記憶に新しいピコ太郎さんの『PPAP』の世界的ヒット。26年ぶりにアメリカビルボードチャート100位以内に日本人がランクインしたということでも話題になった。その言葉が示す通り、日本人ミュージシャンの世界進出が成功する例はほとんどない。そんな数少ない成功例の1つが「ギターウルフ」である。
1987年に結成され、早い段階からアメリカツアーなど世界を視野に入れた活動を続けてきた彼ら。なんと、そんなギターウルフが公式HPでベーシストを募集していた。売れないバンドマンである私(中澤)にとって、ギターウルフは憧れの存在。超入りたい……。というわけで、応募してみたぞ! ベース弾いたことないけど。
・必要書類
ギターウルフのHPに記載された「募集要項」によると、必要なものは以下の通り。
1. 普通の履歴書(身長、体重、血液型、ベースの経験の有無、好きなバンド、バンド活動経験があれば記入)
2. 全身写真
──以上である。ベース経験の有無を聞くということは、経験が無くても、採用される場合があるということだろうか。そう言えば、10年以上バンドを支えた現ベーシスト「U.G(ユージ)」もベース未経験者だった。
・ギターウルフの普通
気になったのは、「普通の履歴書」という記載。「真面目か!」と思ったことはさておき、「普通」って一体何だ……? 「異常」な履歴書があるみたいじゃないか。ギターウルフが異常を感じるレベルの履歴書を作れるヤツって逆に凄くね?
ちなみに、応募方法は郵送一択。ネット応募などという軟弱な方法はハナから存在しない。このご時世にそんな硬派さもギターウルフの魅力の1つである。さっそく、履歴書を作成。職歴などのプロフィールを普通に正直に記入した。
・若干ギターウルフに寄せてみる
だが、いくら「普通の履歴書」とは言え、あまりにもイメージとかけ離れていたら、オッサンがネタで応募してきたと思われそうだ。そうなると、書類審査で落とされる可能性が上がるだろう。そこで、履歴書の証明写真は若干ギターウルフの雰囲気に寄せてみることに。
最後に、志望動機を考えに考え抜いて下記のようにしたためた。
・志望動機
初めまして、セイジさん。私は中澤星児と申します。同じ名前ですね。今年2017年で35歳になります。大学を卒業後、上京してきて、10年ほどインディーズバンドを転々としながら、下北沢のライブハウスで今も活動しています。
私は、ずっとギターでバンドをやってきました。なぜ、ベースを弾いたことがないにもかかわらず、この歳になって今回の募集に応募するのか?
まず分かってほしいのは、遊びやおふざけではないということ。本気でのベース応募……踏み出すのには勇気がいりました。ハッキリ言うと、今も怖いです。しかし、もっと怖いのは何もしないこと。10代のころに自分を変えたくて手に取ったギターで、「何も変えられなかった」と認めてしまうのが怖くて仕方ないです。
この10年ほどのバンド活動の中でも何枚かCDを出したのですが、その度に「壁」にぶつかることの繰り返しでした。多くの問題は、「CDが売れない」「客が入らない」の2つが遠因で発生します。だけど……
「自分の頭の中を表現したい」
極論、音楽活動を始めとする表現の全てはそれだけのことだと思います。周りを気にする意味がない。気にしたところで合わせることはできないから、私はあの日ギターを手に取ったのです。
なので、バンドにとっての前述の2つ以上に大きな「壁」は、2つの壁に気を取られすぎて、目が曇り、やりたいことが見えなくなってしまうことだと個人的には思います。補い合えることがバンドの強みなら、余計な曇りも発生するのがバンドの弱み。それを思い知った10年でした。そのため、ギターウルフのダイヤモンドのような純度の高さに憧れています。
「音を出してみるまで何が起こるか分からない」
そういうバンドをやってみたい。そこで、パート違いではありますが、今回の募集に応募してみました。よろしくお願いいたします。
なお、結果については、採用・不採用問わず数週間後に必ず連絡が来るという。私の人生を左右するガチ中のガチのこの応募。もし、ギターウルフの力になりたいという人は応募してみるのも良いかもしれないぞ。
参照元:ギターウルフ
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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▼ガチ中のガチの履歴書
▼吹き荒れるジェットサウンドにシビれる憧れる