現在爆発的な人気を博しているスマホ版『どうぶつの森 ポケットキャンプ』。幅広い層から支持を集めているゲームだが、慣れてない人も多いことだろう。私(佐藤)もその1人で、「人並に進めるためにまずは情報を集めねば」と、ネット検索していた。すると……『どうぶつの森チャット』なるアプリを発見したのである。
これはいい情報が手に入るに違いない! うまく使えば人より有利にゲームを進められるかも!? そう思って利用してみたら……トンでもない人物と遭遇し、想像を絶する展開になったッ!!
・どうやって遊べばいいのかわからない
『どうぶつの森 ポケットキャンプ』は、どうぶつたちの願いを叶えつつ自分のキャンプを充実させていくシミュレーションである。ボスを倒すとか、大金持ちになるとか、そういう大きな目標はない。ただ自分のキャンプを充実させていくことが、ゲームの醍醐味だ。
いきなり本音を言うと、根性論だけで生きてきたオッサンの私には、自由度が高すぎて迷ってしまう。「倒す!」とか「稼ぐ!」とかないのか? ──そう戸惑っている中で知ったのが、2016年にリリースされていた『どうぶつの森チャット』というアプリなのである。
このアプリとニンテンドーとの関係は不明だ。ただ、「どう森」って表示されているから、良い情報が集まるはず……と思って、ダウンロードすることに。
・「どうぶつの森チャット」を使ってみた
インストールして起動すると、チャットに関する注意事項が表示された。
誰も傷つけるつもりはないし、誰も嫌がらせるようにつもりはない。オッサンはただ、どうぶつの森の情報が欲しいだけや。すぐにプロフィールを編集して……。
挨拶のつもりで投稿。
そんなにすぐに応えてくれる人もいないだろう。
どうぶつの森の情報を欲しがっているのは、私だけではない訳だし。
・速攻キタ!
まあ気長に待つか。今日のうちに、誰か応えてくれれば幸いだ……。そんな風に思っていた。ところが! わずか数分後にッ……!!
「こんにちは」
おお! マジかッ!! いきなり来た、すぐに来た!
これは有力な情報を得られるぞ。まずは何から聞くべきか? 質問したいことは山ほどある。
「やっぱりすべての動物のお願いは均等に聞くべきかな?」
「タイやカブトムシなどの希少な獲物は、ずっと大事に取っておいた方がいい?」
「極力リーフチケットを使わないようにしてるけど、それって意味がないかな?」
「テントって全種類広げるべきなの? でもスペースは2つしかないよね。どうすりゃいいの?」
「OKモータースのローンって、ずっと払わないとマズイ?」
……などなど。一体どれから聞けばいいのか? 迷っていたら、相手がこう言ってくるではないか。
「私はEROから宜しくお願いします」
──え? ERO? 「エーアールオー」ってナニ? アイテムのこと? そんな機能があったっけ? 何だっけ? EROって。……マズイ! 「EROも知らないの? あなた話にならないわね!」なんて思われたらマズイ!! ここはスッとボケて、平常心で挨拶。
そして……ここから驚愕の展開になるのだ!相手を仮にウサギさんとしよう。私はそのウサギさんと楽しくどうぶつの森の話をしていくはずであった。しかし会話は一方的に進み、思わぬ方向に展開。チャット開始から30分後に、ウサギさんはこんなことまで言い出すのである。
ウサギさん:「死んでもいい?」
どうぶつの森の話をするはずが、どうしてこうなったーーーッ!?
今もなぜそんな発言が飛び出したのかよくわからないのだが、その約30分間に起こったことの全貌を次のページでお伝えしよう。絶妙なチャット会話で危機的状況を華麗に回避したぞ!!
参考リンク:アプリ「どうぶつの森チャット(iOS)」
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
ScreenShot:どうぶつの森チャット (iOS)
・最初から噛み合わない会話
まず、ウサギさんから「私はEROから宜しくお願いします」と言われた直後の状況から説明しよう。先述の通り、「ERO」が何かはわからない。ただまずは挨拶からということで、私は次のように投稿。
佐藤「こんにちは。寒いですね」
ウサギさん「ERO?」
あれ? 会話がかみ合ってない。……これはスッとボケても後々面倒なので、「ERO」が何か聞いてしまおう。
佐藤「EROってなんですか?」「EROが寒いんじゃなくて、最近気温が低くて寒いですねですねってことですよ」
焦って「ですね」を2回打ちしてしまった。落ち着け、せっかく有力な情報を得られるのに、挨拶程度でうろたえている場合じゃない。信用できる人物であることを、相手に少しでも印象付けるんだ。と思っていたら……。
ウサギさん「Hしたい」
う~ん……。また新しいワードが出てきた。H? エイチって何のことだ。どうぶつの森でHと言ったら何だろう。おそらく上級者の略語だと思うんだけど、何を略したらHになるか。
初心者の私が思いつくことといえば、アレしかない。ゴロゴロ鉱山だ。ハニワくんの鉱石発掘を手伝って、クラフト材料などが得られるアレ。「発掘」の “H” じゃないのか? もしくは「ハニワくん」の ”H” だろ。でも、アレはフレンド5人に協力してもらえないとできないはず。そんなにすぐにできることなのか? 私の答えは……
佐藤「単刀直入ですね」
チャットで遭遇したばかりなのに、いきなり発掘(H)したいだなんて、単刀直入すぎる。せめてまともに挨拶くらいしてもいいだろう。困惑しきりの私に、ウサギさんはさらなる提案を持ちかけてきた。
ウサギさん「フレ交換してから今から通信しませんか?」
はあ!? 何の話なの? ナニをしようとしてるの? 「フレ交換」って何なの? 「通信」ってナニ? さすがにこのまま相手のペースで話を進める訳にはいかん! ちょっとはこっちの考えも主張しないと、コミュニケーションにならへんやん! 会話はキャッチボールやん? という訳で、
佐藤「通信ってどうやってやるんですか? せめて世間話くらいしませんか?」
当然の主張である。お互いの身の上を明かさない範囲なら、日常会話をしても何ら差し支えはないはず。それとも何か不都合があるのだろうか? しかし、そんな私の考えをウサギさんは完璧に無視! 通信に関してこう答えたのである。
ウサギさん「3dsだよ」
ダメだ、これはダメだ。完全に話の筋がズレている。私が思っている以上に、相手はこっちのことを見ていない。なぜに3DSの話が出てきてしまったのだろうか? それとも、これがこのチャットでの普通なのだろか?
とにかく、一筋の光に望みを託して、しばらく会話に付き合うしかないだろう。
ただ残念なことに私は3DSを持っていない。弟にプレゼントしたら、それを中古屋で売られてしまった。兄の好意を無にする弟。ああ、嘆かわしや。それはさておき、3DSは持っていないので、
佐藤「持ってません。VITAならあります」
ウサギさん「?」
佐藤「PlayStationVITAです」
もしかして、3DSの通信でどうとか言っているのに、ウサギさんはPlayStationVITAを知らないのか!? ……なんて無垢な人なんだろうか。この人は無垢だ。無邪気だ。間違いない。きっと悪意とかあって、一方的に話しているのではない。そのような思いが、私の中で芽生え始めていた。
だが、ウサギさんの本領はココから始まったのだ……。徐々に人格が変わっていくウサギさんは次のページ(3ページ目)だ!
参考リンク:アプリ「どうぶつの森チャット(iOS)」
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
ScreenShot:どうぶつの森チャット (iOS)
・徐々に本性をあらわす
3DSを持っていないと伝えたのに、ウサギさんはこういう。
ウサギさん「3dsは大丈夫?」
佐藤「いや、3DSを持ってないんですよ。すみません」
ウサギさん「嘘」
人の話を聞いとるんか? ないもんはない! そもそもスマホがあれば、3DSはいらんやろ。なぜに3DSの話になったのか? 一向に話は進まないなかで、次第に会話の雲行きは怪しくなってきた。
ウサギさん「ゲーム中であなたとHしたかったわ」
発掘(H)ならゲーム中にできるだろう。ゲーム中のHは当たり前だ。よくわからないので、そのあたりの意味を聞いてみた。
佐藤「ゲーム中ってどういうことですか?」
ウサギさん「リアルだよ」
佐藤「リアル? ゲーム?」
ウサギさん「ゲーム中で想像」
佐藤「それ、リアルじゃないですよね」
ウサギさん「あっそ」
佐藤「だって、ゲームだから」「想像だし」
いかん、ついアツくなって、正論を言ってしまった。でもゲームはリアルじゃないしな……。なんて考える間もまく、チャットはどんどん進んでいく。
ウサギさん「3dsでHしたかった」
佐藤「すみません」
ウサギさん「もういいよ」
佐藤「何か気分を害してしまいましたか?」
今さらだが、私はどうぶつの森のことを聞くためにアプリをダウンロードしたはずだ。なのに、どうぶつの森の話は、一言もできてない。それどころか、どんどん悪い方向に進んでいったのだ。
ウサギさん「ショク」
佐藤「H(発掘)が全てではないですよ。そう気を落とさず」
・いきなり生命の危機!?
すでにウサギさんの心は灰色だ。出会った頃は、鮮やかなピンク色をしていたというのに、どこでどう間違ったんだ。私はただ、どうぶつの森の話を聞きたかっただけじゃないか……。
一度揺らいだ信頼関係は、そう簡単なことでは元に戻らない。ついに、ウサギさんの口からこんな言葉まで飛び出した。
ウサギさん「うざい」
佐藤「失礼しました」
ウサギさん「死にたいぐらい」
なんともはや! いきなり生命の危機である。どうしてそうなるのか!? 何とかしないと!
佐藤「3DSのH(発掘)が重要だったんですね」「力になれず申し訳ないです」
ウサギ「死んでしまう」
佐藤「VITAしか持ってないからなあ。3DS買っとくべきだった」
ウサギ「死んでもいい?」
正直に申し上げよう。この時、人間が未熟な私は、頭のなかでプチン! と音がした。あえて、一言でいうなら……。
「易々と生きるとか死ぬとか言いやがって! 何さまのつもりじゃワレーーッ!! 下手に出てればいい気になりやがって、一丁前に脅しかけとんのかコラーッ! 舐めるのもいい加減にせえよッ!!」
である。
だが……。こんなつまらんことで、マジで大事になっても困るので、やはり下手に出ることにした。
佐藤「それを聞かれても困りますね。せめて、3DSを買いに行くくらいの時間は頂けないかと」
ウサギさん「じゃあ今すぐならいいけど」
調子こいとんな、コラ。あの鮮やかなピンク色のウサギさんは、完全にどす黒いブラックウサギさんへと変貌を遂げていた。てめえの血は何色だーーーッ!
さて、この困ったちゃんをどうやっていさめようか。いろいろ考えた末に、給料日前泣き落とし作戦が意外な形で効果を発揮し、大団円を迎えるのである。続きは最後のページへ急げーーーッ!!
参考リンク:アプリ「どうぶつの森チャット(iOS)」
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
ScreenShot:どうぶつの森チャット (iOS)
・給料日前泣き落とし作戦
私がここで思いついたのは、しがないサラリーマンであることを主張することだ。今すぐに3DSを買いに行くこともできない、しがないサラリーマンであることを分かってもらうのである。ただその日は24日(金曜日)。翌日が土曜のため大抵の企業は給料日だが、うちは違うと主張することにしよう。
佐藤「いや、今すぐと言われても、うちの会社、給料の振込が来週なんですよ。だから、来週にならないと買いに行けなくて。せめて一週間くらい頂けないと、なんともうしましょうか……」
この卑屈なサラリーマン演出が、ブラックウサギさんの胸を打ったらしく、こう返ってきた。
ウサギさん「わかりました」
さらに……!!
ウサギさん「イライラしていてすみませんでした。」
許さん……。
と言いたいところだが、わかってくれたのならそれでヨシッ!
佐藤「いえいえこちらこそ、至らないばっかりに」
・さらば、ブラックウサギさん!
すると、ウサギさんはもとのウサギさんに戻って。
ウサギさん「w」
あれ? もしかして笑ってんの? それもしかして、笑っちゃってんの?
そして最後は、お互いに気持ちよく社交辞令を交わして、会話は終了した。
佐藤「また何かありましたら、その節はよろしくお願いします」
ウサギさん「こちらこそ」
……結局、どうぶつの森の話は1ミリもできなかった。俺、何やってたんだ……。
参考リンク:アプリ「どうぶつの森チャット(iOS)」
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
ScreenShot:どうぶつの森チャット (iOS)