人類を脅かす敵の1つに「肩こり」がある。デスクワークがある以上、この敵から逃れるのは難しい。パソコンやスマホの進化に肩こりはいつも追随し、どこまでも人類のあとをつけているようだ。
当編集部でも肩こりが蔓(まん)延しており、各々が試行錯誤をしているものの、この仕事を続けていく限り、決別は不可能といって良いだろう。せめてそれをやわらげる方法はないものか? 私(佐藤)は身体のスペシャリストである “あんま指圧マッサージ師” に、壁を使って手軽に肩コリをやわらげる方法を聞くことに成功した。
・身体のスペシャリスト
今回お教えいただいたのは、東京・市ヶ谷のオレンジ治療院の院長、高橋麻衣子先生だ。高橋先生は鍼灸整骨院や専門学校附属施術所などで10年の臨床経験を経て、2010年に治療院を開業した大ベテラン。デスクワーカーの大敵である肩コリを、手軽にやわらげる方法についてお尋ねしたところ、わずか数分でできるストレッチを教えてくれた。
・デスクワークで肩コリになるパターン
先生は経験上、デスクワークにおける肩コリについて、説明してくれた。パソコンを使うデスクワークの基本姿勢は、机に直置きしたパソコンを操作するために、腕を机につくことが多い。
すると自然に目線は下を向き、頭は前に傾く。腕は上半身を支えるために力が入り、首・肩の筋肉は前に倒れた頭を支える格好になる。長時間パソコンに向かうとなると、首・肩は緊張状態が長くなり、これが肩コリへとつながっていく。
コリをやわらげるために、首・肩をもみほぐしたいところだが、局部的に緊張を緩和すると、かえって逆効果になるそうだ。というのも、首・肩が頭の重さを支えているのに、ここを緩めるとさらに頭は前へと重心がかかることになってしまう。一時的にコリがほぐれて心地よくはなるものの、デスクワークに戻れば前よりも首・肩にかかる負担が増える可能性も否めないのである。
そこで先生からお教えいただいたのは、前傾になっている頭を後ろに戻すためのストレッチだ。腕・肩・胸の内側の筋肉の緊張をやわらげて、胸を開くことによって、前のめりになった頭を後ろに戻す。これで、首・肩にかかる負担を軽減するのである。
・ストレッチの手順
カンタンにできるので、会社や家で試してみてほしい。決して無理はしないように、少しずつストレッチすることをオススメする。以下はその手順だ。
1.まず、指を下にして手のひらを壁につく
できれば、肩と水平に手をつく。ストレッチに慣れていないと、肩が上がってしまう場合がある。その場合は、手を少し下にさげよう。肩に力が入らないように注意。
2.手をついたまま、壁を押すような形で胸を開く
腕が突っ張って胸を開けない場合は、まず前腕を10回程度さすって緊張をほぐす。
同様に、二の腕も10回程度さすって、腕全体の緊張をとこう。
3.今一度、胸を開く。壁を押すように胸を開いたら、10~20秒キープする
これを左右、それぞれ行う。ストレッチの前と後の感覚を確認しながら、やってみることをオススメする。あくまでも無理のない範囲で。
・作業環境を変えることもオススメしたい
これだけをやっていれば、肩コリと決別できるという訳ではない。今回紹介したようなストレッチを行うと共に、背中側の筋力をアップすることも、肩コリ予防に有効なので、それについてはまた次回お伝えしよう。
作業環境の改善も重要だ。同じ姿勢でデスクワークを続けていれば、首・肩に負担がかかるのは変わらない。出来れば、パソコンのディスプレイ、もしくはノートパソコンを目の高さまで上げて作業を行うと、首・肩の緊張はかなりやわらげられる。ストレッチと作業環境の改善、この2つを合わせて実践すると良いだろう。
取材協力:オレンジ治療院
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24