除去しても……
また出てくるやん。
ただ黙々と、心を無にして、サイボーグになり切って茎茶を除去しても……
また出てくるやん。
ガッデーーーーム!
というか、本当はこんな作業してないだろ? 単なる嫌がらせだろ? だって意味ある? 本茶も茎茶もお茶じゃんYO! およそ7割の茎を取り除く作業だけでも30分近くを費やしてしまった。細かい作業は嫌いじゃないがエンドレスに苦行すぎる。
逆にステップ3の「火入れ」はあっさりと終了。フライパンで茶葉を炒める作業だが、ここでも気を付けたのは香りを飛ばさないこと。お茶は香りが命! 見てろよ、治安の悪い4人よ。俺が本当のお茶の香りを教えてやる。
そして最後の「合組(ブレンド)」は正直、適当……というか感覚。伊藤園の嫌がらせで「粉茶」「本茶」「茎茶」を選別させられたが、たぶん伊藤園も普段はやっていない。なぜなら意味がないから。だって茶葉は茶葉よ? 粉と本と茎で違いなんてある?
選別にかなりの時間を取られないがらも、ようやく完成した「P.K.サンジュン流オリジナル茶葉」──。あれだけ丁寧に作業したんだ、絶対にウマい。100パーウマい。4人が土下座する勢いでウマいに決まっている。
・茶葉完成!
オリジナルの茶葉で煎れた世界で唯一のサンジュン茶。全神経を舌に集中させつつ飲んでみると……
あれ?
全然おいしくない……だと?
・ダメすぎて引いた
まさか、まさか、まさか。もちろん不味いワケではないが、 “お~いお茶” と比較すると香りも深みも全く足りていない。仮に “お~いお茶” だと思って飲んだとしたら、パッケージを3度見するレベルの別物だ。マジか……そんなハズは……!
「いやー、ご自身で加工したお茶はいかがでしたか?」
「……正直、全然です。“お~いお茶” と同じ茶葉とは思えないですね……」
「そうですよね、難しいですよね」
「ぶっちゃけここまで別物になるとは思いませんでした……」
実のところ、内心かなり傷ついた。ご存じの通り “お~いお茶” の成分は「茶葉」だけである。私も細心の注意を払って加工したが、ここまで別物になってしまうとは……。そんな時であった。ヤツらの声が聞こえたのは。
「ドンマイ! 落ち込むなよ!!」
お、お前ら……!
「全くの素人なんだから上手くできなくて当然。むしろ頑張った方だよ!」
「寿司屋……!」
「俺たちはただ “お~いお茶” にかかる手間暇を知ってもらいたかっただけなんだ!」
「キャッチャー……!」
「粉茶は色あい、本茶は味、茎茶は香りと風味って特徴があるんだ。伊藤園では機械で選別してるけど、手作業は気が遠くなるよな!」
「サモハン……!」
「火入れの時間も茶葉のコンディションによって数秒単位で変えてるんだ。伊藤園のこだわりを知ってもらえたらそれで十分さ!」
「メガネ……!」
「そうなんです。自分たちで言うのもイヤらしいんですが “お~いお茶” ってメチャメチャ手間がかかってるんです。そのことをサンジュンさんにも知ってもらえたらなー、と」
「いや、マジで骨身にしみました。この際 “お~いお茶” は1本1200円にしましょう」
原材料が茶葉だけの “お~いお茶” には、とんでもない手間がかかっていた。茶葉を乾かすだけではない。茶葉に火を入れるだけではない。茶葉の状態に合わせた最適な加工を、手間暇を惜しまずに注ぎ込んだ愛情の結晶、それが “お~いお茶” なのだ。
・異種格闘技戦の真実
ところで我々のもとに届いた「異種格闘技戦」とは何のことだったのだろう? 別に荒茶から茶葉を作る作業って異種格闘技戦じゃないよね……?
「ああ、それは伊藤園で今度 “真夏の火入れ大作戦”ってキャンペーンをやるんですよ」
「はぁ」
「それに先立って、メディア様やYouTuber様に火入れの体験をしていただくんですが、それを異種格闘技戦と呼ばせていただいております」
「なる……ほど。では……では、私はなぜレスリングの恰好をしているのでしょうか?」
「いや、私もお会いしたときから様子がおかしいと思っていたんですよ。いきなりタックルしてるし(笑)」
「普通に頭がおかしいヤツですね。ちなみに、なんでわざわざ人相の悪い4人だったんですか?」
「それは4人とも全員、お茶のプロ “ティーテイスター” の資格保持者だからです」
「ティーテイスター?」
「はい。ティーテイスターとは伊藤園の社内資格制度のことで、希望者が年に1回テストを受けます。茶文化から美味しいお茶のいれ方まで、幅広い知識と技能が必要なんです」
「なるほど。伊藤園の見た目が極悪四天王を選んだのかと思いました」
異種格闘技戦とは伊藤園のキャンペーン「真夏の火入れ大作戦」の前哨戦のことで、ガチの異種格闘技戦とは全くの別物であった。誰だ、俺に「天下一決定戦」なんてホラを吹き込んだのは? 誰だ、俺にレスリングタイツを渡したのは?
「異種格闘技戦にロケニューも出てくれって言われたんだよね」
「異種格闘技戦にロケニューも出てくれって言われたんだよね」
「異種格闘技戦にロケニューも出てくれって言われたんだよね」
やっぱり貴様か、Yoshioォォォォオオオオ!!!!
この後、Yoshioには渾身の稲妻タックルをぶちかましたことはさておき、“お~いお茶” に対する伊藤園の並々ならぬ情熱を知れたことは非常に有意義な経験であった。マジでみんなも1回やってみろ、“お~いお茶” がそれまでの500倍美味しく感じるから。
・1000名様に「自家製お~いお茶キット」が当たる!
なお、今回私が体験した「真夏の火入れ大作戦」は、2021年7月26日(月)~ 8月16日(月)23:59までに「お~いお茶くん公式Twitter」をフォローし「#真夏の火入れ大作戦」を付けて意気込みを投稿すればOK。なんと1000名様に「自家製お~いお茶キット」が当たっちゃうぞ。
お~い❗️この夏、お茶がアツい🔥
「#自家製お〜いお茶キット」を1,000名におとどけします💨▼応募方法
1⃣@oiochakunをフォロー
2⃣意気込みを #真夏の火入れ大作戦 をつけてツイート
※テキスト・画像、動画でも⭕️https://t.co/zElH5SZrmb⏳8/16 まで#とどけお茶のチカラ #茶レンジャー募集
— お〜いお茶くん【公式】 (@oiochakun) July 26, 2021
「どうでしたか、サンジュンさん?」
「いや、これはごますりではなく “お~いお茶” がメチャメチャ好きになりました。だってちゃんとやってるもん」
「そう仰っていただけると我々もやり甲斐があります」
「言葉が適切かどうかわかりませんが、もはやバカの領域ですね。お茶バカ。普通ここまでやらないでしょ」
「ハハハ。でもすべては美味しいお茶のために。お客様のために、です! “おいしさで選ばれて売上No.1” のお~いお茶に妥協はありません!!」
「OK、お前ら最高だよ! お前らが作る “お~いお茶” も最高だよ!! よっしゃ、胴上げしようぜ!!!!」
ワッショイ!
ワッショイ!!
お~いお茶最高ォォォオオオオオオ!
──完──
参考リンク:お~いお茶「真夏の火入れ大作戦」
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼伊藤園の人、ノリノリで笑った。こんなコスプレも仕込んでました(本編では残念ながらボツに…)。
▼1000名様に「自家製お~いお茶キット」が当たるチャンス! 「お~いお茶くん公式Twitter」をフォローし「#真夏の火入れ大作戦」を付けて意気込みを投稿しよう!