ロケットニュース24

緊急事態宣言中だけどカリフォルニアのフェスに出演した結果 → 称賛の嵐に再び震えた

2020年5月2日

先の見えない新型コロナの猛威が世界を覆っている。各国都市はロックダウンし、日本でも2020年4月7日に緊急事態宣言が発出。今のところ今年を漢字1文字で表すなら「禍」だろう。

禍とは災厄とか災難という意味があり、我々が外出自粛中だったりするのは誰のせいでもない。とは言え、もう2カ月くらいテレワークな私(中澤)。部屋の中にずっといると憂鬱な気持ちも募る。そこで、バンドでカリフォルニアのフェスに出演してみたぞ

配信で。アメリカはカリフォルニアのラジオ・DKFM が毎年開催している音楽フェス『DreamGaze ATX』。もちろん2020年は中止になったのだが、代わりに起ち上がったのが配信フェス『DreamGazeWorldwide』である。

世界中からミュージシャンがビデオ出演するこのフェスは、社会的距離を保ちながら音楽を楽しむ試み。これに私(中澤)がギターを弾くバンド『si,irene(シー・アイリーン)』も出演することになったのは以前の記事でお伝えした通り。

・本当に配信されるのか?

ちなみに、配信される予定なのは以前スタジオで録画したライブ映像。とは言え、配信日当日までフェスがどんな内容になるのかはわからなかった。なぜなら、タイムスケジュールなどの詳細は送られて来なかったからである

まあ、海外だし、日本の常識が通用しないことは昨年のイギリスフェス出演でも味わった。あと、向こうもフェス中止からの急遽の配信フェスで相当バタバタしていることは間違いない。カリフォルニアはロックダウン中だから何かと大変だろうし。でも、本当に配信されるんだろうか……?

ただでさえ混乱がある上、我々は無名中の無名だ。バタバタで忘れられてたりして。その不安だけが拭いきれず当日を迎えた。

・配信フェス開始

日本時間4月25日11時からDKFMのFacebookページでフェスの配信が開始。次々と登場するバンドは、アメリカやヨーロッパだけでなく、東南アジアっぽい人もいて本当に世界中から集まっていることが分かる。映像の場所も、ライブハウスや部屋、スタジオなど様々。

また、チャット欄では英語コメントがどんどん更新されていく。イベントは盛況だが、それだけに我々が受け入れられるかどうか気がかりだ。コメントの勢いが止まったらちょっとヘコむ。

・3時間経過

開始から3時間。si,ireneはまだ登場しない。それにしても、日本人バンドがたまに登場するけれどみんな素直にクオリティーが高いと思う。ライブハウスの中では上位の渋谷WWWとかのライブ映像を流してるバンドとかいるし。バンド名とか曲名のテロップ出してるし。コメント別録りしてるし。ちゃんとしてはる

対して、我らは下北沢の10畳くらいのスタジオでiPhone撮影だ。テロップもない。新型コロナで分断されるまでもなく、国内の音楽シーン的には孤島にいるようなものである。独立しすぎて無人島系だ。人に会ったら嬉しいレベル。

でも、懲りずに音楽を発信したくなるのは、無人島にいながらもいつも人を探してるからかもしれない。「ここに人がいたら嬉しいな」とか思いながら。要するに寂しいのである。

と、あまりにsi,ireneが出てこないので考えにふけっていると、画面から「フロム・トーキョー・ジャパン」とか「シーアイリーン」って聞こえた気がした。ふと画面を見てみると……

私が映ってました


イベント開始から3時間30分。もはや8割くらい諦めていた。なんらかの審査基準があってそれに合格できなかったんだと。それだけに画面に自分が登場して驚いた。ワシやないかッ

・コメントを見てみると

ただ、演奏よりも気になるのはコメントの方だ。はたして受け入れられるのか? ここに人はいるのか? 恐る恐るチャット欄を見てみると……


「このバンドなんていう名前?」


「初めて見たけどクソ興奮してる」

「俺も」


「素晴らしい」

「だよな! だよな!」

「スゲェェェエエエ」

「great groove」

「おおおおおおお」


……。


泣いた


無人島に突然人が現れて抱きしめられたような気分である。人って、こんなに温かいんやね……。

新型コロナ対策で多くの人が分断されている今。しかし、そんな中でも人の温もりを感じることができる。距離が離れていようとも、言葉の壁があろうとも。憂鬱な気持ちや孤独を感じるならば芸術に触れてみよう。それはあなただけではなく、作者に温もりを与えるコミュニケーションでもあるはずだから。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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