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帝国海軍の潜水艦メシを食べてみた! 男たちが極限の状況で食べていた糧食「伊号第八潜水艦のごはん」

2016年2月8日

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避難食、宇宙食、軍事食……世の中には非常時のための食事が数多くある。現代ではどんな環境でも美味しく食べられるものが多いが、研究が進む前はどんなものが食べられていたのだろうか。

……と、そんななか! 大日本帝国海軍の潜水艦、つまり第二次世界大戦下の旧日本軍の潜水艦の再現メニューを発見したぞ。70年以上前の潜水艦では何が食べられていたのだろうか? 実際に確かめてみた!

・帝国海軍の潜水艦メシを食べてみた

貴重な帝国海軍の潜水艦航海食に出会ったのは、2016年2月7日に行われたワンダーフェスティバル内、「江戸まとい」のブースである。この日、販売されていたのは伊号第八潜水艦の食事を再現したもの。

伊号第八潜水艦は、第二次世界大戦中、ドイツと日本の往復作戦に成功したことで知られている。『艦これ』なら、スク水娘のはっちゃんだ。そんな資料や聞き取りから再現したという航海食「伊八壽司」は、当時使われていた食器のレプリカがついて2500円で販売されていた。

・シビれるほどの酸っぱさ!!

さっそく「伊八壽司」のフタを開けてみると……おお! 見た目はわりと見覚えがある和食だ。主食は、「ハム鮨」。そしておかずに、「緑豆春雨とワカメの酢味噌和え」、「塩鮭のみりん漬け」、「牛肉野菜の辛子和え」。なんだかホっとするラインナップだ。

ハム鮨が少し珍しいが、宇宙食のように驚きのビジュアルをしているわけではない。……だがしかし!! ほっとする見た目とは裏腹に、味はかなり刺激的だったのだ。一言でいうと「酸っぱい」。ハンパなく酸っぱい!

とくに春雨の酢味噌和えのお酢。かなりパンチが効いている。越えてはいけないラインを越えている訳ではないが、それでも日常的に食べる酢味噌の10倍は酸味がきいている気がする!

・味付けには理由があった

この味付けの理由は「当時の日本人が酸っぱいのが好きだった」……というわけではない。潜水艦での航海は、狭い狭い機械の中に閉じ込められているようなもの。気圧も違えば、日光に当たることもできず、乗組員はまさに極限状態だったという。

そんな状況下では味覚が鈍り、食欲も落ちてしまうのだとか。そんな鈍った味覚にダイレクトに刺激を与え、さらに食欲を刺激する味付けが研究され、この酸っぱさにたどりついたというのだ!

・食感も大事

航海食は、食感も大切だ。たとえば「塩鮭のみりん漬け」。味自体は一般的なみりん漬けに近いが、素揚げされているのでちょっと硬い。つまりよく噛まないと食べられないということなのだが、この「噛む」という行為が食欲を呼び覚ます重要なポイントなのである。

なるほど、栄養だけでなく、味付けや食感も考えられているんだなぁ……! なお付属の説明書によると、これらの潜水艦における食事の研究が、フリーズドライやインスタント食品の発展に寄与したのだとか。なるほどねえ!!

・個人的に一番美味しかったのは……

細部にまで工夫がこらされた潜水艦の航海食だが、そのなかで個人的に「地上で食べてもウマい!」と思ったものがある。「牛肉と野菜の辛子和え」だ。

味噌+ウスターソースというエキセントリックな組み合わせながら、これが酸味辛味のバランスがよく、さらに肉の旨味が絡んで絶品。ホカホカの白ごはんと合わせれば地上でも最強のおかずになりそうである。

参考リンク:江戸まとい
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

▼こちらが江戸まといのブース。めちゃめちゃ雰囲気が出ているなぁ

▼伊号第八潜水艦の航海食。食器がついて2500円だ


▼ウラに刻印あり

▼そしてこれがお弁当の中身だ!

▼主食はハム鮨。ちょっと珍しいが想像できる味。酢飯の酸味もそこまできつくはない

▼酸っぱい! これは酸っぱい!! 極限下で鈍った味覚にも届く「緑豆春雨とワカメの酢味噌和え」

▼硬めの食感がポイントな「塩鮭のみりん漬け」

▼そして「牛肉野菜の辛子和え」。普通にうまい!

▼これら潜水艦の航海食が、現代のインスタント食品の礎(いしずえ)を築いていたとは……何とも感慨深い話だ

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