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【疑問】名探偵コナンの「ペロッ…こ、これは、麻薬!」は実際にありえるのか? ドラッグ事情通に聞いてみた → 衝撃の回答が!

2017年10月6日

先日、大阪でラーメン屋店主が大麻所持で逮捕された。かねてより客から「大麻のニオイがする」という声があったという。このニュースに、ネット上では「大麻のニオイってわかるのかよ!?」「その客、何者だ?」と驚きの声が上がった。

そして同時に! 人気漫画のあのシーンを思い出したという声も続々。それは『名探偵コナン』の「ペロッ……こ、これは、麻薬!!」である。いやいや、これもありえないでしょ!? でも実際のところどうなの? ドラッグ事情通に話を聞いてみた。

ということで、聞いてみたのは毎度おなじみ、“正義のドラッグ事情通”と呼ばれるボブ麻亜礼氏だ。何が正義なのかはさておき、すぐにでもボブさんに疑問をぶつけたいところ。だが、まずは「ペロッ……こ、これは、麻薬!!」について、簡単におさらいしたい。

・名探偵コナン「ペロッ……こ、これは、麻薬!!」とは

これは『ピアノソナタ「月光」殺人事件』に登場する1シーンだ。殺人事件の犯人探し中に、“怪しい粉” を発見したコナン。すると次のコマで「ペロッ」と指を舐め、そして「こ、これは……麻薬!!」と、事件に麻薬が関与している可能性に気がつくという場面である。

衝撃。コナン、麻薬の味を知っていた!? なおこの事件は、作品の中でも最も悲劇的な結末と言われ、さらにコナンの探偵としての信条に大きく影響している。あらゆる意味でコナン史に残るストーリーだ。コミックス第7巻に収録されているので、気になる人は読んでみよう。

・ドラッグ事情通に聞いてみた!

これで準備はOKだ。それでは聞いてみよう、ボブさーん!!

──いきなり本題ですが、『名探偵コナン』のこのシーンを見てください! 謎粉ペロリ → 麻薬発見なのですが、そもそも麻薬って何なんでしょう?

ボブ「麻薬とは何なのかってことを細かく説明しようと思ったら、実はハンパなく長くなっちまうから、めちゃくちゃ簡単に説明するぞ。わりと複雑なんだ」

──極限まで簡単にお願いします

ボブ「まず、一般的に言われている “麻薬” ってのは、アヘンとかモルヒネとかヘロインとか……いわばケシ由来の「超ダウナー」なドラッグを指している。医療にも麻酔とかで使われる系のドラッグだな。トロリ〜ン……ってな。しあわせ〜〜〜……みたいな。過剰に摂取したら死ぬ系のヤツだ」

──ああ! 『るろうに剣心』とか『大草原の小さな家』で見たことがあります!! 怖いですよね。あれ? 大麻は入らないんですね

ボブ「そうなんだ。ここで、中国に詳しい人ならピーンと来ると思うんだけども、実は「麻薬」の「麻」は、そもそも中国語で言うところの「痲(マー)」から来ている。山椒とか、シビれる系の、あの「マー」だ。麻酔ってシビれるだろ。「シビれる薬」、だから痲薬なわけだ。これポイントな。

じゃあなんて、痲薬じゃなくて「麻薬」になったのかっつーと、その漢字を日本で使っていなかったから。だから「麻」って字を使ったワケ。つまるところ、実は日本において、大麻と麻薬はまったく無関係だったりするんだ。いつしかゴッチャになっちまったけども」

──「麻薬」の「麻」と、「大麻」の 「麻」の意味は違うと!

ボブ「だな。ちなみに、法的に何を「麻薬」とするのかは、その国によって違ったりする。

例えば日本だと、「麻薬及び向精神薬取締法」ってのがある。でも、覚醒剤には「覚せい剤取締法」ってのがあるし、大麻は「大麻取締法」がある。さらに、なんとあへんは「あへん法」ってのがあったりもするんだ。アメリカや、オランダとかだったら、また違う話になってくるわな」

──頭がゴチャゴチャになりそうです。結局、テレビなどで聞く「麻薬」って何を指すんですか?

ボブ「では今度は、言葉の意味や、その歴史、そして法律を抜きにして、実際のところ「麻薬」とは何なのかってことだけど、これは、オレが思うに、国やマスコミが「これが麻薬です」って言ったものが、そのまま麻薬として認識されているだけ、って感じだな。

もしも仮に、「摂取したら精神や体に影響があるもの」が麻薬だとするならば、どう考えても「酒」がキングオブの麻薬だよ。実際、アメリカとかではその昔、禁酒法ってのがあっただろ。酒は違法だったんだ。でも今は……? 日本では……? 中毒になるタバコもしかり、だ。

短くまとめても、こんくらいだ。ひとくちに「麻薬」って表現するのは、実に難しいことなんだよ」

……ヒジョーに複雑なことを聞いてしまったようだ。

ボブさんの話を要約すると、「麻薬」という言葉がさすのは特定の1種類の薬物ではなく、複数種を総括したものだという。しかも、その言葉を使う場所や場面によって定義も変わるよう。これだけでも豆知識だ。……ん? ということは……?

前置きが長くなってしまったが、ついにあの質問をぶつけるときが来たようだ。コナンの 「ペロッ……これは麻薬!!」はありうる話なのか、衝撃の答えは次ページへGO!

参考リンク:毎日新聞
Report、イラスト:沢井メグ
協力:ボブ麻亜礼
Photo:Rocketnews24.

【疑問】名探偵コナンの「ペロッ……こ、これは、麻薬!!!!」は実際にありえるのか? ドラッグ事情通に聞いてみた → 衝撃の回答が!

──「麻薬」というワードは、そういう風に使われているんですね。では、本題に移りたいと思います。麻薬の味ってわかるものなんですか?

ボブ「先にも書いたが、何を舐めるのかにもよるだろう。でも、ペロリと舐めて「麻薬だ……」ってのは、正直、たとえば塩を舐めて「調味料だ……」と言ってるのと同じような感じだぞ」




塩を舐めて、「これは、調味料!!」と言うようなもの。塩を舐めて、調味料。調味料の1種である、塩をなめて、調味料……これはわかりやすい!

「麻薬は1種類の薬物を指す言葉ではない」
「特定のカテゴリに属する薬物をまとめて指す言葉」
「何を指すかは法律で定義されているが、実際のところ場所、場面、使う人によって意味が異なりがち」

ならば、コナンの発言って結構ザックリしたものだったのね! ひとつ、いや2つ3つ勉強になりました。

結局、月光殺人事件で一体、何の薬物が発見されたのかは謎のままだ。もしかしたら、特定の名称を避ける意図があり、あえて “麻薬” という表現が使われたのかもしれない。

それにしても、特定のドラッグ名は出なかったものの、ひとペロリでそれが薬物とわかってしまうとは、コナンは「麻薬の味=いくつもの薬物の味」に精通していることになる。どういうことだよ!? また、ハワイ万能説を唱えたら承知しねーぞ、バーロー!

ちなみに、コナンの「ペロリ」には「粉を舐めた説」が優勢であるものの、「ペロリで指を唾液でしめらせ粉を採取、ニオイを確認した説」も存在する。いずれにせよ、薬物の味や香りがわかるコナン、いや工藤新一って……そりゃ迷宮なしの名探偵、身体が小学生になっても黒の組織に太刀打ちできるというものだ。

参考リンク:毎日新聞
Report、イラスト:沢井メグ
協力:ボブ麻亜礼
Photo:Rocketnews24.

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