技術の発展により、AI(人工知能)が人間の労働を肩代わりする事例が増えてきている。例えばAmazonの倉庫では物流ロボットがビュンビュン動き回っていたり、入居者のケアにAIを導入し始めた介護施設があったり、活躍の幅は実にさまざまだ。
そして、今度は警備のシーンに新たなムーブメントが巻き起ころうとしている。警備業界を代表する企業であるセコムが、世界初の「バーチャル警備員」を開発したのだ。搭載されたAIによって警備を行う……そんな革新的なニューカマーの能力を徹底解剖していこう。
・「バーチャル警備員」、知られざる監視能力
日本の警備業界は深刻な人材不足に直面しており、それを解消するために開発されたのが「バーチャル警備員」である。現実空間を映しこむミラーディスプレイ上に3Dモデルとして表示され、警戒・監視や受付などを行うのだ。
エントランスでの使用が想定されている「バーチャル警備員」。まず何と言っても、バーチャルにもかかわらず存在感が特徴的だ。
目配せなどにより周囲を警戒しつつ監視を行い、犯罪抑止効果を発揮する。
さらに内部にはカメラやセンサーがあり、来訪者が顔をヘルメットなどで隠している場合は、外すように注意をうながす。バーチャルアイは不審者を見逃さない。また、「バーチャル警備員」からの映像は監視モニターでの確認が可能となっている。
・「バーチャル警備員」、知られざる受付能力
来訪者から話しかけられると、その人の顔や持ち物、音声などを認識。
実際に語りかけるような合成音声により、自動で応答する。
加えて、相手の背丈に応じて目線を合わせた応対も可能。バーチャルボイスとバーチャルボディが来訪者を包み込むぞ。
・「バーチャル警備員」、知られざる緊急対応能力
エントランスで急病人が発生してしまった。そんな時もご安心を。「バーチャル警備員」はその様子を映像・音声で認識し、リアル警備員にすぐさま通報。
緊急時にもスムーズに駆けつけてもらうことができる。これぞバーチャルチームワーク。すごい、すごいぞ「バーチャル警備員」!
ちなみに男性モデルに加えて女性モデルも用意されているので、やっぱりすごいぞ「バーチャル警備員」!
・頑張れ「バーチャル警備員」
監視・受付・緊急対応と、隙のない有能ぶりを我々に見せてくれたが、現状はあくまで開発段階。2020年の実用化を目指しているとのことだ。
また、実用化された場合も「バーチャル警備員」のみによる完全な警備というわけにはいかず、リアル警備員との連携も必要になってくる。だが、これだけAIが人間を助けてくれるのであれば十分に先進的だ。どんな活躍をしてくれるのか、温かく見守っていきたい。
参照元:セコム株式会社
執筆:西本大紀
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