「空腹が極限に達すると何でも食べ物に見える」ってのと同じ原理で、最近、海外に行きたい欲が限界を突破したのか……何でも世界の観光名所に見えてしまう。ついこの間も、福岡県内でマーライオンを見かけた。うーむ、症状もだいぶ末期なのかもしれない。
マーライオンといえば、口から水を吐くシンガポールのシンボル。上半身がライオンで下半身が魚の像……などと、わざわざ説明する必要もないくらい有名である。もしかしたら見間違いなのかもしれないが、いたのだ、本当に、マーライオンが、福岡にっ!
・福岡県田川市
マーライオンと遭遇したのは、福岡県の田川市。あの「月が出た出た月が出た」でおなじみ『炭坑節』の発祥地だ。市内には当時の面影を感じるノスタルジックな街並みが残っていて散策するのにオススメ。ただ、市の中心部にマーライオンがいることはあまり知られていない。
現場となるのは、JR田川伊田駅から歩いて数分の場所。彦山川にかかる新橋に鎮座していたのがマーライオン、というか……
どう見てもマーライオンを意識している狛犬だ。
いやマジで「ちょっと似ている」とかそんなレベルではない。制作する過程で確実にシンガポールが頭に浮かんだはず。ちなみに市の職員さん曰く、平日は水を吐かず、土日祝限定で水を吐いているらしい。なんだかとてもシュール。夜はライトアップしているそうだ。
また、水を吐いている理由は「特にない」らしく(特にないのかよ)、市は以前ニックネームを募集したこともあったが結局決まらず「現在も名前はありません」とのこと。一応、地図アプリ上では、田川市のマーライオンなので「ターライオン」と紹介されている。
地元の方も「コマーライオン」や「狛犬シャワー」など、だいぶ好き勝手に呼んでいるようなので、いずれにしても市民の愛着はあるっぽい。もしかしたら今後、この場所がシンガポールレベルの観光地になる……かもしれない。
なお、毎年5月の第3土曜日と翌日の日曜日には、狛犬のいる彦山川にて「風治八幡宮 川渡り神幸祭」が開催される。川の中で男たちが山笠を揺すって気勢を上げる豪快な祭りで、福岡県五大祭りのうちの1つとして人気だ。
しかし、目の前で「筑豊エリアを代表するお祭り」が開催されているにも関わらず、まだまだ知名度が低い狛犬。くり返しになるが、今後、人気観光スポットとして化けるポテンシャルは十分……だと思うので、海外に行けない今だからこそ、機会があれば足を運んでみてほしい。
・今回ご紹介したスポットの詳細データ
名称 彦山川の噴水モニュメント(ターライオン?)
住所 福岡県田川市伊田3501-3
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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▼田川市の許可を得て間近(立ち入り禁止エリア)で撮影しました
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