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【事実】昔のメモ帳を見返していたら、自分が「ちょっとおかしい人間」だったことを思い出した

2019年11月18日

私(佐藤)が当サイトで記事を執筆するようになってから、10年の歳月が流れた。だが、文章を書き始めたのはずっと前のこと。断続的ではあるが、10代の頃から今まで30年近く続いている。その断片を自宅押入れの中から発見した。

今ほどスマホが普及し便利になるとは想像していなかった頃、私は常にメモ帳を持ち歩いていたのである。過去にしたためた文章を見返してみると……完全に忘れていた “あること” を思い出した。そうだ、私は「ちょっとおかしい人間」だった……

・見た目でごまかす健康おじさん

今でこそ、私は “健康おじさん” を気取って趣味のポールダンスに夢中である。ひと頃よりもスマートになって、何なら自分でもちょっとカッコよくなったかな? くらいに思っている。


そうでなければ、普段は面白おかしく日々を過ごすことに心を割く “ゆかいなおじさん” だと自己評価している。どんな個性的な格好でも、自分で似合うことに日々驚いているくらいだ。


だが、そんなのは世を忍ぶ仮の姿。本当の私は見た目でごまかせる人間じゃなかったらしい。


・スマホ代わりにメモ帳を活用

そのことを過去のメモが教えてくれた。スマホを持っていなかった14~15年前、メモはなくてはならないものだった。土地勘のない場所に出かける時はそりゃ大変。地図をプリントアウトして持ち歩いたり、メモ帳に簡単な地図を記載していたものだ。私はもっぱら地図を手書きしていた。


当編集部で仕事をするようになってからは、取材でもメモ帳は大いに役に立っている。2010年12月、スノボ界のカリスマ、ショーン・ホワイトが来日した際にも、インタビュー内容を書き記している。


手元にあったものでもっとも古いものは、15年前のものだった。2004年11月11日に上京した私は当時31歳。その頃、良く聞いたバンド「スクービードゥー」が代官山のユニットでライブを行うチラシがメモ帳に挟まれていた。当サイトも存在しなかった時代である。


・ヤバいこと書いてた……

そんな感じでとにかくメモ帳を持ち歩いていた。しかし、7冊あるメモ帳のページをめくっていると、懐かしく当時を振り返ると共に、私のなかに眠っていた本質のようなモノが垣間見えてくる。たとえば、パノプティコン(監獄:一望監視施設)を説明するイラストとか……。


パノプティコンはまだ説明できるから良い方。今となっては自分でも解読できない暗号めいたナゾの図形だとか……。


さらにひどいのは奇妙なポエムである……


天使として神の使徒と描かれたものは


実は悪魔だった


描き手の誤解で顔を描き忘れられ


頭にこうもりの翼を持ち、


白衣を身にまとうが顔がない


悪魔はそのことを深く悲しみ


血の涙を流した



ナニ言ってんだ? 俺……。結構怖いし。デビルマンかよ……。


まだある、まだあるぞ! 上京直前の2004年5月のことだと思う。「東京」という題で、エッセイ的な何かをつづっている。田舎者根性丸出しでつづったその内容をご覧ください! 見てやってください!!


「東京」
「なんとも雑然とした街だ。電車に乗ると良くわかる。みんな干渉されたくないと。当たり前だ。人が多過ぎてボディゾーンがせますぎる。心を閉ざしてないとやれない。たくましい精神力をもって心を解放しないと多くの人のネガティブな感情が流れ込んで来る。それでもなお強く心をもって自分をアピールして行けば、瞬間に魅了できるだろう。


行き場のない者どもは公園くらいにしか行けない。欠片のよどみを公園の木々が浄化している。この街の基本的なエネルギーは混沌とよどみだ。正にマトリックスの世界の他、何ものでもない。田舎は資源の宝庫。


俺たちは人と自然の担い手だ。気が付い奴が小さくても確実に回して行かないと。深いよどみが人をむしばむ。俺はいつでもサークルからはみ出す。外から内を回すのが俺の役目


思念の中で自分と向き合う。自分のイメージと対話する。彼は本当の俺だ。彼の言葉を聞け。あれは俺自身の声だ



やっぱりおかしいな、うん。「東京」で始まったはずのポエムが、むちゃくちゃなところに着地している。結局コレは何を言いたかったんだろうか? 自分で書いたものである以上、この問いに答えられる者は誰もいない。


一言で表現するなら、私は多分「病んでいた」だな、うん。



・過去の佐藤よ

なんてものを掘り出してしまったんだ。過去のモノ、いわゆる「黒歴史」だったとしても、私自身が再発見すべきではなかったのかも……。

だが、幸いこれらのメモのなかで、自分に有用な内容を確認することができた。過去の自分にこの言葉を贈りたい。


「湖に浮かべたボートのように

人は後ろ向きで未来に入っていく

目に映る風景は過去のことばかり

明日の景色は誰にもわからない(フランスの詩人ヴァレリーの言葉)」



過去の佐藤よ、15年後の佐藤から一言いわせてくれ。お前はきっとどんな未来が訪れるか知らない。だが、安心してくれ。その怪しい思想を持ち出すまでもなく、意外とまともな生活を送れるようになるぞ。怪しいポエムを認めるのは、ほどほどにしておけよ……。


執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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