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黒無地Tシャツ専門店「#000T KABUKICHO」オープン! なぜ今、歌舞伎町に出店したのか? その理由を尋ねた

2021年5月3日

これから暑くなると、Tシャツ1枚で過ごす日が増えるだろう。そろそろ今シーズンのものを買おうと考えている人も多いはず。そんな人に紹介したいお店がある。それは黒T専門店だ。

東京・千駄ヶ谷の白T専門店「#FFFFFFT(シロティ)」が、ホストグループ「スマッパ!」と共同で、無地の黒Tシャツ専門店『#000T KABUKICHO(クロティ カブキチョウ)』を新宿・歌舞伎町にオープンした。ここには色のあるTシャツは1着もない。全部黒! しかも無地! どうして今、歌舞伎町にお店を構えたのか? その理由を尋ねた。

・2016年に誕生した世界初の白T専門店

白T専門店のことに触れずして、黒T専門店は語れない。ということで、まずは白Tの方を紹介させて頂きたい。千駄ヶ谷の白T専門店は、世界初の白無地Tシャツだけを扱うお店として2016年に誕生した。取り扱う商品だけでなく、営業形態も特殊で、週に1度、土曜日にしか営業していない。

それにも関わらず、高い人気を誇っている。お店のオーナーで夏目拓也さんに、なぜ白無地Tだけを販売しようと思ったのか尋ねた。


夏目「最初から店をやろうと思っていた訳ではなく、十数年前、ある時になぜだかとてもしっくり来る白Tに出会ったんですよね。そこから完全にはまってしまい、ありとあらゆる様々な種類の白Tを集めることがライフワークになったんです。

究極にシンプルなのに、こんなに奥深い世界はない。でも、世界中のどこにも “白無地Tシャツの専門店” はなかったんです。だったら、自分でやるしかない!そう思ったのが始まりでした」


営業は週1回のみ、それだけではなく通信販売も行っていない。したがってお店の営業時間に訪ねなければ、ここでTシャツを買うことはできないのだ。商売としては、悪い条件のように思うのだが……。


夏目「週1回で通販もやっていないのには、理由があるんですよ。お店で実物を見て、素材に触れて、違いを確かめて欲しいからです。僕は白Tを「ご飯(白米)」のようなものだと考えているんです。毎日でも飽きない。何にでも合う。銘柄によって様々な個性・違いがある。特に最後のポイントは、オンラインで伝えるのは、難しいですよね。

お店に来て頂く方々にもそれぞれにこだわりがあって、シンプルなものだからこそ、そのこだわりを突き詰めたいんですよね。たくさんお店を作ってバンバン売るというよりも、自分が企画やセレクトした白Tを、一人一人にしっかり対面でご紹介したいという思いが強いです」


ちなみにこれまでに取り扱った商品の数は約300種にのぼり、そのうち常時店頭に置いてあるものは約60種なのだとか。



・なぜ歌舞伎町に黒T専門店?

そんなこだわりを持って、白Tシャツを売ってきたのに、なぜ歌舞伎町に黒T専門店をオープンしたのだろうか?


夏目「「黒T専門店は出さないんですか?」って、ずっと言われてきました。ただ自分の性格上、普通にやってもつまらないし、どこか納得がいかない。出すなら黒というコンセプトがとことん際立つ、例えば新宿・歌舞伎町のような街で。そんなことを考えていたんですよ。そんな時にマキさん(手塚マキ)に出会って、意気投合したんですよね」


スマッパ! グループは歌舞伎町を中心に、ホストクラブやバーなどの飲食店、美容室、デイサービスなどの運営を行っている。手塚さんはそのグループの会長を務めている。彼にも考えがあった。


手塚「夏目さんと出会って、すぐに「黒Tのお店出してくださいよ」ってすぐにお願いしましたよ。「歌舞伎町」と「黒」ってすごく合ってる気がしたんですよ。歌舞伎町は日本を代表する歓楽街で、年齢や性別、国籍さえも問わずに、人を飲み込むようなところがある。それがまさに黒って感じがしたんです。

黒Tの店から新しいカルチャーが作れる気がするんです。「怖そうな街だから行かない」って人も、黒Tをきっかけに足を運んでもらえれば、新しい何かが生まれるんじゃないかって思うんですよね」


手塚さんはこれまでに、ホストと書店を掛け合わせた「歌舞伎町ブックセンター」や、ホストが握る寿司屋「へいらっしゃい」(麦の音)などを手掛けている。今回も黒T専門店はバーとアートスペースを併設している。余談だが、併設するバーは以前の記事で紹介した筆談バー「デカメロン」をリニューアルした店舗だ。

ファッション・食・アート、ジャンルの異なる3つの要素が混ざり合う、その様は歌舞伎町の混沌を表現しているようだ。



・コロナ禍の今だから

それにしても、なぜ今オープンしたのか? このコロナ禍で、お店を始めるのは厳しい気がするのだが……。


夏目「逆に今だからこそ、オープンしようと思いましたね。マキさんと出会ったのが、昨年の秋でしたけど、その時まさに「夜の街」が批判的に見られていた時期だったんですよね。こういう時だからこそ新しいカルチャーが生まれると思い、このタイミングでオープンしました


来年の今頃はどうなっているのか? いや、半年先、3カ月先さえも見通せない現状。その風景はそう明るくない気がする。まさに黒。それでも開店に踏み切る姿勢はかなり挑戦的だ。



・自分に合う1枚を

その挑戦的な店にはどんなTシャツがあるのか? 見てみると、ひと口に「黒T」と言ってもそのバリエーションはさまざま。形も違えば素材も違う。約30種類もの黒Tが用意されている。1度にこれだけの数の黒無地Tシャツを目にするのは初めてかも。

せっかくなので、私(佐藤)に合いそうなものを1着選んでもらった。おすすめ頂いたのは「SLOANE(スローン)」の綿100パーセント、オーバーサイズのTシャツだ。価格は税別9800円。


ドロップショルダーで、首回りがしっかりしている。細やかな縫製を施しているので、肌触りがサラリとしていて軽い。正直、今までの人生で黒Tに興味を持っていなかったが、いろいろ見比べてみると、その奥深さに驚かされる。そして、自分に合う1着を見つけ出したくなってしまう。

黒T好きな人はもちろん、Tシャツを愛するすべての人に、こだわりの1枚を発見して欲しい。歌舞伎町の街に、黒Tは良く似合う。


・今回訪問した店舗の情報

店名 #000T KABUKICHO(クロティ カブキチョウ)
住所 東京都新宿区歌舞伎町 1-12-4
時間 16:00~20:00 土日祝14:00~20:00(短縮営業中)
定休日 月曜日

取材協力:#000T KABUKICHO
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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