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【コラム】新幹線でヤクザに包囲された話 / そして聞かされた衝撃の内部事情

2017年2月28日

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親子連れに修学旅行生、サラリーマンなどなど、様々な人が乗っている新幹線。その便利さは言うまでもないことだが、移動距離の長さゆえに1度乗ったら次の駅まで1時間……なんてこともザラである。

そしてどうやら、ヤクザも新幹線を使うようだ。今回は、私(中澤)が新幹線でうっかりヤクザに包囲されてしまった時の話をお伝えしよう。

・ぎゅうぎゅうの喫煙所

あれは、東京から故郷の大阪に帰る新幹線の中だった。タバコが吸いたくなり喫煙所に向かう私。だが、新幹線自体はそんなに混んでいないにもかかわらず、喫煙所はぎゅうぎゅう満員電車状態だった。

喫煙者の肩身が狭いこのご時世、新幹線の喫煙所が埋まっていることも珍しくない。「写真を撮ってSNSにでも上げようかな? でも、そんな珍しくもないか」とぼんやり考えていると、喫煙所の中から男性が1人出てきて席が空いた。思えばこの時、軽い気持ちで写真とか撮らなくて本当に良かった

・陽気なオッサン

元来あんまり道行く人に気を配ってない私は、彼らが放つ空気感に気づかずそそくさと入室。タバコを吸いはじめるとすぐ、私の入室前からタバコを吸ってたオッサンに話しかけられた。

オッサン「兄ちゃん新幹線乗ってどこ行くんや?」

──なかなか陽気な声のトーンだ。

「あ、大阪に帰るとこですー」

──と、そう言って話かけてきた相手を見たら、オッサンはこんなんだった

バッキバキのパンチパーマに、鼻の下に蓄えた短い髭、背は私と同じくらいだが、恰幅が良く黒いスーツを着こなしている。極め付けは薄い青色のグラサン。思いっきりヤクザっぽいーーーーーーー!

だが、この時は「っぽい」と思っただけだった。新幹線に乗るイメージもなかったし、グラサンの奥のオッサンの目がめちゃくちゃ澄んでて綺麗だったのだ。

というわけで、オッサンの「土建屋みたいなもんや」という言葉を信じて、しばらく世間話をすることに。オッサンは福島から岡山に向かう途中とのこと。

・おおむね良いオッサン

「最近、飛び出してきた婆さん跳ねてもうての」など、節々に飛び出す殺伐とした単語に「ん?」と思いつつも、おおむね会話は弾んだ。土建屋って大変なんですねー。「なんだか、良い感じのオッサンだな」とテンションが上がった私は、こう聞いてみた。

「記念に一緒に写真でも撮りませんか?」

──なぜか、空気が一瞬ピリッとしたものに変わった気がした。オッサンは無反応である。ひょっとして聞こえなかった? もう一回。

「記念に一緒に写真撮りましょうよ」

──オッサンは「ああ」と少し考え、重そうに口を開いた。

・カミングアウト

オッサン「やめといた方がエエ。堅気ちゃうねん


──やっぱりかァァァアアア! ついにカミングアウトされた衝撃の事実。だがしかし! オッサンのカミングアウトはこんなもんじゃなかった!! ヤクザに包囲された絶体絶命の状況の中で語られた某大手の内部事情とは!? 続きは次ページで!

イラスト・執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

・【コラム】新幹線でヤクザに包囲された話 / そして聞かされた衝撃の内部事情(その2)

ヤクザであることをカミングアウトしたオッサン。だが、ここで逃げるのも黙るのも失礼な気がする。私は一瞬でそう考え、タイムラグなしに「あーなるほどね!」と返事をした。

と、その時!! オッサンの後ろにいた清原みたいな2m級の体格の坊主男が「ピクッ!」と反応した。こちらをガン見している清原。その目を見て私は悟った。「今動いたら殺(ヤ)られる」と。

っていうか、この通路両サイドにある喫煙所を埋めてるの全員関係者か! 気づけば完全にヤクザに包囲されている。いや、飛び込んだのは自分だけど知らなかったしー!


できるだけ早くこの場を失礼のないように去りたい……が、しかし、去るタイミングが見当たらない。

オッサンは2ショット写真を拒否った後、再び世間話に戻ってるし、私も2本目のタバコに火をつけた。適当に相槌を打って盛り上げていると、徐々に話は内部事情へと移っていく

オッサンはどうやら、某大手のちょっと偉い人っぽい。それだけでも衝撃なのだが、話す内容はさらに衝撃だった。オッサンの話をまとめると以下の通りである。

・某大手の事情

1. 土建屋をやってるのはマジ
2. ヤクザ1本じゃ食ってけないから真面目に働いてる
3. マスコミはめちゃくちゃ盛ってる
4. 本当は報道されてる半分くらいの人数しかいない

──最初は、そんな話はどうでもいいから帰りたいと思いながらも、「マジっすか! そいつぁ大変だ!!」と相槌を打っていた私。たまに清原がピクッと反応することはあったが、これまた結構盛り上がった。

そして、話がちょうど切れたタイミングでタバコを消して「またねー!」という雰囲気で喫煙所を後にしたのである。そしてその後、大阪に着くまでタバコを吸うことはなかった。

今振り返って思うのは、オッサンは本当に大変そうだったということ。マスコミに困ってたり、土建屋と2足の草鞋だったりヤクザも、普通の人と同じで厳しい世の中なんだなー。

イラスト・執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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