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「リアルな肌色を映す」「肌色の再現力に優れる」という鏡は、安物の鏡と見え方が違うのか?「高い反射率」の効果

2021年6月12日

なんとなく雑貨屋をブラついていると、ふと鏡売り場で気になる文言を目にした。「リアルな肌色をキレイに映す」「反射率95%」というやつだ。これは「ROSY ROSA(ロージーローザ)」というブランドのものだったが、複数のメーカーから「肌色の再現力に優れる」等、他の鏡よりも優秀である旨をアピールする鏡が沢山並んでいた。しかもそこそこ値段が高い。

キャッチコピーは様々だが、それらの鏡は全て、高い反射率を主張する点で一致していた。筆者は生まれてこの方、鏡など全て同じようなものだと思っていた。いや、例えば宇宙観測に使われる大型望遠鏡の鏡などに、凄まじい精度を有した超ハイスペックな鏡が使われていることは知っている。

しかし顔を写すのが主な用途と思われる鏡など、全部一緒だろうと。どんなところにでも競争は生まれるものなんだなぁなどと感心していたのだが、ふと思ったのだ。めちゃくちゃ安い鏡と、優秀さを主張する鏡で、見え方はどれくらい変わるものなのだろうかと。ちょっと比べてみよう。

・100均の鏡

ということで、その場で「ROSY ROSA」の鏡を購入。小さいが、お値段は税込み550円。そして、めちゃくちゃ安い鏡の代表として用意したのは、100均の鏡だ。スペック関連の主張ゼロで、税込み110円の鏡である。サイズは、そこそこデカい。


それでは写り方を見比べていこうと思うが、ここで先に言っておこう。この検証は、かなりガバガバで、アンサイエンティフィックだ。そいつを承知の方だけGo ahead。読んで「正確じゃねぇ!!!」「誤差があるだろ!!!!」みたいにキレられても、今の一文を読めよボーイとしか言えない。イージーに頼むぜ。

そして、割と先が長いので、ここで結論を述べておこう。今回の比較では、差が確認されたぞ! 経緯や方法は以下の通りだ。


・見比べ方

さて、ROSY ROSAの鏡(以下ローズ)のパッケージ裏を見ると、ローズの最大の武器は、95%という高い反射率にあるもよう。低反射率の鏡と比べた場合、同じ光量でも像が全体的にはっきりと明るく見えると言うことだろうか。


対する100均の鏡(以下100均)は、反射率など不明だ。たぶん製造コストの安さのみを追求して作られているのだと思う。光にかざすと、たまに裏が透けて見えるし。きっと何かしら差が出て然るべきだと期待したい。

ではどうやって見比べるのかというところだが……どうにかして同じ質の光を当てて、同じものを映し、見え方を比較するべきなのだろう。色々と方法を考えてみて思いついたのがこれだ。

まず、部屋を真っ暗にする。そして、ローズと100均を並べてその前に何かものを置き、ストロボの光だけで撮影。ローズと100均それぞれに映る像の色を並べて眺めてみるという流れ。

「同じ質の光」というのが難しいところだが、真っ暗な中でストロボの光を満遍なく行き渡らせれば、光の質はだいたい均一になるのではないかと思うのだ。そして、鏡に映すものとして用意したのは、編集部に転がっていた、たぶんバービーと思われる人形。埃まみれなので、あとで綺麗にしようと思う。


それぞれの鏡は、壁に対して45度の角度で設置。分度器などという高度な文明の利器は無かったので、コピー紙を斜めに折ったヤツを目安にした。


そして真ん中にバービーを設置し……


まずはストロボ無しで撮影。


真っ暗でなにもデータに映っていないが、これで良いのだ。このままカメラ側の設定を固定し、ストロボを使用すれば、写真に写ったものは全てストロボの光によるものだとわかる。

ということで、次はストロボを使用して9枚撮影。ちなみにストロボの光は天井に反射させて当てている。左の鏡がローズで、右が100均だ。


・比較

それではどうだろう。9枚すべて見比べてみると……


わからねぇぇええええええええ!!!


なんとなくローズの方が彩度が高いような気がしなくもないが、思い込みかもしれない。ということで、次は9枚の写真全てで、ローズと100均の鼻の頭の同じようなエリアの肌の色を5×5ピクセル分切り抜き、見比べてみることに。


9枚全てのバービーの鼻の頭から、5×5ピクセルを2か所ずつ抜き出す作業を経て、結果をまとめたのがこちら。


これは……ッ!


右側の幅5ピクセル分が100均で、左側の幅5ピクセル分がローズから切り抜いてきたものだ。それぞれ25ピクセル分9セットをザッと眺めた感じ、ローズ側の方が白っぽいように見えるのは気のせいではないと思う。

白っぽい、つまり、明るく映っている。そして100均側は、ローズと比べれば若干くすんでいる。ローズがウリにしている反射率の高さの効果が実際に見てとれたと判断していいのではないだろうか? バービーの顔が左右で色が違い、しかも偶然右半分が薄暗い感じの塗りになっているのではない限り。まあそんなことは無いだろう。

ローズと100均はそこまで大きな差では無いとは思うし、光の強さを盛れば埋められる程度の違いだとも思う。だが、何にせよ今回の比較においては、差が確認されたと結論付けたい。

これが顔全体にともなれば、高反射率のアドバンテージに価値を見出すのもアリだろう。鏡を買う時に、高い反射率を売りにしているものを選ぶのは、それなりに有効なようだ。メイクにガチる女性の方などは、何かの参考になるのではないだろうか。まあでも、強力で精度の良い照明に投資した方が確実じゃないかとは思うけれど。

執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

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