世界に広がるカレー。肉はもちろん、野菜、魚、果物となんでも受け入れる懐の広さは、各国で独自の進化を遂げるに至った。日本で進化したカレーがイギリスで「ジャパニーズカレー」としてムーブメントを起こしていることは以前の記事でお伝えした通りである。
そんなカレーは、日本に入ってきた時どういう味だったのか? 明治当時の文献を参考に作られたという『神戸ハイカラ牛すじカレー』を食べてみた。
・普通に売ってた
「明治当時の文献を参考に作られたカレー」と紹介すると、なんだか特殊なもののような雰囲気が漂うが、実はこのカレーはレトルトで普通に販売されているものだ。私(中澤)がその存在を知ったのはたまたまで、2021年6月4日にリニューアルオープンした浅草のショッピングモール『まるごとにっぽん』の1階のスーパーコーナーに置かれていたのである。
パッケージの文言を見た時、「カレーの味なんてそんなに変わらないだろ」とも思ったのだが、そこで冒頭のイギリスで目撃したことが頭をよぎった。長い時をかけて知らず知らずのうちに変化してきたカレーは今やジャパニーズカレーと呼ばれている。当時のカレーは、全然別物な可能性も高い。
・買ってみた
そう考えると、もの凄く味が気になってきたので購入してみた。価格は税込み610円。200グラムのレトルトであることを考えると安くはないが、「明治時代の文献を参考に作られた」というガチさを考えるとそこまで高くもない価格だと思う。むしろ、レトルト商品なだけで凄い。
外の包みを開けると、内側にカレー情報が書かれていた。なんでも「日本でカレーが紹介された明治時代、玉ネギもじゃがいもも食材がない時に、その時ある食材、ネギ、カエル肉、小麦粉などで作られたと言われている」のだとか。
ちなみに、本製品の原材料名にカエルは記載されていないのでご安心いただければと思う。というわけで、記載に沿って湯煎5分で作ってみた。
・検証
まず、見た目は普通のカレーである。ネギなど細々した具がカレーソースと半一体化している感じはちょっとキーマカレーっぽい質感。ひき肉ではなく牛すじだけど。さて、始まりの味の正体やいかに?
食べてみたところ、口に広がる酸味! そして、その後から辛みが追いかけてくる!! こ、これは……!
普通に欧風カレーやん。
めっちゃ欧風カレーやん。強いて言うなら、玉ネギじゃなくてネギなので甘みが控えめなのと、かわりに酸味が強めな気もするが、何も言われずに食べたら違いが分かる人は少ないんじゃないだろうか。
まあ、これは考えてみたら当然のことだ。なにせ、日本にカレーを伝えたのはイギリスと言われてるし。そりゃ欧風だよな。
・良い欧風カレー
なんか変に納得してしまったが、誤解のないように言っておくと、辛みにいやらしさのない自然な味はかなり本格的でウマイ。このシリーズをプロデュースしているのは、『世界のごちそうパレルモ』というレストランを17年間営業したシェフとのことだから、しっかりとした味である。これは良い欧風カレー。
ちなみに、本商品はオンラインショップ『世界のごちそう博物館』で通販での購入も可能だ。歴史的な味であることは間違いないので、美味しく歴史に想いを馳せたい人はぜひ。とりあえず、食べやすいぞ。
参考リンク:世界のごちそう博物館
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]