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話題の稲作ゲー『天穂のサクナヒメ』で、徹底的に怠惰にまみれた稲作をしてみた結果 / ニートの呼吸からの闇堕ち農耕

2020年11月19日

ゲーム内であまりにもガチすぎる稲作をさせられるということで話題のPS4、Switch、PC用ゲーム『天穂のサクナヒメ』。「農水省やJAのホームページが攻略Wiki」だなどと言われて注目を集め、売り切れが続出して「令和の米騒動」。手に入らないことから「令和の大飢饉」などという言葉も生まれる事態となっている。

2020年中に買うゲームはもう『サイバーパンク2077』だけかなぁと思っていたところで、まさかのダークホースの出現だ。ネットでプレイ動画を見て気になっている人や、絶賛米作りに励んでいる方も多いだろう。

ところで、気にならないだろうか。ガチな稲作を強いられるこのゲームで、果てしなく手抜きで怠惰にまみれた稲作をしたら、どうなってしまうのか……? なお、記事内ではゲームの冒頭の展開や稲作の様子が出てくるので、ネタバレNGな人は気を付けて欲しい

・サクナヒメ

本作の主人公は、タイトルにもあるサクナヒメという幼女チックな見た目の豊穣神。豊穣神ではあるが、冒頭から色々と世間をナメ腐った糞ガキムーヴを見せつける。ちなみに外見は幼女じみているが、神なのでそれなりの年齢らしい。酒も飲む。

どうやらサクナヒメは両親がとてつもなく偉大な神らしく、彼女は親の七光りを存分に活用して自堕落の限りを尽くしているもよう。完全にスポイルされた子供である。ちなみに声は、「宇崎ちゃんは遊びたい!」の宇崎ちゃんや、「ガヴリールドロップアウト」のサターニャを演じた大空直美さんだ。


そんなサクナヒメだが、自業自得な展開の果てに住んでいた場所を追い出されてしまう。そして数名の人間と共に、鬼だらけの島で自給自足のサバイバルライフを送るハメに。こうしてサクナヒメは食っていくため、そして成長するためにも豊穣神である自ら稲作をすることに……というのが冒頭の流れだ。


キャラクターもステージも3Dだが、戦闘は横スクロール。操作については、これまで何かしらのゲームをプレイしたことのある人であれば、2秒くらいで適応できるだろう。

それよりも、本作が注目を集める要因となった稲作だ。筆者は話題になってすぐにプレイし始めたため、最初の稲作時には何の誇張もなく日本各地のJAや、トラクターなどでお馴染みの株式会社クボタの稲作についてのHPなどをチラ見しつつやるしかなかった。

しかしその程度では上手くいかなかったため、2度目の稲作の前にガチに季節ごとの稲作ノウハウを調べ、ソースのリンクなどを整理。もろもろを頭に叩き込んだ上で、ゲーム内の稲作に臨んでいた。


ちなみに、実際の稲作に存在するいくつかの過程は、ゲーム内では存在しなかったり、おおざっぱだったりする。しかし、現実の稲作についての知識と理解は、ゲーム内でも普通に通用する。


・手抜き農耕

そうして2度目、3度目と回を追うごとに、より良い収穫を得ることができた筆者。稲作はやりがいがあるなぁ。大雨や台風の日に田んぼを見に行ってしまう農家の方の気持ちがよく分かった。見に行くよなそりゃあ

結果は気温や降雨量にも左右されるため、毎回新たな反省点や改善点が出てきて向上心を刺激される。このまま稲作マスターを目指して……と、光の農民になろうとしていたところで、ふと思ったのだ。これ、メチャクチャ手抜きしまくったらどうなるんだ? さあ、本記事における本編スタートである。

稲作において、田起こしはとても重要だ。石などを取り除き、土を耕して田んぼを作るのである。ゲーム内でも良い米を作るためには丁寧に田起こししなければならないが……しない


そのまま放置し、働くことなく食っては寝て、食っては寝てとニートライフを続けていると


「『田起こし』は今日中に終えないと自動的に終了します」


自動的に終了とはどういうことか。何が起こるのかそのままにしておいたところ、石が散らばり、土が全く耕されていない状態のまま田植えシーズンに突入。目の前にあるのは、田というよりは四角い荒地

そして納屋では苗が育っており、田植えの時を待っている。


……が、サクナヒメは動かない


そのまま全集中、ニートの呼吸。時が過ぎるに任せて季節は夏に。


「『田植え』の期限が今日までです。行わなかった場合は田右衛門がやってくれますが、品質が大きく下がります」


田右衛門とは、サクナヒメと共に島に来た人間のうちの一人。なるほど、田起こしの時同様に、やらない場合はその状態が放置されたり、NPCがやってくれるということか。放置してみると、荒地に整然と稲が植えられ、しかも少し育っている感がある。自分で植えた時よりも並び方が綺麗だ


なんだ、何もしなくても自動で進むのか。ということでこのまま最後まで放置し続けた結果、何だかんだで稲は育ち、収穫され、脱穀など最後の工程まで行くことに。こうして何もしないまま自動で稲作を終えたところ……


詳細が表示されなかった


サクナヒメでは新米が完成すると、その米が育つ過程での日照量や温度、水嵩などがやたらと細かく数値化された詳細が表示されるのだ。しかし、完全にニートを貫いて全てを時間切れからの自動で進めたら出てこなかった。所持品の玄米が増えている気がするので、それが収穫分なのだろうか?



これはこれで一つの結果だが……しかし手抜きされた稲がどんな状態だったのか、どんなクオリティの米に仕上がっていたのかまるでわからないではないか。手抜きしまくった場合の詳細が知りたい


・シーズン2

ということで、次は結果を見るためと、自動進行に任せるよりも非常識な結果を目指すため、最低限は自分でやることに。ニートではなくなるが、ニートよりもタチが悪い闇の豊穣神爆誕である。

まずはサクっと田起こしをスルー。ここまではシーズン1と同じだ。土の状態をチェックしてみると、馬鹿苗病が猛威を振るっていた。リアルでは稲が成長しすぎて米の収穫量が減る病気。サクナヒメにも実装されていたんだな。


・かなり寄せて

この疫病が蔓延する土に田植えをしていく。が、あくまで怠惰であることを諦めたくない。自動進行よりも駄目な結果を目指して、なおかつ極限まで怠けるにはどうすべきだろうか? ……せや! 一歩も動かず全部同じ場所に植えればええやんけ!!


確か苗は500本ほどあったと思うが、それを全て1歩も動くことなく同じ場所に植えるというソリューション。イノベーティブだ。途中で何やらスキルを獲得し、1回で3カ所に植えられるようになったが、まあ些事だろう。サクナヒメも「かなり寄せて植えたぞ!」と、満足気。


・そして収穫へ

あとはもう収穫まで特に作業は無い。田には水を一切入れないので、まるで畑のようだ。雑草も除去しないが、土が痩せているためかそこまで雑草が生えてこない。こんなハードな環境でも稲は育っていく。

いちおう毎日稲の状態をチェックし、新しい異常が増えていないか確認してみることに。最初は馬鹿苗病だけだったが、すぐさま徒長(とちょう)と倒伏(とうふく)、そして稲熱病(いもちびょう)を確認。稲熱病とは、リアルでは稲の各部位が変色して、枯れていく病気だ。


しかしゲームでは枯れてしまわないのが優しいところ。リアルなら一瞬で全滅して収穫など到底無理だっただろう。なお、収穫時に状態をチェックすると、追加で縞葉枯病(しまはがれびょう)にかかり、坪枯れ(つぼがれ)もしていた。


・収穫へ

それではいよいよ刈り取りである。同じ場所から1歩も動かず植えたため、刈り取りも1歩も動かずにできる。ひたすらボタンを連打するだけの楽な作業だ。同じ場所で刈り続ける様子を映像で残したいため自分でやったが、途中からは田右衛門に任せても良かったかもしれない。

刈り取ったあとは、稲架掛け(はさがけ)をして稲を干す作業に入る。木で作られた枠的なものに、刈り取った稲をひっかけて天日干しにするのだ。

もうすでに冬になっており、ここで放置して時間が経過してしまうと、再び自動で進んで春までに全行程を終えることができず、最後の詳細を見られなくなってしまうリスクがある。なので、自分でせっせと干していき……

干し終えると同時に即回収。サクナヒメも「全然乾いとらんぞ」と言っているが、気にしてはいけない。


回収後は納屋で脱穀だ。こき箸でガシガシ行くぞ! と意気込み1回やったが、もう49回もやらなければならないことに気づき、田右衛門に任せることに。稲の乾燥度は25%。全然乾いとらんな。


もはや完成は目前だ。最後の工程である、籾摺り(もみすり)に突入。頑張れば頑張るほど白米に近づいていくが、サクナヒメは頑張らない。籾(もみ)が玄米に変わった瞬間に完了……ッ! こうして怠惰と非常識の限りを尽くした稲作が終わってしまった。

気になる結果は……


:12
お米の入手数:36


今回は5年目で、真面目に育てたのは3年目まで。全行程自動でスルーして詳細を見ることができなかったのが4年目だ。今回出た結果がどの程度のものなのかよくわからない。

誰か真面目に育てて5年目の収穫を迎えた人いないかなぁ……と「サクナヒメ 5年目 格」などでググると、WEBメディア AUTOMATIONの「稲作アクションRPG『天穂のサクナヒメ』における「農林水産省攻略wiki説」は本当なのか?」という記事を発見。

そこには「5年目の収穫を終えた現在の格は17」とある。筆者の収穫した闇堕ち怠惰米より、格が5も高い。そういえば初年度の格の上昇値が5だったように思う。

AUTOMATIONの記事では真面目に現実の稲作のノウハウに基づいてプレイしたのだと思うので、4年目と5年目の2年間で、格の上昇に初年度1年分の差が開いたと考えられる。いや、これだけメチャクチャでも1年分で済んでるのか

詳細も見てみよう。基本的に、さまざまな項目にて何もしていないので「0」の表記が多い。田の起こし率は0、石の除去数も0、平均水嵩(みずかさ)も0。


米の状態は、収穫時に出ていた病害はそのままに、しらた米と胴割米(どうわれまい)が追加されていた。ヒュー、この米はさぞ不味いことだろう! 6年目に人間どもに食わせてやろうではないか。


・何だかんだで

ということで多くのプレーヤーが真面目に育てる中、あえての逆を行くスタイルで稲作を終えてみたが、いかがだっただろう。どうなることかと思われたが、何だかんだで収穫には行きつけるという結果に。ちなみにシーズン2の全行程はYouTubeにアップしてある。

もしかしたら、稲全滅からの完全な不作エンドという事態は起きないようになっているのかもしれない。試そうにも、今回以上に稲に負担をかけるヤバいスタイルなんて……

そうだ、今回の「闇堕ち怠惰農法」(筆者命名)に、塩分過多な堆肥を撒いて土の毒性を強くしてしまう、通称「カルタゴ農法」を取り入れてみるのもいいかもしれない。今回は水を一切入れなかったが、逆に水没するほどに極限まで水を入れ続けてみるのも面白そうだ。

真面目に育てても、マッドな実験農場的な方向に突っ走っても、どちらでも楽しめる『天穂のサクナヒメ』。本記事では触れなかったが、戦闘もプレイスタイルによってはかなりスタイリッシュを極めることができる。小規模な同人サークルによる開発とは思えないほど、やり込みがいのある良いゲーム。迷っているなら買いだ!

参照元:天穂のサクナヒメAUTOMATION
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼シーズン2の様子を動画で見たい方はこちら。

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