バイリンガルってマジ凄い。私(中澤)は「今年こそ英会話できるようになりたい」と毎年思っているが、現状はヒアリングさえ満足にできないレベル……本当、耳の構造から向いてないんじゃないかと思ってしまう。
しかし、知り合いのパキスタン人留学生は、母国語の他に英語は標準装備で、さらに日本語での会話も少しずつできるようになってきている。尊敬だ。そんな外国人留学生たちは日本語学校でどんな授業を受けているのか? 授業参観してみたぞ!
・パキスタン人留学生のイマ
協力してくれたのは、日本語学校「ホツマインターナショナルスクール」だ。以前一緒に海に行ったパキスタン人留学生たちも通うこの学校には、世界各地から学生が集まっている。廊下を歩いていると、さっそくパキスタン人留学生のラザと遭遇。ラザ久しぶりー!
ラザ「お久しぶり! 今日は何をしますか?」
──今日は普通に授業の取材で来たよ。
ラザ「そうですか……」
──ガッカリされてしまった。それにしても日本語が大分しっかりしてきたなあ。普通に会話できるようになってるしスゴイ。もう少し廊下を歩いてみるとタルハもいた。久しぶり!
タルハ「お久しぶりです! 今日は何をしますか?」
──今日は授業の取材なんだよね。
タルハ「そうですか……」
──大変ガッカリされてしまった。さておき、タルハも海に行った時は、ほぼ日本語が通じなかったのだが、順調に会話ができるようになっている。
・授業参観へ
ホツマインターナショナルスクールの授業の成果を肌で感じつつ教室に向かった。授業が行われている教室にお邪魔したところ……
漫才やってる!
そう、本日開催されているのは「漫才で覚える日本語」というクラス。吉本の漫才コンビ『フランポネ』と『しらゆみ』を講師に迎え生徒たちが実際に漫才を行う授業である。
・ハードル高くね?
しかし、漫才なんて日本人の私でも多分できない。しかも、留学生にとっては外国語であることを考えると、アメリカ人相手に英語でスタンドアップコメディーを披露しろと言われているようなものだ。それはかなりハードルが高い気がするが……大丈夫なのだろうか?
まずは、講師が教科書的なネタで見本を見せる。笑いではなく日本語のやり取りとして見ると、漫才はほとんど口語なので見れば見るほど難しそう。
留学生たち、きょとーん。
そりゃそうなるわな……と思っていると、サンプルの台本が配られた。そこには、自己紹介から始まる漫才のおおまかな流れとボケの例が書かれている。実演も交えて、説明をする『フランポネ』のマヌーさん。これは教える方もなかなか大変である。
・ネタ実演
とは言え、マヌーさんは日本語以外にも、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、オランダ語の5カ国語をマスターしているマルチリンガル。その語学の経験からか、留学生でも理解しやすい日本語を選んで説明しているように感じた。そして、留学生同士コンビを結成しコンビ名が決まる。
徐々に集中度を増していく留学生たち。おっかなびっくりネタ合わせをして1回目のネタ見せを迎えた。1コンビずつ前に出て自分たちで考えたネタを実演していくのである。見てる方まで緊張するが……
想像より形になってる!
照れ笑いなどがありつつも、ちゃんと漫才的なキャッチボールをしてるじゃないか! スゲェェェエエエ!!
・最後のネタ見せへ
そんな留学生1人1人に向き合うようにマヌーさんがアドバイスをしていく。残り10分ほど。ネタを練って最後にもう1度実演するのだという。
最初は乗り気じゃないように見えた留学生も……
気づけばネタ合わせをしていた。
その表情は真剣そのものである。
そして、最後のネタ見せがやって来た。もはや照れ笑いはなく、全力で漫才をする留学生たち。ネタを話すだけでなくちゃんと演じている! どうやら、漫才がどういったものかは完全に理解したようだ。
緊張も和らぎクラスに笑いが広がるひと幕も。そう、これが漫才。真剣だからこそ面白い。人生と同じだ。外国人留学生たちにまた1つ大切なことを教わった気分である。
・今日の笑顔を忘れないで欲しい
そして、90分の授業が終了。私は終始、「自分が外国人でこの授業を受けていたら」という気持ちで見ていたのだが、最終的に全組がちゃんとネタを作り演じたことには驚いた。
卒業後は就職に専門学校にとバラバラになっていく留学生たち。夢への道のりは決して楽ではないだろう。しかし、日本で真剣に学び、真剣に笑う今の時間は宝になると信じたい。未来の彼ら彼女らが笑っていることを願って。
関連リンク:ホツマインターナショナルスクール
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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