圧倒的クオリティを誇る松屋のカレー。日頃から販売されている『創業ビーフカレー』は、その辺のカレー専門店を脅かすウマさ。レジェンド的な期間限定メニューの『ごろごろ煮込みチキンカレー』は狂信的な信者を生み出してしまうほど。
『ごろごろチキンのバターチキンカレー』も、好評を博して昨年末に期間限定で復活を果たした。そんな松屋のカレーシリーズに、ニューフェイスが登場しつつある。一部店舗にてテスト中の『マッサマンカレー』だ。
・مسلمان
実施中の店舗については、松屋公式Twitterが公開したリンクを参照していただきたい。北は北海道から南は福岡まで、そこそこ幅広い範囲で実施しているようだ。
まずはマッサマンカレーについてだが、Wikipediaによるとタイ王国が起源のカレーらしい。マッサマンは、一説によればムスリム由来の料理ということで、ペルシャ語でムスリムを意味する古い言葉 مسلمان (ムスルマン)から派生したのだとか。要はタイ発のムスリム式カレーということだろうか。
・730円
店先に貼られたポスターには、「世界一美味しい料理と言われた」というキャッチコピーも。お値段は並盛が730円。100円追加で生野菜をつけることもできる。
ほどなくして出てきた『マッサマンカレー』。
見た目は『ごろごろチキンのバターチキンカレー』とそっくりだ。ルーの色が茶色というよりはオレンジっぽい。
そしてお馴染みのゴロっとしたチキン。他に見てわかる主な具材はジャガイモくらいだろうか。
・スパイス
見た目の分析はこの辺にして、さっそく食べてみよう。まずはルーをひと口……
_人人人人人人_
> ウマい!!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
凄まじいスパイスの奔流。なるほどなぁ。そう来たか……ッ! 先に出ていたどの松屋のカレーとも全く違った、新しいスタイルで魅せてくる。
スパイシーというと、近年の用法の傾向から唐辛子の印象を受けるかもしれないが、今回は「香辛料」という本来の意味で受け取って頂きたい。特にローリエだろうか。一口目からパワフルに押し寄せてくる。
辛さの順で言えば、ぶっちぎりはごろチキと創業ビーフ。次にマッサマンで、最後はバターチキン。というか、バターチキンは辛くないしな。なお、ごろチキや創業ビーフとマッサマンの辛さは質が違うように感じた。
ごろチキの辛さを、津波のように面で押し寄せてきてその場に留まるようなタイプだとすれば、マッサマンの辛さは素早くレイピアで刺して一撃離脱していくような感じの攻撃。確かに辛さはあるが、すぐに引いていくためそんなに辛く感じない。ちょっとピリッとする程度。
特徴は、その風味の複雑さと奥深さだ。スパイスの迷宮とでも言おうか。真っ先に来たのはローリエのように感じられたが、食べていると奥からどんどん別のスパイスのフレーバーがワーッとあふれ出てくる。何か特定の味で形容するのは困難だ。
・新たな一大勢力の兆し
目をつぶればそこはもう東南アジア。絶対に迷いそうな細く入り組んだ通路からなる、地元の人御用達なマーケット。マッサマンを前に油断しすぎると、アヤシくも巧みなテクニックでよりディープなスパイスの世界に連れていかれ、もう戻ってこられないだろう。
ごろチキの荒々しさに全身を貫かれ、その強引さで身もだえしたい系の人にとっては、少し物足りないかもしれない。また、バターチキンのまったりとした優しいコクのあるうま味を求める人にとって、マッサマンのスタイルはややハードに感じられそうだ。
バターチキンの登場で、創業ビーフカレー派、ごろチキ派、バターチキン派の3つに分かれ、すでに混迷を極めていた我らが日本。ややごろチキ優勢な気配もなくはなかったが、マッサマンの登場によって勢力図は再び書き換わるだろう。筆者はどちらかというとごろチキ派だったが、さっそくマッサマンに鞍替えした。全国展開したら期間中は1日3食マッサマンも辞さない構えだ。
参照元:松屋、Twitter @matsuya_foods、Wikipedia
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼確かにごろチキのような圧倒的パワーは無い。しかしこのテクニカルな感じと程よいパワーはクセになる。
テスト店はこちら💁♂️ https://t.co/QIOwASLPtC https://t.co/Gw34cnMyxO
— 【公式】松屋 (@matsuya_foods) January 6, 2021