ロケットニュース24

もしも飼っている牛がライオンに襲われたらオレたちはこう動く / マサイ通信:第454回

2021年2月9日

スパ! オレたちには守らなければならないものがある。家族はもちろん、戦士としてのプライド、そして、飼っている牛だ。マサイの世界で牛がどれだけの価値があり、財産であるかは、過去に何度も述べている。マサイの世界では、牛=金といっても過言ではない。

そんなオレたちの宝である牛を、あろうことかライオンが狙ってくることがある。かつてオレの弟が警察に逮捕されたのも、原因は牛を狙うライオンだった。そういう意味では、オレたちマサイ族とライオンは天敵同士。だからこそ、戦う。そういう歴史を歩んできた。

前置きが長くなってしまったが、つい前日、こんなことがあった。オレの村に住む少年が、村にいる牛を散歩に連れて行っていたのだが、突然、息を切らせて村に帰ってきた。そして叫んだ。


ライオンに襲われた!」と。


それを聞いたオレたちは、すぐさま武器を手に現場へ急行。なるほど、確かにライオンが牛を食べている真っ最中だった。しかしオレたちマサイ戦士の軍団を目の当たりにしたライオンは、一目散に逃げて行った。

そこにあるのは、少し食べられてしまった死亡直後の牛。また貴重な財産が食べられてしまった。許すまじライオン……!! 我々戦士はライオンへの復讐を誓うと共に、無念の死を遂げた牛に対し鎮魂の念を送りつつ……



よし、食うか」。


武器ではなく調理器具を持ってきた戦士もいたようで、牛は実にスムーズに調理されていった。どうせ死ぬのだから美味しく食べるのがマサイのルール。うまい。やっぱりうまい。牛はうまい。やっぱり牛はごちそうだ。

日本人も、牛を食べる時は「ぜいたく」なんだろ? たまにはぜいたくもいいもんだ。でも、オレたちマサイ族にとっては「たまのぜいたく」ではなく、ライオンによる「急なぜいたく」の方が多いかな。オレセリ!


Report:ルカ(マサイ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

▼なんか質問あったらリクエストボックスから気軽に送ってきてくれよな!

モバイルバージョンを終了