旨味たっぷりのつゆに、コシの強い太麺が特徴の定番カップうどんが『日清のどん兵衛』だ。ここ数年は「10分どん兵衛」や「レンチンどん兵衛」をはじめとする、数々のアレンジメニューで大きな注目を浴びているのはご存知の通りである。
そんな中、驚くべきことにこの度、どん兵衛の開発担当者と『10分どん兵衛』の発案者である「マキタスポーツ」さん、そして当サイト「ロケットニュース24」の夢の三者対談が実現! 10分どん兵衛にまつわる秘話や、どん兵衛の開発担当者が考案した衝撃の裏メニューなどを聞くことができたので、その内容を詳しくご紹介していくゾ!!
・夢の頂上対談が実現
対談に参加したのは「どん兵衛」の開発担当者と『10分どん兵衛』の発案者でありながら、ミュージシャンのほか、俳優やお笑いとしても活躍中の「マキタスポーツ」さん、そして以前に当サイトで『レンチンどん兵衛』の記事を執筆した私(K.ナガハシ)である。
今回の対談は試食会も兼ねており、3人が都内のキッチンスタジオに集結。司会進行役を当編集部のP.K.サンジュン記者が務めるかたちで、熱いトークが展開された。
・ジロリアンも驚いた「どん二郎」
──本日は『10分どん兵衛』と『レンチンどん兵衛』を世に広めたお二人が揃っていますが、今年2017年に入ってからは、Yomerumoトリビアニュースで取り上げられた『どん二郎』が、Twitterのトレンド1位になるなど、巷で話題になりましたね。
実は、対談があることを聞きつけたどん二郎の開発者の方より、お手紙が届いていますのでここで読み上げます。
「こんにちは、ミスタークドウです。物心がついて初めて食べたうどんがどん兵衛だった為、幼少の頃から “うどん=どん兵衛” でした。(中略)野島氏と共同開発したどん二郎の反響には驚きを隠せませんが、ネットの反響を見てみると、ラーメン二郎を食べたことがない人がどん二郎を作り、感動しているパターンが多く見られました。どん二郎にハマったけど、まだラーメン二郎を食べた事がないという初心者は、ラーメン二郎の府中店を推奨します。実は、どん二郎、府中店の味に近いのではないかと、自己判断しているのです。※ミスタークドウさんの手紙より一部抜粋」
日清「いやぁ、今初めて『どん二郎』が府中店の味に似ていることを知りました。二郎はいろんな店舗を食べ歩いていますが、たまたま府中店だけ行ってなくて……失敗したなぁ」
──日清さんは話題の情報をいち早くキャッチして、すかさず『どん二郎』の特設サイトを作ったようですが、このようなどん兵衛のアレンジメニューは、今もネット上に増え続けているのでしょうか?
日清「マキタスポーツさんに『10分どん兵衛』を提唱していただいたのと同時期に、ロケットニュースさんにも『レンチンどん兵衛』を記事にしていただいて、そこから自身が考えた方法で作る “マイどん兵衛” が急にネットで取り上げられるようになったんです。
その後、いろんな方が “マイどん兵衛” にチャレンジするようになって、現在もすごい勢いでネットに情報が上がっています。そのきっかけを作っていただいたのは、マキタスポーツさんとロケットニュースさんだと思っています」
マキタ「そこは忘れて欲しくないですね。始まりがどこにあったのかっていうところは」
ナガハシ「そうですね。どん二郎がバズるよりもずっと前ですからね」
・「10分どん兵衛」はどのようにして生まれたのか
──では、そもそもマキタスポーツさんはどのような経緯で『10分どん兵衛』を作るようになったのでしょうか?
マキタ「1988年に東京に上京したのですが、当時は学生でお金が無く、実家からインスタント食品を送ってもらっていたんです。やがて、その限りある食料をどうにかして美味しく、そしてたくさん食べたいという切実な思いから、麺をふやかすことを覚えたんですね。
そんな中、ある日どん兵衛の麺が変わったんですよ。えーっと、変わったのはいつ頃でしたっけ?」
日清「2009年ですので8年前になります」
マキタ「その新しい麺が、同業他社の商品と比べて明らかに太くしっかりしていたので、麺をふやかすのにマッチしてるんじゃないか、という発想が自然と生まれたんです。
──なるほど。『10分どん兵衛』はギリギリの生活がルーツだったんですね。
マキタ「あと、正直に言うと、これまで10分どん兵衛を薦めていながら、本当は15分くらいが良いと思っているんですよ。15分あればシャワーとかが浴びられるし、ちょうど良いんです」
・「レンチンどん兵衛」はどのようにして生まれたのか
──続いて、ナガハシさんはどのような経緯で『レンチンどん兵衛』にたどり着いたんですか?
ナガハシ「明確な時期は覚えていないんですが、15年以上前に自分の母親から『カップうどんに熱湯を入れて、レンジにかけると美味しくなる裏技がテレビで紹介されていた』と聞いて、それを半信半疑でやってみたところ、とんでもなくツルツルの食感になったんです。
その後、色々なカップ麺で試していたのですが、先程のマキタさんの話と同じく、どん兵衛の麺が太くリニューアルされてからレンチンとの相性が抜群になって、それから『レンチンどん兵衛』が僕の定番になりました」
どん兵衛の開発担当者が考案した、衝撃の裏メニューは次のページへGOだ!
参考リンク:日清食品「日清のどん兵衛」
Report:K.ナガハシ
Photo:Rocketnews24.
【独占】どん兵衛の変態裏メニューや「10分どん兵衛の秘話」を大公開! どん兵衛を愛するマキタスポーツさん&開発担当者との三者対談がついに実現!!(2ページ目)
・新しい食べ方
──マキタスポーツさんが『10分どん兵衛』以外にやっている食べ方はありますか?
マキタ「昔からやっているのは『つけうどん』です。ただ難点があって、1個だと麺の量が少ないんですよ。つけ麺って必ず多めじゃないですか。大盛りサイズのどん兵衛もあるけどそれでも足りないんです。だから、やるときは2玉分を使います。麺を水で洗って、お揚げも細く切っておいて、あったかいスープを濃いめに作って。
ただこれは、かなり時間と手間のかかるラグジュアリーどん兵衛なので、よほど心と時間に余裕があるときじゃないとやらないです。カミさんに『長く台所に居すぎ!』と叱られたりもするので」
──ナガハシさんは、どん兵衛の新しい食べ方はありますか?
ナガハシ「実は『レンチンどん兵衛』のアップデート版がありまして、1度レンジにかけてからザルでお湯を切って、新たなお湯にスープを溶かして麺やお揚げを入れるんです。こうしてお湯を新しくすることで、全体のとろみが取れてさっぱり食べられるんですよ」
──なるほど。どちらもどん兵衛だけで完結していて、すぐに真似できるところがいいですね。
マキタ「そう考えると、どん二郎はちょっとハイパー過ぎますよね。僕はプレーンな状態のものが好きだし、10分どん兵衛も素材のポテンシャルを引き出す作り方なので、そもそも発想が違うと思います。どん二郎はお化粧しすぎですね」
ナガハシ「そうですね」
・衝撃の裏メニュー「40分どん兵衛」
──ちなみに、日清さんが考えた新たな “マイどん兵衛” はありますか?
日清「最近のマイブームは『40分どん兵衛』です」
マキタ「40分!? なんですかそれは?」
日清「お水で作るんです」
ナガハシ「え!? お水で戻すってことですか?」
日清「そうです」
日清「この『40分どん兵衛』が生まれた経緯ですが、山どん兵衛、川どん兵衛、海どん兵衛というのがありまして。山・川・海に行って携帯コンロでお湯を沸かして、外でどん兵衛を食べるっていう」
マキタ「あ! シチュエーションどん兵衛でしょ!! これはあらゆる食べ物に言えることで、僕は「背景食い」とも呼んでるんですけど、シチュエーションや背景が料理の良いスパイスになることってありますよね」
日清「特に、山の上で食べるどん兵衛が最高に美味しかったりするんです。そこである日、山頂でどん兵衛を食べようとしたところライターを忘れてしまって……。
でも、どうしてもお腹が空いていたので、仕方なく水を注いで箸でツンツンしていると、40分くらいで程良い柔らかさになったんです!」
──お腹が空いてたのに、よく40分も待てましたね。
マキタ「水で戻せる商品の開発なんかにも繋がりそうですね」
──どん兵衛チームの皆さんは、もう40分どん兵衛は食べられたんですか?
日清「実は、まだ恥ずかしくて伝えられていないです……」
マキタ「やっぱり『恥ずかしどん兵衛』ってありますよね。僕の10分どん兵衛も、もともとはそうでしたからね」
さあ、次のページでいよいよ実食だ!
参考リンク:日清食品「日清のどん兵衛」
Report:K.ナガハシ
Photo:Rocketnews24.
【独占】どん兵衛の変態裏メニューや「10分どん兵衛の秘話」を大公開! どん兵衛を愛するマキタスポーツさん&開発担当者との三者対談がついに実現!!(3ページ目)
・「10分どん兵衛」を実食
──さて、いよいよ実食となります。今回はアレンジしたどん兵衛を6種類用意しました! ではさっそく『10分どん兵衛』から味わってみていただきましょう。どーぞ!!
ナガハシ「いただきます! んん……美味しい!! 思ったよりも麺にコシが残ってて、お揚げもすごく柔らかい。本当に美味しいですね」
マキタ「ありがとうございます」
ナガハシ「少し味が濃くなっていませんか?」
日清「マキタスポーツさん流に、5分経った時点でお揚げをひっくり返しながら奥に入れることで、お揚げの味が汁に染み出るんです。それで、少し味が濃く感じるのかもしれません」
マキタ「これ、お揚げが本当にふっくらするんですよね」
──確かに、違う揚げが入ってるんじゃないかっていうくらい見た目が違いますね!
・「レンチンどん兵衛」を実食
──次は『レンチンどん兵衛』を食べてみて下さい。
マキタ「麺の質感が全然違う。本当に透き通ってる! ズズズッ……ウマい!! こんな質感になるんだ。凄いなこれ」
ナガハシ「ありがとうございます」
マキタ「10分どん兵衛に似てるんだろうと思ってたんですが、全く違いました。ここまでの質感になるのはどん兵衛の麺だからでしょ?」
ナガハシ「そうですね。やっぱりどん兵衛の麺が1番モッチリ仕上がります」
マキタ「う~ん、ウマいなチクショー! 固定観念が覆されましたね本当に」
・「40分どん兵衛」を実食
──次は、水を注いで40分待った『40分どん兵衛』です。
ナガハシ「いただきます。おっ、本当に戻ってる! これは凄い!!」
マキタ「マジかよ、戻ってるよコレ! やっぱりどん兵衛の担当者は変態だな!!」
──水を入れるところが凄いですよね。麺の戻り具合はどうでですか?
ナガハシ「やや硬いかな、というくらいです。揚げから強い甘みが出てきますね」
マキタ「ちゃんと戻ってる。これはアリ。ラー油をかけたいね」
日清「確かにラー油をかけると美味しそうですね」
・「バターどん兵衛」を実食
──続いては、どん兵衛にバターを入れた『バターどん兵衛』になります。
マキタ「ああ、バターだ。うん、でも全然邪魔してないな」
ナガハシ「思ったよりもクドさは無く、スープにマッチしてますね。美味しい」
マキタ「あと、表面がバターでコーティングされて冷めづらくなりますね」
ナガハシ「確かに」
マキタ「これはお野菜を足したくなる味ですね」
・「どん二郎」を実食
──そして、話題の『どん二郎』になります。
ナガハシ「うわっ、ニンニクの凄い匂いがしますね」
マキタ「スープの感じとかは二郎だ! ウマいことやってるなぁ!!」
──どん兵衛の味は生きていますか?
マキタ「まだ麺にたどり着けてないです。長い旅になりそうだなこれは。おっ、やっと麺を発見! ズズズッ……うん、ウマいよ!!」
ナガハシ「ニンニクのパワーがすごいですが、ウマいですね!」
マキタ「なんだろ、僕らの時代と今の成人式を比べたら駄目だな……みたいな。これを『けしからん』とか言っちゃいけないよな」
日清「あと牛脂が凄いポイントになってて、二郎を食べた時の脂感が牛脂を入れることで出てくるんですよね。これを最初に食べた時には『これ、二郎だ!!』と思って、そのあと急いでラーメン二郎に行って味を確認したら、そっくりで『ウォッ!』って感じでした。」
ナガハシ「結構食べたつもりなんですけど、全然無くならないですね」
・「月見どん兵衛」を実食
──そしてラストは、お揚げを取り出して生たまごを乗せた『月見どん兵衛』になります。
マキタ「ああ、良いお顔だなぁ! ちゃんと白身に火が通ってて、これウマいことやりましたね」
日清「はい、これは私が作りました。前にチキンラーメンを担当していたことがあって、その時に磨かれたテクニックです」
マキタ「さすが、素晴らしいですね!」
日清「黄身をちょっと割ってそこに麺をつける感じがたまらないんです」
マキタ「僕もそれ大好きなの。そのちょっとエッチなやつ」
──確かにそれは艶かしい(なまめかしい)ですね。
マキタ「僕の方を見て下さい。ほら、潜ったたまごを下からほじくり出しますよ。そして、麺を卵にこういうかたちで……コレコレコレコレ! んん~!! コレコレ!!!」
・実食を終えて
──実際に味わってみて、印象に残ったどん兵衛を教えて下さい。
マキタ「最も印象的だったのは『レンチンどん兵衛』ですね。僕の中での固定観念がひっくり返った感じがしたんで、これからは是非やりたいなと思いました」
ナガハシ「『10分どん兵衛』には本当に驚きました。お店でも家でも麺類は硬めが好きということもあり、10分どん兵衛をこれまでやってこなかったんですけど、思ったよりコシもあって本当においしかったです」
・爆発的に売り上げに貢献した10分どん兵衛
──『10分どん兵衛』や『レンチンどん兵衛』がTwitter上でものすごく拡散されて話題になっていましたが、どん兵衛は売れましたか?
日清「はい、すごく売れました」
ナガハシ「『10分どん兵衛』と『レンチンどん兵衛』がバズったのは2015年下半期だったハズですが、2015年から2016年にかけて売れた感じですか?」
日清「例えば、2015年12月頃にどん兵衛の公式ホームページに『10分どん兵衛』の記事を掲載させていただいたんですが、もともと12月はどん兵衛が1年で最も売れる時期ということもあり、商品が欠品になりかけました」
マキタ「そういえばその頃、コンビニにどん兵衛が無かったですね。あと、10分どん兵衛の手書きのポップが増えましたね。逆に自分が『お前、10分どん兵衛って知ってるか?』と言われる、おかしな逆転現象なんかも起こりました」
──その他、気になったどん兵衛があれば教えて下さい。
マキタ「そりゃ『どん二郎』ですよ。だってもう、あれはスーパーマキシマムですよね。麺と同量の野菜が上にあるわけですから。これはもう、行くとこまで行ってるし、見事だなと思いましたね。」
ナガハシ「ついさっきまではちょっと邪道だなと思っていましたが、実際に食べてみたらとっても美味しかったし、これでもかっていうくらいに野菜とニンニクがたっぷりで、見た目のインパクトも抜群でしたね」
──水を入れて作る『40分どん兵衛』も凄いと思ったのですが。
マキタ「そうですね。もうひとつは『40分どん兵衛』ですね。新商品のヒントにもなりそうだし……そして、1番の変態が日清食品の本丸にいたっていうことですよね」
──『40分どん兵衛』はバズる可能性のあるどん兵衛ですよね。
マキタ「そうですね。特に夏場にね。でもやっぱりどん兵衛って、少々何をやっても壊れないってことがわかりましたね。思ったより頑丈に出来ていて『どん兵衛師匠ってすげえな!』っていう感じだなぁ」
──それでは最後に、どん兵衛を世に広めたということで、お二人とミスタークドウさんに、日清さんから感謝状が贈られます。
日清「あなたは多年にわたりどん兵衛を愛し、その発展に寄与されました。その深いどん兵衛愛と功績をたたえ、ここに公式どん兵衛士の称号を送り、感謝の意を表します」
マキタ「ありがとうございます!」
ナガハシ「ありがとうございます!!」
こうして「日清のどん兵衛」夢の三者対談は幕を閉じたが、これからもどん兵衛の歴史は、その麺のように “太く長く” 刻まれ続けることだろう。なお、今回食べた “マイどん兵衛” は、本当に全て美味しかったゾ。気になるものがあったら是非お試しあれ!
参考リンク:日清食品「日清のどん兵衛」
Report:K.ナガハシ
Photo:Rocketnews24.