サクッとしたクッキーと甘いクリーム。オレオがあるだけで笑顔になれる。辛い時も悲しい時も、いつもそばにいてくれたのはお前だった。オレオは友達!
でも、オレオにとって私(中澤)は友達じゃなかったのかもしれない。というのも、ある日、イギリスのスーパーを歩いていたところ、見たことがない顔をしたオレオに出会ったのである。
・お前……オレオか?
普段はお菓子コーナーにいるはずのオレオ。だが、私が別人みたいなオレオを見かけたのはヨーグルトコーナーだった。カップに書かれた「OREO」の文字は間違いなく私の知っているあのロゴ。しかし、小さなカップは、とてもオレオとは思えない。
そう、イギリスのスーパーには「オレオ味のヨーグルト」が売られていたのである。おいおい、お前いつの間にヨーグルトなんてやってたんだよ!?
・素知らぬフリのオレオ
動揺する私。素知らぬフリでヨーグルトコーナーに並ぶオレオ。私は思わず、そんなオレオの手を掴み連れ出した。1ポンド(約130円)だった。
興奮が抑えきれず外で蓋を開けると、ふたの裏に使い捨てのスプーンが入っている。いつでもどこでもお召し上がりくださいというわけか。
・無残なオレオ
さらに中蓋を剥がすと、カップには2つのくぼみがついている。1つはトロトロの白い液体で満たされていた。ヨーグルトである。そしてもう一方の窪みには……
バラバラになったオレオの姿が!
オ、オレオォォォォオオオオ!!!
見る影もないオレオを私はヨーグルトに撒く。きっとそれがオレオが望んだことだから。スプーンで混ぜると、黒く焼けた肌をヨーグルトが白く染めていく。やがてトロトロになるオレオ。私はそんなオレオを食べる。ウマイ。
ヨーグルトの甘みはかなり強めなのだが、サクサクしたオレオの歯ごたえとカカオ味が良いアクセントとなっている。瞳を閉じると、オレオと過ごした甘くほろ苦い日々が浮かぶようだ。
・愛ゆえに傷つける
食とは愛である。私たちは愛しているからこそオレオを傷つけずにはいられない。砕くし、割るし、2つのクッキーを剥いで咀嚼する。自分が傷つくこともいとわずに。その先により深い関係があるかもしれないと思うから。
当初はその変わり果てた姿に動揺した私。だが、オレオはちゃんと愛されていた。愛ゆえに砕かねばならぬ。愛ゆえに。オレオヨーグルトの味からは生産者のそんな想いが伝わって来たのだった。ぜひ日本でも発売して欲しい。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.