サービス開始から1カ月あまりで販売を終了した牛角の『焼肉食べ放題PASS』。通常3480円の食べ放題コースを1万1000円で毎日利用可能とあって人気に火がついた。さすがの牛角上層部も「ヤベェ、安くしすぎた」と、つぶやいたかどうかは定かでないが……。
前回購入しそびれた私に朗報が飛び込んできたのは3月2日のこと。牛角サブスクの第2弾が試験的に販売開始されたというのである。今度こそ乗るしかない、このビッグウェーブに!
ところが……!
・コレ大丈夫なのか?
第2弾の内容をよくよく調べてみれば、細かく7つのプランに分けられている様子。1つは「飲み放題」のサブスクであるため、食事コースは6つだ。プラン名と概要は以下の通り。なお実施されているのはユーカリが丘店、西千葉店、東十条店、阿佐ヶ谷北口店、鎌ヶ谷店の5店舗。
・【平日早遅】500g焼肉定食(1万8700円)
・【平日早遅】350g焼肉定食(1万3200円)
・【平日早遅】黒毛和牛定食(1万4300円)
・【平日早遅】麺屋牛角(麺1杯+焼肉1品)(1万1000円)
・【平日18時まで】5種人気焼肉盛り(サラダ、スープ付き)(1万1000円)
・【土日祝17時半まで】5種人気焼肉盛り(サラダ、スープ付き)(8800円)
・【毎日使える!】生ビール付き50種類以上飲み放題(5500円)
食べ放題が無ぇ!
……のは、まぁ仕方ない。理解しづらい『平日早遅』コースについては「来店が平日18時まで、もしくは22時以降の場合にご利用いただけます」とある。なるほど、幸い私は時間の融通が利く身だ。ランチに焼肉ってのも悪くないな。とか思ってたら……
ランチ営業してる店舗が無ぇ!
5つの実施店舗の平日営業時間は全て17時〜24時。土日祝は16時〜24時(店舗状況次第で変更の可能性あり)である。
・『平日遅早』=平日の17〜18時の1時間もしくは22〜24時の2時間の間でしか利用できない
・『平日18時まで』=平日の17時〜18時の1時間の間でしか利用できない
・『土日祝17時半まで』=土日祝の16時〜17時半の1時間半の間でしか利用できない
……ってややこしいな!
つまり今回のサブスク、ランチはもとより一般的な夕食タイムに使用することもできない。早め or 遅めの夕食にのみ使用可能なため、まずその時間に来店可能な人が対象ということになる。
また少ない回数で元を取ることが難しいコース内容であることから、電車代を使ってまで店舗へ赴くことはあまり現実的ではない。よって5つの実施店舗の近くに在住 or 勤務していることも条件であるといえよう。う〜〜〜ん、これ本当にお得なんだろうか……?
・やらずに後悔より……
モタモタと躊躇(ちゅうちょ)しているうち、販売終了となるコースも出始めた。誰でも最初は怖いものと自分に言い聞かせ、私は初めてのサブスクにチャレンジしてみることに。
『MONSTER PASS』というサブスクのポータルサイトで、事前にパスを購入しておく必要があるらしい。サイトを見ると様々な飲食店でサブスクを実施していることが分かる。
自分のライフスタイルと相談の結果『【平日18時まで】5種人気焼肉盛り(サラダ、スープ付き)(1万1000円)』を購入だ。
クレジットカードで支払いを済ませ……
お店でスマホ画面を見せればOKなんだってさ! とっても簡単!
・大誤算
開店の17時より前に実施店舗へ到着した私であるが、 “開店を待ち構えていた” と思われては女子として恥ずかしい。時間をつぶして17時15分に入店した。ルール上17時59分までならOKであるようだ。
オズオズとスマホを提示し、消え入るような声で「サブスクひとつ……」と宣言した私。すると不思議なことに、お店の方が「ご注文は?」と尋ねてくるではないか。再び今度は大きめの声で「サブスクなんですが」と伝えてみた。
そこで返ってきた驚愕の返答に、私の思考は5秒間停止することになる。
「別で1品ご注文いただくことになってます」
エ、エェェーーーーーーーーッ!!!!!
何かの間違いではとも考えたが、そうでないことは店員の方の表情を見ればすぐに分かった。動揺しつつもドリンクメニューを見渡し、『ウーロン茶290円(税抜)』が最も安いと判断したため注文。こっそりサイトを見直してみると……
細かいルールの中には「ご来店毎に1パスにつきドリンク1杯または料理1品をご注文頂きます(パス併用の場合を除く)」という記載が確かにある。しかしながら私はこのルールを何度も読み返したうえで「選べるメニューがあるという意味だろう」と判断していたのだ。
だってだって……定額料金払ってるのに追加料金かかるとか……普通そんなん思う……?
おそらくこういった状況に慣れているとみえ、不服そうな様子の私にお店の方は「0円で伝票をお出しできないので」という理由を述べておられた。そんなことってある……?
しかしその後メニューを見てみれば、『コーンバター』190円、『やみうまスタミナだれ』150円、極めつけは『韓国のり』100円など、ウーロン茶より安いメニューが多数存在している。確認したところ1品注文ルールは100円の『韓国のり』でも全く問題ないとのことなので、「伝票0円不可能説」もあながち本当なのかもしれない。
来店するだけ得をすると思われていたサブスクだが、来店するたびに最低110円(税込)が追加で発生するとあっては非常に計算がややこしい。事前に明記されていたとはいえ、「もう少し分かりやすいルールにならなかったのか」という気も少しする。
・しかし悪くはない
ほどなくして運ばれてきた『チョレギサラダ(レギュラー)』はなかなかのボリュームである。通常価格は590円(税抜)。
『わかめスープ』は箸休めに。通常価格は390円(税抜)。
そしてお待ちかねの『人気5種盛り』は……
デカイ!
パスに書かれた情報によれば、この5種盛りの正体は『ファミリー牛角盛り』。メニュー名が微妙に異なる理由は謎だが、ファミリー牛角盛りの公式情報は以下の通りだ。
牛角カルビ 80g
ロース 70g
ピートロ 70g
厚切りカルビ 60g
王様ハラミ 50g
ガーリックバター
通常価格は1980円(税抜)。トータル330gもあれば、焼肉1食分として十分な量と言えるのではないだろうか。
1人焼肉も慣れれば悪くないものである。カウンター席にはサブスクとみられる1人客の姿がチラホラ。「あなたも……ですよね」とばかりに、言葉を交わさずとも目線で会釈する大人の社交場だ。
肉は生焼けくらいがちょうどいい派の自分には、むしろ1人焼肉のほうが向いている気がしてきた。
・大誤算2
肉を半分ほど食べ終えたころ、私は待ちわびている商品が運ばれてこないことに苛立ちを感じていた。そう……ライスである。ひょっとして私が女性であるのを見て、ライスは不要だと判断したのだろうか? 私がダイエット中に見えたとでもいうのか……?
確認のため再びパスの規約を見直してみると……
ライス、付いてなかったァーーー!!!
この件に関して牛角サイドの落ち度は全くない。私が見落としていた、というよりは勝手に思い込んでいただけの話である。でもでも……普通こういうのってライス付いてるもんじゃない? しかもおかわり無料だったりするもんじゃない……!?
ちなみにその他『定食』のサブスクコースには「ごはん無料」と書かれていたため、コース決めの段階で混同した可能性もある。
何度も言うが私は事前に規約をよく読み、間違いがないよう当編集部メンバーにも確認してもらった。それでも見落としや勘違いが生じたのだから、サブスク購入を検討している人はあらかじめ慎重すぎるほどルールを確認しておくことを強く勧める。
・結論
とはいえ全ての皿を食べ終えてみれば、ちょうど「腹八分目」くらいであった。女性やダイエット中の人にはベストな量と言えるかもしれない。しかし男性や腹ペコ女性には物足りない可能性が高いので、1品注文のルールにのっとり「ごはん」を追加注文するといいだろう。
今回の『【平日18時まで】5種人気焼肉盛り』コースを普通に注文した場合、合計金額は3256円(税込)。単純計算だと4回通えば元が取れるしくみだが、先に述べたように「1品注文ルール」でいくらの商品を注文するかによって変動するため一概に結論づけるのは難しい。
牛角サブスク第2弾、個人的な感想としては「けっこうアリ」である。腹八分目で済ませたためか翌日になれば再び「肉を食べたい欲」が湧いてきた。おそらく週に2〜3回は飽きずに通えるはず。そうなると1回1000円……かなりお得だ。
例えば1カ月間全ての平日で来店可能な人などにとっては、相当お得なパスであることは言うまでもない。こればっかりはケースバイケースと言うほかないだろう。
『焼肉食べ放題PASS』のインパクトが強すぎたために、スケールダウンしたとも言われる牛角の新サブスク。しかしよく考えてみてほしい……焼肉食べ放題を毎日やりたいか? ほどよい量のほうが長く続けられるとも考えられるのではないだろうか?
全ての人が同じだけ得するサブスクは存在しない。趣向やライフスタイルに合わせて、自分に適したサブスクをよ〜く吟味する必要がある。
なお今回の牛角サブスク、店舗によってはすでに売り切れているプランもある。購入を検討している人は早めの決断を!
参照元:牛角ホームページ、MONSTER PASS
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
Screen Shot:MONSTER PASS(iOS)