若者のクルマ離れ──なんて言葉を聞くようになって久しいが、バイクはどうなのだろうか。娯楽が多様化したことによる地位の低下という意味でいえば、バイクも似たような状況ではないかと思う。
そんななか、バイクメーカー大手のホンダが自社のバイクを「無料」でレンタルするというサービスを昨年から始めている。詳細は後述するが、まず最初に大事なことを述べておきたい。
それは同サービスがバイク初心者にこそ体験してほしいものだということ。そしてバイクの免許を持ってない人でも楽しめるものだということ。ここ、重要ですからね!
・普通自動車の免許があればOK
今回紹介するサービスの名称は「HondaGO BIKE STAND」。二輪市場活性化を目的としたプロジェクト「HondaGO」を構成するサービスのひとつで、若年層にバイクの楽しさを知ってもらうことが目的とされている。
冒頭にも述べたとおり、本当に無料でバイクを借りることができる。観光地のホテルやレジャー施設などが貸出場所となっており、2020年3月16日現在で全国に4つのサービス拠点がある(詳しくはこちらを参照)。
レンタル対象の車両は50~125ccのミニバイクとなっており、特に50ccの車両は普通自動車免許に付帯する原付免許で運転が可能。つまり排気量とか車種とか細かいことは置いといて、まず二輪の楽しさを知ろうぜという趣旨のサービスだと考えていいだろう。
いちおう筆者もライダーの端くれであり、記事を書いて人に何かを伝える職業でもある。そこで今回は実際にサービスを利用しながら、筆者なりにバイクの面白さを伝えてみようと思う。
・謎のキラキラバイク現る
関西地区では唯一のサービス拠点となっているホテルアンテルーム京都にやってきた。利用の流れとしては電話かメールで事前に予約をしておくか、フロントでの当日受付も可能。特に難しい手続きはない。
バイクはジョルノ、クロスカブ、タクトの3種類から選択できる(いずれも50cc)。特にタクトはアーティストとコラボした特別デザインの車両が用意されているとのこと。じゃあせっかくなので、それに……
と思いきや……
ちょっとデザインのクセが強すぎるような……
思いっきり「観光」とか書いちゃってるし。なんかめっちゃキラキラしてるし。この奇抜なバイクを平然と乗りこなすには、レディー・ガガくらいのファッションセンスが必要な気がする。とにかく筆者には早すぎた。
ということで、イエローのジョルノをチョイス。うん、絶対こっちの方が良いって!
・のんびりプチツーリング
さてバイクを借りたはいいが、どこに行こうかという話である。筆者にとって京都は地元なので、急にどこかへ行けと言われても逆に思い付かない。
とりあえず「あぶり餅」が美味しいことで有名な今宮神社を目指すことにした。ホテルからの距離もほどよいし(10km弱)。
最短経路だと市街地を抜けていく感じになるのだが、ここはあえて遠回り。鴨川沿いをリバーサイドクルーズと洒落こもう。
なんといっても日光と風を体いっぱいに受けながら走れるのがいい。これは声を大にして言いたいことだが、風を感じながら走る楽しさというのは、実は大型バイクだろうが小型バイクだろうがあまり関係ない。
重要なのは車と違って体が外に出ているということ。細かいバイクの知識を仕入れる前に、まずその楽しさを知ることが何より重要なのだ。
どうせスピードは出ないので、景色を眺めながら左端をのんびり走る。もちろんバイクを停めて川原で休憩したり、写真を撮ったりしてもよし。バイクの楽しみ方は無限大だ。
そんなこんなで今宮神社へ到着し……
境内を散策し……
名物の「あぶり餅」を食べ……
帰りにチラッと東寺の五重塔を見て……
バイクを返却。都合3時間のプチツーリング。自分で言うのも何だけど、素敵な休日でしょ? かかったお金は「あぶり餅」の500円だけですよ~。
・バイクに乗ろう!
今回ジョルノに乗って京都を走り回ったわけだが、改めてバイクの面白さを再確認することができた。そして原付バイクは二輪の醍醐味を知るためのツールとして非常に優秀だとも思った。
その理由は、ストレスを感じることがないから。初めてのライディングでストレスを感じては全く意味がない。もちろん大型バイクには大型ならではの良さがあるのだが、こと利便性という点ではスクーターに軍配が上がる。
ギア操作がないのでエンストの心配もないし、メットインに荷物を入れられるのでプチツーリングならカバンも不要。車重が軽いから取り回しだって楽勝だ。
余計なことを考えず、風を切って走る楽しさを知らないことには何も始まらない。あとは個人の好みに応じて小型バイクを買うもよし、中型や大型にチャレンジしてもいいだろう。
そういう意味では、まさに「HondaGO BIKE STAND」はバイク未経験の人にこそオススメしたい。まだ拠点の数が少ないので限定的なサービスとはいえるが、ちょっとバイクに興味があるなという人は試してみてはいかがだろうか。
最後にひとつだけ。今回バイクを借りたホテルでは、施設利用の有無によりレンタル可能時間に違いがあった。そのあたりの細かいルールは各拠点により異なる可能性があるので、実際に利用する場合は事前に問い合わせてみてほしい。
それでは、暖かくなってきたらどこかのツーリングスポットでお会いしましょう!
参照元:HondaGO
Report:グレート室町
Photo:RocketNews24.
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