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【W杯コラム】誰にも信じてもらえないけど小学生のとき1度だけ「スライダーシュート」が打てたときの話

2018年6月16日

いよいよ始まった4年に1度の祭典、サッカーワールドカップ。超1流プレイヤーたちによる国の威信をかけた戦いは、きっと多くの感動を与えてくれるハズだ。どうか選手のみなさん、怪我だけはなさらずに最後まで頑張ってください。

さて、今回はワールドカップとは直接関係ないものの、私(P.K.サンジュン)が経験した “ちょっとした奇跡のお話” をお届けしようと思う。あれはもう30年ほど前のこと……。誰にも信じてもらえないが、私は1度だけ「スライダーシュート」を放ったことがあるのだ。

・サッカー部だった頃の話

小学校4年生から6年生までの3年間だけサッカー部に所属していた私。2クラスしかなかったため規模はさほど大きくなかったが、千葉県市川市の中ではなかなかの強豪として知られていた。

部員は全部で20人いるかいないか。背が低く運動神経も悪かった私は1度もレギュラーの座を勝ち取れなかったが、それでも仲のいい友達とプレイするサッカーは楽しく、1度も部活を辞めようと思ったことはない。もちろん朝練にも夕練にも元気いっぱいに参加していた。

・キャプテン翼全盛期

話はがらりと変わって、私がサッカー部に入部した動機をお伝えしたい。ズバリ『キャプテン翼』である。当時はキャプテン翼黄金期で、誰もが週刊少年ジャンプに夢中であった。私は「新田瞬」が大好きで、新田くんのチャームポイントである “やえ歯” にも随分憧れたものだ。

そんなピュア真っ盛りだった当時の私は、誰にも言えない “ひそかな野望” を抱いていた。「いつか必殺シュートを打ってやる!」──これだ。いつも補欠で試合に出ても大した活躍は出来なかった私は「必殺シュートさえあれば……!」と、秘密の練習に励んでいたのである。

だがしかし、さすがの私もチームメートの前で必殺シュートの練習をするのは恥ずかしい。主な特訓は土曜日の午後練前で、半ドンのあと家で昼ご飯を食べた私はすぐに小学校へ向かい、1人で必殺シュートの取得に励んでいた

・ある日の秘密練習中……

そしてその時は突然やってきた──。いつものように壁に向かってシュートを打ち続けること数十分。なぜかその時はボールを足の裏でこするように蹴り続けていたのだが、明らかにボールが “グン” と落ちた。スライダーというよりはフォークボールのような感覚だったが、まさにピエールくんの「スライダーシュート」そのものではないか。

私は興奮した。フランス代表のピエールくんと言えば「フィールドのアーティスト」と呼ばれた超強豪選手である。ピエールくんの必殺シュート「スライダーシュート」には日本も大いに苦戦させられたものだ。そのスライダーシュートが打てた……! ついに必殺シュートを手に入れた……!!

──んが、その後は何度同じ蹴り方をしてもボールはあの時の軌道を描かない。試合中はもちろん、みんなでの練習中も繰り出せるはずもなく、結局私が生涯に放ったスライダーシュートは、あの日あの時あの瞬間の1発だけである。

・それでも私は打ちました

当時は「スライダーシュートが打てた」だなんて友達にも言えなかった。大人になってから「俺スライダーシュート打ったことあるんだぜ」と話しても、周囲の人は「ウソつけ!」と言うばかり。それはある意味で当然のリアクションなのかもしれない。

だがしかし、今から約30年以上前のある土曜日、千葉県市川市立北方小学校のグラウンドで確かにスライダーシュートは放たれた。その映像は今でも私のまぶたにハッキリと残っている──。まあ、信じてもらえないと思うけど。

Report:P.K.サンジュン
Photo:Wikimedia Commons

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