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台湾企業「鴻海(ホンハイ)」か、それとも官民ファンドの「産業革新機構」か。日本中が注目したシャープの再建問題。結局、ホンハイ傘下に入ることで合意したものの、マッハで契約延期と報じられた。まさかまさかの急展開である。報道によるとシャープの3000億円を超えるという偶発債務に起因するとも言われているが……。

何となくこれはシャープが悪い、という声もあるが実際のところはどうなのだろう? 元シャープ社員に話を聞いてみたところ「シャープが悪い点もあるとは思いますが、私はそもそもホンハイが本当にシャープを再建する気があるのか、という方が気になりますね」だという。えっ? どういうことですか?

・元シャープ社員「シャープを再建する気があるのか?」

……と、話すのはお気に入りのシャープ製品は『ZERO3』、『ザウルス』のことは今でも愛していて、『どっちもドア』には人生を変えてもらったという元社員のヤマダ・マイケル氏(仮名)だ。

ヤマダ氏は「ホンハイが偶発債務のことを知らなかったとは思えない。そもそも、何度も再建案を出したり引っ込めたりしているホンハイもどうなんだよ」と思っているそうだ。

確かに、ホンハイの郭台銘(テリー・ゴー)会長は、台湾企業という身でありながら、中国大陸で iPhone などアップル最大の下請け会社「フォックスコン」として大きな成功を収めた超やり手だ。一方で、フォックスコンは過酷な労働環境と言われており、ある意味 “地獄のプロデューサー” とも言える存在である。

ヤマダ氏は、そんな辣腕の郭会長が “偶発債務を知らなかった” なんて凡ミスをしたというのが信じられないらしい。「好条件の再建案 → やっぱ延期するわ」までが “筋書き通り” だったのでは、と心配しているという。

・元シャープ社員「買収が白紙になってもホンハイは得をする」

以下が、ヤマダ・マイケル氏のコメントだ。

ヤマダ「ホンハイの真意はわかりませんが、端から見ていると、よっぽどシャープというブランドが欲しかったか、シャープ買収劇を演じることで日本での知名度を上げたかったかのどちらかに見えてしょうがない。

ホンハイ傘下のフォックスコンは世界的には有名でも、ホンハイの日本における知名度はまだまだだしね。ホンハイの名が、今回のことで日本人の頭にガッチリ印象づけられたのは事実。加藤紗里ちゃんレベルのビッグウェーブ? 紗里ちゃんは可愛いからいいとして、もし……もしですよ、ホンハイの売名行為だったとしたら、シャープは完全に振り回されたことになるので心配です。

ここまで知名度が上がれば、仮に買収が白紙になってもホンハイは得をする。破格の買収金を提示した甲斐があったというものです。ここでホンハイが切ってきたら、シャープは大変でしょうね。今から産業革新機構に泣きついても、足元見られるだろうし。とにかく時間をロスしてしまっているのが本当にヤバイ。

あ、ロケットニュースさんもシャープ買収に名乗りをあげたら? きっと超有名になりますよ!(笑)」

……とのことだった。ホンハイが偶発債務を知っていたかどうか、真相は不明だ。ヤマダ氏の懸念は、あくまで一個人の意見ではあるが、今回の件で、ホンハイが、いま日本で最も有名な台湾企業のひとつになったことは間違いないだろう。

両社は早期の合意を目指すとしているが、今回の件を経て、買収条件が変わる可能性もあるという報道もある。シャープ再建問題、果たしてどんな結末を迎えるのだろうか?

参考リンク:NHK [1] [2]、Twitter@SHARP_Press
執筆:沢井メグ
協力:ヤマダ・マイケル
Photo:Rocketnews24.