鱧(はも)に縁のない生活を送ってきました。地元福岡では、あまり馴染みのない食材だったように思う。それがどうだろう、関西にやって来てからと言うもの、夏場になるとあちこちで鱧を見かけるではないか。スタンダードな食べ方は、どうやら湯引きらしい。
確かに、これがウマい。そして淡白な魚であるだけに、湯引き以外にも活用できそうだ。なにかほかにも手はないモノか……と考えていたところ、ある漫画にて発見。鱧を豆腐と混ぜ合わせることで、ハンバーグっぽいものが作れちゃうらしい。さっそくやってみっか!
・サッパリしてそう
ある漫画とは、磯谷友紀さんによる『ながたんと青と』だ。物語の舞台は、戦後間もない京都。主人公である、老舗料亭の娘・いち日(か)が料理をしながら、奮闘する様子が描かれている。
鱧を使った料理が登場するのは1巻の第2話。京都人の食べるものについて馬鹿にされた主人公が、ちょっとカチンと来て「いっちょ美味しいもの作ったろ」ということで出来上がったのが “ハンブルグ・ステーキ梅ソースがけ” である。
これは鱧をたたいて豆腐やなんやかんやと混ぜてこね、焼き上げ梅ソースをかけたものだ。なんだかヘルシーそうだし、サッパリしていて夏に良さそうではないか。詳しい作り方は、以下をご覧あれ!
【材料】
・鱧:140g
・ししとう:8個
・玉ねぎ:4分の1個
・豆腐:4分の1丁
・卵黄:2個
・生姜:適量
・片栗粉:適量
・梅干し:4個
・酒:適量
・みりん:適量
・薄口しょう油:適量
・砂糖:適量
・塩:適量
【作り方】
1. 骨切した鱧を、皮からそぐようにして身を取っていく。取った身を包丁でたたいてすり身状にする。
2. 豆腐を潰しながら1と混ぜる。さらにみじん切りにした玉ねぎと、しし唐のうち半分を混ぜる。
3. 2におろし生姜を入れ、塩・酒・みりん。薄口しょうゆで味付ける。
4. 3に卵黄を入れしっかりと練って、小判型にする。
5. 油を敷いたフライパンで4と、しし唐を焼く。
6. 叩いた梅干しと、酒・みりん・砂糖・しょう油を火にかけ混ぜる。6対6対2対1くらいの割合がベター。煮立ったら火を止め、水で溶いた片栗粉を流し込みとろみをつける。
7. 焼きあがった5を皿に盛り、6をかければ完成。
・お腹に優しそう
皮つきの鱧はそうそう売っていないだろうと思いながら、近所のスーパーに足を運んだ記者。すると、皮どころか頭まで付いた鱧がいるではないか。ビックリ! まあ生の鱧を見つけられないという人は、湯引きされた状態で売られているモノで代用しても良いだろう。
出来上がりを口に入れて気付いたのだが、鱧って割と鱧らしいクセがあるようだ。そのあたりは生姜や梅干しにより中和され、ウマいこと味がまとまっていたので安心してほしい。イメージとしてはいわしのハンバーグを、よりアッサリさせた感じであろうか。なるほど、こういうことね。
ししとうのシャキシャキした歯ごたえがありつつも、全体的にはフワッとしていて美味しい。豆腐が入っているからか、まろやかな舌触りと後味だ。適度にもっちりしており、豆腐ハンバーグとも違う。これは、ありそうでなかった味かもしれない。鱧ってこんな使い方もできるんだなあ……。
お腹にも優しそうで、夏場にはもってこい。そもそも鱧が夏場以外はあまり売られていないので、夏しか楽しめないとも言える。日本酒とも合いそうだ。なにはさて置き、身近で鱧を見かけることがあれば試してみてはいかがだろう。ちょっと新しい鱧に出会えること、請け合いだぞ。
参考リンク:ながたんと青と-いちかの料理帖-
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
▼アッサリして美味しかった
▼『ながたんと青と』はそのほかにも面白いメニューがたくさん載っていてオススメ