これほど「おひとりさま」を勇気づける店名が、いまだかつてあっただろうか。その名も『ひとりしゃぶしゃぶいち』 。“1人しゃぶしゃぶ” のあとに “いち” と、 “いち(1)” をダブルにしてくるあたりに、多くの「おひとりさま」は安心感を覚えることだろう。
「何名様ですか?」と聞かれたときに堂々と人差し指を上げられる予感がするのは、私だけではあるまい。店名を見ているだけで、まるで自分のためにあるお店のような気がする……。というわけで、実際に行ってみた。
個人的な話で恐縮だが、私はおひとりさまに慣れまくっている。今のように1人焼き肉チェーンや1人カラオケチェーンができる前から、1人焼き肉・1人カラオケが当たり前だったし、1人でハネムーン用のホテルに宿泊したこともある。
自他ともに認める “おひとりさまのプロ” である。だから ひとりしゃぶしゃぶ店の存在を知ったとき、「おひとりさま」が市民権を得ているようで嬉しかった反面、「そこまで1人客に優しいお店じゃなくても別に大丈夫っす」的な気持ちもあった。
「しゃぶ葉とか温野菜にも普通に1人で行くので それらで事足りてます」的な感じと言おうか。「ありがたいけど、わざわざ作らなくてもいいのに〜」的な感じと言おうか。もっと悪い言い方をすれば、ナメていたと言おうか。
しかし終わってみれば、それは私の勘違いであった。結果的に、『ひとりしゃぶしゃぶいち』で普通のしゃぶしゃぶチェーンでは味わえない楽しみ方を知ることになったと言っても過言ではない。
それを分かってもらうには実際に店まで行くのが手っ取り早いのだが、いまのご時勢を考えると外出することに抵抗がある人だって多いはず。なので、以下で入店直後の状況から説明していこう。
・いきなりの「そっちも?」感
店の正面に掲げられた『ひとりしゃぶしゃぶいち』の暖簾(のれん)。これをくぐった直後、少なからぬ人が「そっちも?」的な感情になるような気がする。なぜなら……
肉が回っているからだ。しゃぶしゃぶ店に、回転寿司の要素までプラスされている。どことなく肉のワンダーランド感が漂っているが、よくよく考えればこれはおひとりさまへの気遣いの1つと言ってもいいのではないか?
なにせ、1人客が回転寿司店に入店するハードルはめちゃくちゃ低い。誰でも余裕であろう。ということは、回転寿司っぽい雰囲気であれば しゃぶしゃぶ店でも入りやすくなる。
そして当然ながら、席はおひとりさま仕様。なお、席の間に仕切りが設けられていたほか、回転する肉の皿にはカバー的なもの(保冷ドームと言うらしい)が乗っていた。
・ストロングポイント
さて、私が『ひとりしゃぶしゃぶいち』に行って何より嬉しかったのは、肉の種類が豊富なことである。「牛肩ロース」「豚ロース」「鶏つくね」に、「鴨ロース」「ラムロース」「沖縄ハーブ豚Mix」などなど。
どれも高級しゃぶしゃぶ店と同等の肉質……は言い過ぎだろうが、しゃぶしゃぶし始めると止まらなくなった。最終的に肉メニューを全制覇し、「牛タンのしゃぶしゃぶってこんなに美味かったの?」となったころで、気づいたのだ。
これこそ『ひとりしゃぶしゃぶいち』のストロングポイントだ、と。
・おひとりさま仕様の強み
通常のしゃぶしゃぶチェーンの場合を考えてほしい。たとえば、「牛ロース → 豚ロース → 豚バラ → 鶏」と行こうと思っても、ひと皿のボリュームが結構あるために、「牛ロース → 豚ロース」くらいで終わってしまった経験が誰しもあるはずだ。
しかし、『ひとりしゃぶしゃぶいち』であればおひとりさま仕様になっているから、ひと皿がそんなに多くない。なので、「牛カルビ → 牛もも → 鶏ささみ」。からの〜「鴨ロース」。あるいは、そこからの〜「沖縄ハーブ豚Mix盛り」。さらにそこからの〜!
……といった感じで、色々と味わえるのだ。となると、今まで試したことがない食材を注文することになるので、「コレをしゃぶしゃぶにしたらこんなに美味かったの?」という発見に繋がりやすい。おまけに肉の種類が豊富だから、その点も有利に働くかと思う。
・まずコースを決める
で、何より気になるのは価格だが、選ぶコースによって大きく変わってくる。今後また変わってくるかもしれないので参考までにして欲しいが、私が訪れたときは、「出汁・日替わり小鉢食べ放題コース(60分・税別1000円)」、「お肉・日替わり小鉢食べ放題コース(90分・税別2500円)」、「食べ飲み放題コース(120分・税別4000円)」を紹介された。
違いを簡単に言うと、どこまで食べ放題にするかである。たとえば、「出汁・日替わり小鉢食べ放題コース」であれば安いものの、肉は食べ放題に含まれない。
逆に「お肉・日替わり小鉢食べ放題コース」ならばその名の通り肉も食べ放題に含まれるが、90分で税別2500円と値段は少し高くなる上に、出汁は別途注文。「食べ飲み放題コース」なら全て込みだが税別4000円……と言った具合。
このあたりは複雑なので、お店に行ったときに店員さんから説明を聞くのが一番かと思う。トータルでかかった金額だけをお伝えするならば、私の場合は「お肉・日替わり小鉢食べ放題コース」にちょいちょい追加して総額3465円(税込)だった。
もちろん、選ぶコースによってもっと安くできる。そもそも肉を全制覇したことを考えれば「かなり安い」とも言えるが、このあたりの受け取り方は人それぞれだろう。
・店舗拡大希望
ちなみに、こちらの『ひとりしゃぶしゃぶいち』、1号店である西新宿店のオープンは2019年の10月らしい。その数カ月後にコロナ禍が始まったことを考えれば困難なスタートであったことは想像にかたくないが、2021年3月3日時点では神戸・沖縄にも店舗を増やしている。
これは何気にすごいことではないだろうか? チェーン店としてまだ店舗数が多いとは言えないが、今後もっと増える可能性は十分ある。というか、そうなって欲しい。できれば、(職場近くの)新宿二丁目にもお願いします!
参考リンク:ひとりしゃぶしゃぶいち
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
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▼記事では触れられなかったが、小鉢的なのもあるよ!
▼「牛タンは焼き肉以外でも美味い」ってことを初めて知りました。
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