2016年2月5日。人類にとって歴史に残るかもしれない重大な研究結果が、東京医科歯科大学より発表された。それは「歳をとると毛が薄くなる仕組みが解明された」というもの。簡単にいえば「加齢によるハゲのメカニズムを解明した」というわけだ。
今は関係がない人でも、やがて直面するであろう薄毛の仕組みが解明されたということは、朗報以外の何物でもない。だが発表された文章を読んでみても、難しい言葉が多くイマイチしっくり来なかったので、研究結果を発表した西村栄美教授に直接連絡してみることにした。
・発表された研究結果
今回、発表された内容はざっくりと以下のようになっている。
「加齢による薄毛・脱毛の仕組みを明らかにしました」
「歳をとることで毛包幹細胞においてDNAのダメージが蓄積してくると、幹細胞維持に必要な蛋白質の分解がひきおこされ、毛包幹細胞が表皮角化細胞へと分化しながら皮膚表面へと移動して落屑していくため、毛包が小さくなり消失することをはじめて示しました」
「幹細胞を中心とした組織・老化プログラムが存在することを示しました」
「加齢に伴う脱毛症のほか、加齢関連疾患の病態解明と新規治療法開発への応用が期待できます」(上記引用)
その他、詳細な解説もあるのだが、筆者のような素人にはチンプンカンプンの内容であった。だが、「歳をとると毛が薄くなる仕組み」が解明されたということは、今回の研究結果を元に特効薬なども開発されるだろうし、ゆくゆくは「ハゲ0人社会」が来るということなのだろうか?
・難しかったので電話してみた
そこで無理を承知で西村教授に電話をかけてみたところ、「少しだけなら」ということで電話取材に応じてもらえた。以下が、教授と筆者のやり取りである。
筆者:「単刀直入に申しあげますと、今回の研究結果は万人に効果があるものなのでしょうか? 例えば、現段階でツルツルの人でもフサフサになるのでしょうか?」
西村教授:「今回の研究結果は、あくまで老化と毛が薄くなる仕組み、つまりステージによっての脱毛の仕組みが解明されたものなので、そういう性質のものではありません」
筆者:「なるほど……。では現段階で薄毛の人には?」
西村教授:「研究結果を踏まえた上で治療薬が開発されれば、効果が期待できます」
筆者:「ふむふむ。ちなみに何年を目途に治療薬を開発したいとお考えでしょうか?」
西村教授:「10年以内にできたらいいな、と思っています」
……とのことであった。
結論として、現段階でツルツルの人がフサフサになることは無理であっても、薄毛の人にならば研究結果は応用できそう、ということである。発表の中で、
「本研究成果は、老化の仕組みについて新しい視点を与えると同時に、脱毛症の治療法の開発やその他の加齢関連疾患の治療へと繋がることが期待できるものと考えられます」
(引用)
ともしているから、今後の展開に期待しよう。
▼薄毛の人は期待して待とう。