世は夏休みシーズンである。もしあなたが男性だとしたら、幼い頃きっと「虫捕り」をしたハズだ。中でも人気なのが “クワガタ” で、1匹でも捕れた日は学校でヒーローだったに違いない。そう、クワガタには「男の心をかき立てる魔性のパワー」が秘められているのだ。
そんなクワガタには「ミヤマクワガタ」や「ノコギリクワガタ」「ヒラタクワガタ」など数多くの種類が存在するが「オオクワガタが高値で取引されているらしい」なんて噂はよく耳にする。というか、オオクワガタなんてどう捕まえるんだ……? ぶっちゃけ見たこともねえよ。
・名人に密着取材
とある日のこと。知人と話をしていたら、ひょんなことからクワガタの話になった。しかも知人いわく「一晩で山ほどクワガタを捕る名人を知っている」と言うではないか。マ、マジか! しつこく取材のお願いしを続けたところ今回、釣りとオオクワガタをこよなく愛する、名人「嶋崎了」氏に密着できることになったのだ。
名人に指定されたのは、8月初旬の山形県。場所は明かせないが、ナビには道すら映っていない山奥中の山奥が現場である。東京から約7時間かけて到着したのは、午後5時過ぎ。名人によるオオクワガタの捕獲は、日が落ちる直前から始まるという。
・その名も「ライトトラップ作戦」
まずは捕獲作戦の概要を説明したい。その作戦とはズバリ「ライトトラップ」と呼ばれるもの。暗闇に強力な光をぶっ放し、紫外線に集まる昆虫の習性を利用した、いわば「光でクワガタホイホイ」のようなものである。
まだ辺りが明るいうちに、超巨大な水銀ランプを2カ所のポイントに設置する名人。もちろん電気は通っていないので、発電機を持参している。名人は記者がお邪魔した3日前からこのポイントでクワガタを捕獲しており、3日前には約300匹のクワガタが捕れたそうだ。これは期待せずにはいられない……。
・厳しい条件
名人いわく、クワガタが捕りやすい条件は「昼はスコーンと晴れて、夕方はどんよりジメジメ。風が無く月も無い方がいい」とのことである。特に月の満ち欠けは最重要で「満月の日なんて捕れないよ」と話していた。
さらに驚くことに「標高○○メートル以上」「木はブナとミズナラが生えている」など、厳しい条件をクリアしたスポットを、地図と自分の足だけで探し出すというのだ……。ちょっとアドベンチャーすぎるだろ! 宝探しかよ!!
それはさておき、辺りが暗闇に包まれそうな午後7時頃、2つの水銀灯にスイッチが入った……。果たしてクワガタは本当に飛んでくるのだろうか? そしてオオクワガタは? 気になる続きは2ページ目へGOだ!
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
【密着取材】男のロマン! 名人による「オオクワガタ捕獲作戦」がワイルドすぎる!! 一晩でクワガタ500匹オーバーも(2ページ目)
・クワガタフィーバー!
強力な水銀灯が灯されてから間もなく、やって来たのは米粒ほどしかない小虫の大群と、蛾などである。
ランプの前にはとても立てないほど、大量の虫が明りに群がっているが、肝心のクワガタが来ない……と思ったそのとき! 地面には明らかに小虫たちとは違う黒い物体が!! こ、これは!?
「アカアシ(クワガタ)だね」
サイズは小さいが紛れもなくクワガタ! すげー!! マジでクワガタが飛んできたッ!! さらにその後はクワガタフィーバー! 幼い頃に憧れたミヤマクワガタやノコギリクワガタが、オスもメスもガンガン飛んでくるではないか。マジやべぇぇええええ!
・オオクワガタは飛んでくるのか?
テンションMAXの記者に対し、至ってクールな名人・嶋崎氏。狙いはあくまでオオクワガタだけらしい。2時間ほどが経ったときだろうか、わんさか捕れたミヤマやノコギリが飛んでこなくなり、コクワガタが飛来し始めたとき、名人の目がキラリと光った。
「最初はアカアシ。その後は色んなクワガタが飛んできて、それが終わるとコクワ。その後にオオクワってパターンが多いから、コクワはリーチなんだよね」
──パチンコか! だが名人の言うことだ、これはかなりアツい!! いや、激アツであるッ!! さあ来い、オオクワガタ! 夢を見させておくれ!! と思ったが、この日オオクワガタは1匹も捕獲できなかった。む、無念……。
・約60匹を捕獲
約3時間の「ライトトラップ作戦」で、捕れたクワガタはオスメス合わせて約60匹! 一番の大物は「ヒメオオクワガタ」のオスで、「いいサイズだね」とのことである。ちなみに名人は、オオクワガタ以外は基本的に全て山に帰しており「クワガタ100匹でオオクワは1匹いるかいないかくらいかな?」とのことであった。
「風があったからコンディションは良くなかったね」と名人は語っていたが、これまで見たことがないほどのクワガタの大群に、記者はテンションが上がりまくり。貴重な経験させてくれた嶋崎氏には、この場を借りてお礼を申し上げたい。本当にありがとうございました。
・マジで憧れた
今回感じたことは「誰もが真似できるようなことではない」ということ。経済力や時間など、それなりに余裕がある人でなければ真似は出来まい。お子様にはとても無理な荒技だ。そして何より、「少年のようなキラキラした心」が必要不可欠だと感じた。
名人は「宝探しだね」と語っていたが、まさにその通りなのだろう。一晩に最高560匹のクワガタを捕ったことがあると語っていた名人の目は、まさしく少年のそれと同じであった。キラキラした心を持ち続ける名人に、「男としてカッコいいなぁ」と惚れ惚れした山形の夜であった。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.