バンドのMVってカッコ良いよな。昔はテレビでワンシーンが流れるくらいだったが今はYouTubeで見放題。MVの世界観が良ければ曲も良く聞こえてくる。ミュージシャンと名乗るならMVの1つも欲しいものだ。
しかしながら、いやしくもミュージシャンと名乗っている私(中澤)の周りには現在、MVを作ってくれる人はいない。そこで自分で撮ってみたところ……ヤバイことになったでござる。
・MVに求めるもの
まず、インディーズバンドマンのMVに対する本音を包み隠さず言わせてもらうと、MVは超簡単なもので良い。画質などには一切こだわらない。そのかわり、一瞬ハッとするようなアイデアがあって欲しい(希望)。あと、お金はない(現実)。以上である。
そのため、画質にこだわって良いカメラを借りるためにお金がかかるとかは本末転倒だ。それだったらIPhoneで良い。映像制作に興味があってMVを作ってみたいという人はここテストに出るから覚えとこう。
繰り返すが、本当に簡単なもので良いのだ。簡単なもの……で良いなら、自分でもできるかもしれない。映像制作に興味はないが、頼める人もいないしサクッとMVを作ってみよう。
──この時、私は知る由もなかった。あんなにヤバイことになってしまうなんて。
・カメラマン:田代
自分で作ると決めたものの初めての経験。教えてくれる人もいないため何からやって良いのかが全然分からない。そこで、とりあえず人を巻き込むことにした。まず協力を仰いだのは、ロケットニュース24の動画の編集も手掛ける田代だ。どちらにせよカメラマンが必要だったので田代に話してみたところ……
田代「OKです! じゃあ、イメージを教えてください」
──イメージ? 考えたら当たり前の話である。映像において画かくや角度は結構重要な要素だ。カメラマンがいるなら当然伝えるべきだろう。
幸い自分のバンドの曲なので、なんとなくイメージは湧いてくるが、それを他人にどう伝えたら良いのだろうか? 試しに絵コンテを描いてみた結果……
見れたもんじゃねェェェエエエ!
・MVのイメージを伝える
さらに、絵コンテを描いたことでハッキリしたのは、思った以上に映像でストーリーをつなげるのが難しいということ。どの角度から誰を撮ればいいのかが全然思い浮かばない。
そこで、ドン・キホーテに売ってた安物のフィギュアを購入。そのフィギュアをIPhoneで撮り、曲に合わせてなんとなく立ち位置やカメラ角度が分かる程度の仮MV映像を作ってみた。
後から考えると、シーン切り替わりのテンポ感も見れるしこの方法はやって良かったように思う。ここで、Aメロが思っていたより短く、描き切れない部分があることも判明。逆にカットが足りないところなども分かった。やっとちょっとだけ前に進んだ気がする……。
・ヒューマンドラマを描きたい
次に必要なのはエキストラだ。私はヒューマンドラマを描きたい。なので、どうしてもメンバーと絡むエキストラが必要だ。そこで、ロケットニュース24の佐藤英典記者と「ビッグウェーブさん」ことブッチに出演を依頼してみると……
佐藤英典「良いぞ」
ブッチ「お安い御用だマイバディ」
と、2人とも心良く引き受けてくれた。女性役として音楽仲間であるyachiko(バンド:sjue)にも出演依頼。1週間前だったにもかかわらず余裕で引き受けてくれたところはさすがである。よっ! 根無し草!!
映画『クソ野郎と美しき世界』も真っ青のクソ野郎が集まり始めたこのプロジェクト。撮影場所は俺たちの街・高円寺だ! はたしてヒューマンドラマはできるのか? 私の脳内では全米が泣いているぞ! そんなこんなで迎えたヤバイ結末は次ページで!!
参照元:YouTube
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
・【ヤバイ】映像制作に興味のない人が「バンドのMV」を撮った結果 → 衝撃の結末に(その2)
昼時の高円寺に集まった野郎ども(with yachiko)。いつだってこの街は俺たち野良犬に温かい。駅前のロータリーで、高架下の飲み屋街で、水商売の店が立ち並ぶ路地で、果ては池袋のビルの上で……撮影は陽が落ちても続いた。
さらに後日、スタジオで演奏シーンを撮影、編集中に見つかった撮りこぼしもボーカル水本と共に撮影。その際近くにいた双子・矢崎翔之と準之(バンド:The holy’s)にも出演してもらうことに。みんな出といたらええがな。
そして、また陽が暮れる。明日からはまた仕事の日々。みんながそれぞれの日常に戻っていく。カッコ良いことなんて何もない日常に。面白いことなんて何もない日常に。
ビルから見下ろす夜景はとてもキレイだった。でも、その1つ1つの光はとても遠い。まるで、そこに居場所なんてないかのように。
今日も悔しさを煮詰めたような色で空が燃えている。夢を見る前は思ってた。「10年やったら変わるかな?」なんて。でも、気づけば悪口ばかりが響いてる。
僕らの街はもはや平和ではない
合言葉はアイラブミー
アイラブミー
アイラブミー
僕らの街にどうか光あれ
取り戻そうぜ
僕らのアイラブユー
──できた! ついにMVが完成した。作ってみてまず思ったのは映像制作の大変さ。撮るのももちろん大変なのだが、個人的に一番辛かったのは何も決まってない状態でのブッキングやスケジューリング。その日までに、アイデアをまとめ動きやカットを決めないといけないのは精神的にくるものがあった。
また、実際帰って撮れた動画を見てみると、思っていたようなカットになっていなかったり長さが足りなかったり……MV作るのマジ大変。サクッと作るとか言ってすみませんでした……。 冒頭の自分をシバきたい。
しかし、それだけに完成した時の充実感は凄かったことを追記しておこう。映像を作る人の気持ちが多少なりとも分かったかもしれない。
さて、そんなMVは、2019年1月20日夜にアップされている。数日が経ったわけだ。過去のMVは1万再生を超えているため、もう1000回くらいは回ってるかも? 自分が作ったMVが見られるってワクワクする! そこで様子を見に行ったところ……
え?
少なっ!!
しかもすでに低評価がついているっ!!
ヤバイ。
<完>
参照元:YouTube
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼見てくれた方ありがとうございます!
▼1泊2日レコーディングの様子はこちら。元センチメンタル・バスの鈴木秋則さんにプロデュースしてもらった。