よく家で見かける小さくて茶色いコロコロした虫を……見たことあるだろうか? ヤツの大きさは約2〜3ミリほどで、カナブンを小さくしたようなカタチをしている。たまにブ〜ンと飛んだりもし、ティッシュなどで潰すと「プチッ」と嫌な音がする。
ヤツが出ない家に住んでいる人は、おそらく知らない。でも、ヤツが出る家に住んでいる人は……絶対に見たことがあるはずだ! ヤツの名前は「タバコシバンムシ」。小麦粉などの穀粉は無論、乾燥食品や動物繊維の衣類などを主食にしつつ、どんどん増殖していく、問答無用の害虫である。そんなヤツラが……いきなり大量に発生した!!
・ヤツらが次々と水槽にダイブしていた
まだ夏が来る前の、ムシ暑いある日。愛するメダカちゃんたちが泳いでいる自慢の水槽に目をやると、なぜかエサらしき物体が大量にプカプカと浮いていた。あれ? 俺、こんなにエサあげたっけな……と思いながら、じっくりその “エサ” を観察してみると……
ほ、ほげええええええええええええ! こ、こ、これ、エサやない! 虫や!! それも蚊とか小バエでもない、あの茶色くてコロコロした虫やーっ!! なんでじゃーッ!!
──と、思わずエセ関西弁で実際に叫んでしまうくらいにビックラこいた。虫なのだ。それも大量に……浮いているのだ! よく見ると、まだ生きているヤツもいる。なぜ!? なぜヤツらは水槽へダイブするのか!? 暑いのか? 泳ぎたいのかっ!?
つうか、そもそも……こいつら何者なんだ? すごい昔、実家の押入れ近辺でよく見かけた記憶がある。ゴキブリほど気持ち悪くはないが、存在そのものが うっとおしい。益虫だったら見逃してあげるけど、なぜか「そうじゃない感」がプンプンする。
・名前すら知らなかった
私(羽鳥)は昔から、彼らのことを「茶色くてコロコロしたアイツ」と呼んでいたが、そういえば名前すら知らないことに今さら気づいた。その生態も目的も本名も出身地すらも、すべてにおいて調べようともしなかった。無視してた……虫だけに。
それはどうでもいいとして、すぐさまネットで調べたり、動物や昆虫に詳しい知人に聞いてみた結果、ついに彼らの本名が判明。それが先述の「タバコシバンムシ」だ。
ちなみに名前こそ「タバコ」であるが、別に家のタバコを狙っているわけではなく、葉巻たばこなどの製造過程において、貯蔵してあるタバコの葉っぱを食いまくって大損害をあたえることから、タバコの名前を襲名したとのこと。ちなみに漢字では「煙草死番虫」と書く。なんだか暴走族のチーム名みたいで少しだけカッコイイ。
・乾物が大好きな腹ペコ野郎
では、タバコシバンムシの野郎どもが何を好んで食べるのかというと……まずは小麦粉やパン粉、パスタや乾麺、乾パンなどの乾燥食品。海苔や香辛料なども大好物で、ドライフラワーや衣類なども食べるらしい。つまりは、乾燥したモノが好きなのだ。
となると……ウチのプールに続々ダイブするというパーティーピーポー顔負けなハッチャケ行動に出たコイツらは、いったい何が目的だったのだろうか。水槽まわりで乾いているモノといえば、メダカのエサしか……ハッ……ぐわぁぁあアアアアアッー!!
すぐにヤツらの発生源は特定できた。そして、なぜ彼らが水槽にダイブしたのかも、すぐに分かった。しかしここからの展開は、虫嫌いな人は絶対に読まないほうが良いってレベルで閲覧注意。すべての謎は……次ページ(その2)にて解き明かされる。
Report:GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24.
よく家で見かける小さくて茶色いコロコロした害虫「タバコシバンムシ」が大量発生! 最強家グモ「アダンソンハエトリ」と共闘し撲滅作戦に乗り出した(その2)
何度か「閲覧注意」と書いたのに、このページを読んでいるということは……「虫の画像や動画を見てもゼンゼン大丈夫!!」と判断しても差し支えなかろう。ということで、ここからは一切の遠慮なく、タバコシバンムシの実態に無修正で迫ってみたい。
謎多き水槽ダイブについてだが、答えは簡単、ヤツらは「タイマー式の自動エサやり器」の中で大量発生していたのである。もちろん主食は、ほどよく乾燥したメダカのエサ。それらをパクパク食べまくり、栄養満点のエサの中で増えに増えたと思われる。
そういえば、「な〜んかサラサラしているはずのエサがボコボコと固まったりしているな……」と思った時があった。その時点で、すでにタマゴを産み付けられていたのである。エサの出口から侵入した勇敢なる開拓者によって、コロニーが作り上げられていたのである。「タバコシバンムシ国」は、すでに誕生していたのである! ノデアルッ!!
だがしかし……。
この「タイマー式の自動エサやり器」は、まるで観覧車のごとく、12時間 or 24時間ごとにグルリと一周回転する。その時にエサが出るわけなのだが、エサと同時に……
シバン1「わああああっ! また今日も回転したぁーっ!!」
シバン2「耐えろーッ! 何かにつかまれーッ!!」
シバン1「むりだーっ!! ウワーーーーーーーッ」
ドボン。
──と、よく商店街でやった「ガラガラまわして赤玉(ハズレ)が出るやつ」、もしくは「風雲! たけし城」的な展開で水槽ダイブしていたのだ。一方、運動神経のあるSASUKE的なタバコシバンムシたちは、このドボンの直前に宙に飛び立ち、部屋の中を自由にスイスイ&トコトコ。そして私に発見されてプチッと潰されていたのだ。
・1匹見たら大量発生してると思え
ともあれ発生源は特定できた。見たところ、6〜8匹のタバコシバンムシが、まだエサやり器の中に入っている。1匹でも逃したら、また増える。「このチャンスに一掃せねば!」と、新聞紙の上にエサやり器をぶちまけてみると……ほげええええええええ!
見たところ、6〜8匹どころの話じゃない! ざっと数えて約40匹!! ダイブした戦死者を合わせたら、ゆうに50匹以上はいたことに!! あんなに小さいエサやり器の中に、大盤振る舞いの50匹! なんという大家族スペシャル!! これにはマジで背筋が凍った。
・タバコシバンムシ vs アダンソンハエトリグモ
──とその時! 私の視界に、一匹の黒い物体が入ってきた。ウジャウジャとうごめく40匹以上のタバコシバンムシを、まるでゴルゴ13のごとく冷静に凝視していたのは……そう、私の敬愛するアダンソン様こと「アダンソンハエトリグモ」であった!!
アダンソン様については、Facebookにおいて10万以上のシェアをほこる過去記事「【殺さないで】よく家で見かける「黒くて小さいクモ」の名前が実はメチャクチャかっこいい / しかもハエやゴキブリを食べてくれる!」を参照してほしい。
小バエくらいなら瞬時に捕獲するアダンソン様。動くモノは何でも捕らえると噂のアダンソン様。そんな必殺仕事人が……タバコシバンムシを狙っている!! ということで、「どうぞどうぞ!」とばかりに決闘の席をセッティング。すると……な、なんと!!
秒殺。これぞまさしく秒殺である。じりじりと踏み込みの角度を合わせ、チャンスとあらば即タックル!! そのままガッチリとキャッチして、落ち着きながらムシャムシャと食している……。なんという強さ。なんという必殺仕事人(グモ)であろうか。
ちなみにその後、ウチに数匹は常駐しているアダンソン様たちの協力もあって、タバコシバンムシを見かけることはなくなった。やっと我が家に平和がおとずれた\(^O^)/ と油断していたつい先日……またもヤツらが家の中で発見されたのだ( ;∀;)
なお、今回の発生源はクワガタ飼育のために保管しておいた「菌糸」の中であった。もちろん即、ゴミ箱へポイだ。また出たら、どうしよう。この戦い、いつまで続くのだろう。アダンソン様、もっと本気を出してください!! アダンソンさまぁ〜!
Report:GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24.
▼タバコシバンムシが宿った菌糸は、すぐ捨てた