「地元のうまい店はタクシー運転手に聞くのが1番」と教わったことがあるが、実は理美容師もなかなかの情報通だ。こちらから聞いたわけでもないのに「そういえば、あそこのお店行きました?」と、いきなり友達感覚で教えてくれるテクニックは感動的ですらある。

この間も「スーパーカット21エクセレント 男子専科の店」の店主・植田さんから、門司港レトロ(福岡県北九州市)の有名店を教えてもらった。そこで今回は、門司港レトロの大人気やきいも店「芋伝説」を皆さまにも紹介したい。

・芋伝説

JR門司港駅から徒歩約5分。地元では知らない人がいないレベルの人気店「芋伝説」は、栄町銀天街なるアーケード商店街の入口からスグの場所にある。近くまで行けば、かすかに世紀末オーラが漂う店舗が見えてくるだろう。つまり『北斗の拳』のような看板が目印だ。

外観はまるで弱肉強食の世界で生き残った伝説のやきいも店のよう。乱世を生き抜く救世主的やきいも、愛と哀しみの味がするのかもしれない。

実際、同店は令和3年3月3日で30周年を迎えたという。これまで数々の不況を乗り越えてきた無敵店ということだ。

それはさておき、歩道にハミ出す勢いで並んでいる段ボールをチラ見すると、さまざまな産地・品種のサツマイモがどっさり。どうやらオーナーはかなりの芋マニアらしい。それぞれ「しっとり系」とか「ホクホク系」とか特徴が書いてある。八百屋みたいなノリで良し。

さあどれを買おうか。なんとなく「甘いのが食べたい」とは思っているものの、同じ “甘い” でも甘栗のような「ベニアズマ」や、ビミョーな塩気が甘さを引き立てる「なると金時」、やさしい甘みの「宮崎紅」などなど……色々と違いがあるもよう。うーむ。

そんなこんなで、悩みぬいた末に選んだのは “ねっとり甘い系” の「紅はるか(100g 150円)」。

紅はるかとは、イモの外観が優れる「九州121号」を母、皮色や味が優れる「春こがね」を父として育成された品種で、これまでのものより “はるか” に優れるようにと命名されたらしい。由来を知っておくと、いつもより美味しく食べられそう。

さっそく車に戻って食べてみたところ……うっま。想像以上にしっとりトロトロ。なんなら、これまで食べた紅はるかよりも圧倒的においしい。はるかに甘い、だけでなく、スッキリした後味。さらに重量感もある。衝撃。

もちろん名前の由来を知って、紅はるかに全集中したのも大きいかもしれないが、なんかもうそんなこと関係ないくらいうまい。いやマジでレベルが違った。甘味の迫力がこれまでのものと別次元なのだ。

・スイートポテトも激ウマ

こうなったら、ちょっと気になっていたスイートポテト(180円)も買っておくか、ということでテイクアウトしたら……うむ、説明不要の美味しさだったということは伝えておきたい。やきいもの方がビックリしたけど、こんなもんウマいに決まっている。

やはり、地元で長いこと活躍している理容師さんの情報に間違いはなかった。伝説的に美味しいやきいも店、皆さんも機会があればぜひ足を運んでみてほしい。どうやら大学芋もヤバいらしいぞ。クソッ、買っておけばよかった。

・今回ご紹介した店舗の詳細データ

店名 芋伝説
住所 福岡県北九州市門司区栄町7-22
時間 10:00~20:00
休日 木曜日

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.

▼はやく大学芋を買いに行きたい