ロケットニュース24

油そばなのにマジでヘルシーな「漢方油そば」が最強と言うほかなかった / 東京・大塚『麺屋 帝旺』

2019年12月2日

すでに30年の人生を生きてきた筆者だが、最近ふとした折に思うことがある。「好きな食べ物ばかりを食べていたら栄養が偏る人間の仕組み、理不尽すぎやしないだろうか」と。例えば油そばだ。筆者の大好きな油そばばかり食べていたら当然不健康になってしまうし、こってりしている分、余計にそのリスクは高いと思われる。

油そばからあらゆる栄養を摂取できるよう肉体を改造したいと何度も願ったものだが、残念ながら現代のサイボーグ技術はそこまで発達していない。だがしかし、普通の油そばより遥かにヘルシーな油そばというのは、実はもう存在しているのだ。その1つとして挙げられるのが「漢方油そば」である。

・革新的メニュー

「漢方油そば」とは、文字通り「漢方が入った油そば」のことだ。とあるお店でそのメニューが食べられると初めて知った時の衝撃はすさまじく、フットワークの鈍重な筆者を瞬時に現地へと弾き出したほどである。

漢方はどうしても薬用のイメージが強いし、一体どんな味に仕上がっている一品なのか気になる。不安もありつつ、しかしそれを上回る好奇心を抱えて、東京・大塚のラーメン屋「麺屋 帝旺(ていおう)」に向かった。

「醤油ラーメン(650円)」や「特製つけ麺(750円)」なども用意されている中で、やはり注目したいのは油そばだ。「辛し油そば(700円)」というメニュー名のそれが、今回ご紹介する「漢方油そば」であり、このお店の目玉商品でもある。

店先の立て看板に記載してある説明によれば、「中国から取り寄せた15種類の漢方をブレンドしたオリジナルのラー油を使った油そば」とのこと。じかに漢方薬がふんだんに入っていたりしたら食指が硬直していたところだったので、少し安心した。

さらに読み進めると、「疲労回復、血液サラサラ、滋養強壮に効果があります」とまで書かれている。油そばのはずなのに、説明文がすっぽん鍋と紙一重だ。

この時点で革新的なメニューだとわかる。ヘルシーな油そばと言えば、日清から2019年8月に発売された完全栄養食の油そばについてレビューしたことがあるが、ここのお店はそれよりも前から「漢方油そば」を売り出していたのだ。世界は広い。そして未来は明るい。

とはいえ、「油そばに漢方が入っている」ことへの不安はまだぬぐい切れてはいなかった。入店し、注文したあとも色々な意味で落ち着かなかったが、やがてやってきた実物によって感情が上書きされた。

見た目は普通の油そばと変わらない。つやめく太麺に加え、チャーシューや煮卵、揚げネギなどの具材が食欲をそそる。一抹だけ残っていた警戒心も消え去り、欲望のままに麺をまぜてすすった。

美味しい。まろやかな口当たりの中を、きりっとしたタレの味わいがネギの香ばしさをまといながら突き抜けてくる。ギトギト系というよりとろみのある感じで、くどさのない濃厚さが素晴らしい。ラー油のピリ辛具合もちょうど良い。

そして何より、漢方感が全くない。正直に言えば「少し漢方の独特の香りがあるが許容範囲だ」的な感想を用意していたのだが、そんな皮算用ならぬ漢方算用が恥ずかしくなるほどに、本当に漢方臭さが少しもないのである。

たとえ少量であっても、漢方が入っていれば何かしら違和感を覚えるものだと思う。まして事前に「入っている」と知っていればなおさらだ。にもかかわらず、この自然な溶け込み具合である。これはイリュージョンだ。漢方消失マジックだ。

ここまで食べやすい仕上がりに至るまで、どれほどの試行錯誤があったのだろうか。素人には見当もつかないが、何にせよ感服するばかりである。


・最強の油そば

というわけで、「漢方油そば」は油そばとしての美味しさをきちんと備えていながら、そのうえ健康面にも配慮された画期的な一品だった。欠点など見当たらないし、もはや最強と表すほかない。漢方のイメージにとらわれず、ぜひとも多くの方に食べてもらいたい。

素晴らしい料理を素晴らしいままに感じ取ることができる。今となっては、そんな人間の仕組みに感謝したい気持ちだ。

・今回紹介した店舗の情報

店名 麺屋 帝旺
住所 東京都豊島区南大塚3丁目11-10
営業時間 11:30~翌1:30 / 日・祝 12:00~24:00
定休日 不定休

Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

▼漢方をブレンドしたラー油を使った「漢方油そば」

▼美味しい。そのうえヘルシー

▼したがって最強

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日本、〒170-0005 東京都豊島区南大塚3丁目11−10
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