まさかのWANDS再始動──。この一報を聞いてビビッと来たのは、おそらく40代以上の方であろう。WANDSとは1990年代に一世を風靡した超人気ロックバンドのことで、解散せずにそのまま活動を続けていたら、おそらく今頃はB’z級の大御所になっていたハズだ。
そのWANDSが再始動するとは、当時を知る者として胸アツ以外の何物でもない……と言いたいところだが。少々複雑なWANDS再始動の経緯と合わせ、当時のガチファンにも話を聞いてみたのでご覧いただきたい。
・人気絶頂時に突然の解散
出す曲、出す曲が大ヒット。1990年代、ミリオンセラーを連発していた超人気ロックバンド、WANDS。WANDSを知らない若い人でも、アニメ版「スラムダンク」のエンディングテーマ「世界が終わるまでは……」くらいはご存じのことであろう。
当時はメディアにもほとんど出演せず、ある意味で謎に包まれていたWANDSだが、人気絶頂時、突然ボーカルの上杉昇(うえすぎ しょう)とギターの柴崎浩(しばさき ひろし)が脱退を表明し、WANDSは活動停止に追い込まれた。
その直後、ボーカルに和久二郎(わく じろう)を迎えてWANDSは再始動を試みるが「上杉昇 = WANDS」のイメージは強く、これといったヒット曲を出せずに新生WANDSは解体(解散)。そして今回再始動するWANDSは第5期にあたり、ボーカルは上原大史(うえはら たいし)が務める。
・当時のファンに話を聞いた
WANDSがメガヒット曲を連発していたのは、ちょうど私(P.K.サンジュン)が中学生の頃。当時、WANDSが好きすぎてバンダナまで巻いていた同級生の加藤くん(仮名)に連絡を取り、今回のWANDS再始動について話を聞いてみることにした。
──ねえ、WANDSが再始動するって聞いた?
「ネットニュースで見たよ。でもやっぱり上杉さんじゃないんだね。やっぱり俺的には上杉さんあってのWANDSだから、微妙というか別物というか……よくわからん」
──まあ、そうだよね。上杉さんの真似して赤いバンダナ巻いてたもんね。
「その話はやめろ。でもさ、ギターは柴崎さんなんだね。ちょっと意外だった。当時、上杉さんは柴崎さんのことを超信頼してたみたいだし、実際に2人でWANDSを抜けてal.ni.co(アルニコ)を結成してるしね」
──そうそう。俺がWANDSで1番好きなアルバム「PIECE OF MY SOUL」でも柴崎さんは結構作曲もしてるんだよね。
「サンジュンはあのアルバム聞きまくってたよね。俺も2人が抜けてからWANDSは聞かなくなっちゃったし、al.ni.coも追ってないんだよ。ほら、当時は情報もそんなになくてさ、2人がバンド始めたってのもだいぶ経ってから知ったもんね」
──確かに当時は情報が少なかったからなー。
「あとさ、いま思えば上杉さんと柴崎さんは完全に干されたワケじゃん? ビーイングはB’zだZARDだ大黒摩季だってヒットメーカーが超いたからね。そういう意味でも柴崎さんが復帰してるのは意外かな」
──確かに。当時は今よりも業界のしきたりが厳しそうだしね。で、第5期WANDSを率直にどう思う?
「さっきも言ったけど、上杉さんのいないWANDSはWANDSじゃないから別物かなー。ライブ行きたいとかは思わないかな。たださ、新ボーカルの上原くんの動画見たけど、かなり声は似てるよね。だいぶ寄せてる感じはする」
──俺も思った。声の方向性というか、声質はかなり近いと思う。野太さは上杉さんの方が上だけど。たぶん声だけ聴いたら上杉さんだって思う人もいると思うよ。
「そうそう。だから当時のWANDSを大切にしてくれてる感じはしたよね。まあ、だからいいんじゃない? あとさ、WANDSは名曲がいっぱいあるからさ、これを機にあまり知られていない曲が世の中に出るといいかな」
──「MILLION MILES AWAY」とかな。
「Secret Nightとかな。まあ、WANDSの過去の名曲も多少は注目されるだろうから、生暖かい気持ちで新生WANDSを見守るよ。でもやっぱりいつか上杉さんのいるWANDSが観たいね。俺が死ぬ前に1度でイイから」
──激しくわかる。
文中で触れたように、新ボーカル「上原大史」の声はかなり上杉昇に似ている。「上杉さんのいないWANDSなんて認めねえ!」という人も多いとは思うが、1度動画で上原大史の声を確認したら「ほう、やるな」と漏らすのではなかろうか。
とにもかくにも、40代以上のおっさん、おばさんたちにとっては胸が熱くなるWANDSの話題。この機会に昔のWANDSのアルバムを聴き直すも良し、新生WANDSを応援するも良しである。俺はとりあえず「MILLION MILES AWAY」を聴きます。
参照元:YouTube 、 WANDSオフィシャルサイト
Report:P.K.サンジュン