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【検証】魔法瓶の保温力はメーカーによってどれほど差が出るのか? 人気のサーモス・象印・タイガー・スタンレーの温度を実際に測って比べてみた

2015年11月25日

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魔法瓶といえば、言わずと知れた保温性容器。外気の影響をほとんど受けずに温度を保つ、まさに魔法のような瓶(ビン)としてお馴染みだ。そんな魔法瓶選びに欠かせない大事な情報が、保温力だが……。保温力は、実際に使ってみないとわからない。むしろ使っていても、比較する他社製品がないと比べようもないのが現状。

なので今回は、人気メーカー「サーモス」「象印」「タイガー」「スタンレー」、4つのメーカーの温度を、室内・室外に置いて約1時間ごとに計測。それぞれの温度の変化を比べてみたぞ! 果たして 保温力に差はあるのか? そして外気は影響しないのか? 

・100℃の沸騰状態からの温度変化を計測

【手順】
1.お鍋いっぱいのお湯を100℃まで沸かす。

2.火は止めず、沸騰状態のままオタマで各水筒にお湯を注ぐ。

3.注いですぐに温度を計り、蓋(フタ)をしっかり閉める。
4.1時間おきに温度を計測する。

・6時間計測し続けたところ

【室内】

『注いですぐ → 1時間後 → 2時間後 → 3時間後 → 4時間後 → 5時間後 → 6時間後』
・タイガー(青)
96.5℃ → 90.9℃ → 87.0℃ → 83.1℃ → 80.1℃ → 76.5℃ → 72.4℃
・サーモス(緑)
96.6℃ → 91.2℃ → 88.0℃ → 84.4℃ → 81.7℃ → 78.4℃ → 75.6℃
・象印(赤)
96.7℃ → 90.3℃ → 86.4℃ → 82.3℃ → 79.1℃ → 75.4℃ → 73.6℃
・スタンレー(黄)
94.6℃ → 90.3℃ → 87.0℃ → 84.2℃ → 81.8℃ → 78.6℃ → 76.2℃

パッと見の印象はサーモスが強い。しかし……! スタンレーが着々と差を詰め、4時間後からトップに踊り出る──という結果になった。そして、1時間後から5時間後までひたすら最低温度をマークしていた象印だが、最後の最後にタイガーが急落し最下位に。最終結果は、スタンレーサーモス象印タイガーの順。トップのスタンレーと最下位のタイガーの差は3.8℃だ。

【室外】

『注いですぐ → 1時間後 → 2時間後 → 3時間後 → 4時間後 → 5時間後 → 6時間後』
・タイガー(青)
96.0℃ → 90.3℃ → 85.5℃ → 81.4℃ → 77.2℃ → 73.3℃ → 69.9℃
・サーモス(緑)
96.4℃ → 91.3℃ → 87.7℃ → 83.9℃ → 80.2℃ → 76.7℃ → 73.1℃
・象印(赤)
96.1℃ → 90.6℃ → 86.5℃ → 82.5℃ → 78.6℃ → 74.8℃ → 71.6℃
・スタンレー(黄)
93.5℃ → 87.3℃ → 84.2℃ → 81.0℃ → 78.1℃ → 74.9℃ → 72.2℃

温度の下がり方が一番緩やかなスタンレーが、3時間後あたりから巻き返し始め、最終的にはサーモススタンレー象印タイガーという順に。外の場合、サーモスが安定してトップ。一番高いサーモスと一番低いタイガーとの差は3.2℃となっている。

──なるほど、ここまではサーモスがかなり優秀な印象。温度変化の様子はわかったが……では続いて、室内と室外での差。すなわち、外気の影響は受けているのか? また、冷水の場合の温度変化はどうなのか? 結果は次ページ(その2)に どどんと掲載だ!

Report:DEBUNEKO
Photo:RocketNews24.

【検証】魔法瓶の保温力はメーカーによって差がでるのか? 人気のサーモス・象印・タイガー・スタンレーの温度を実際に測って比べてみた(その2)

・室外と室内の差はあるのか?

では次に、外気の影響をどの程度受けたのか、室内・室外の温度の差をメーカーごとに比較してみよう。注ぎたての数値は参考にはならないかもしれないが、ひとまず一覧にまとめると以下の通り。
(※右の数値は「室外ー室内」)

・タイガー
注いですぐ:96.0℃(外)96.5℃(内)ー0.5
1時間後:90.3℃(外)90.9℃(内)ー0.6
2時間後:85.5℃(外)87.0℃(内)ー1.5
3時間後:81.4℃(外)83.1℃(内)ー1.7
4時間後:77.2℃(外)80.1℃(内)ー2.9
5時間後:73.3℃(外)76.5℃(内)ー3.2
6時間後:69.9℃(外)72.4℃(内)ー2.5

・サーモス
注いですぐ:96.4℃(外)96.6℃(内)ー0.2
1時間後:91.3℃(外)91.2℃(内)+0.1
2時間後:87.7℃(外)88.0℃(内)ー0.3
3時間後:83.9℃(外)84.4℃(内)ー0.5
4時間後:80.2℃(外)81.7℃(内)ー1.5
5時間後:76.7℃(外)78.4℃(内)ー1.7
6時間後:73.1℃(外)75.6℃(内)ー2.5

・象印
注いですぐ:96.1℃(外)96.7℃(内)ー0.6
1時間後:90.6℃(外)90.3℃(内)+0.3
2時間後:86.5℃(外)86.4℃(内)+0.1
3時間後:882.5℃(外)82.3℃(内)+0.2
4時間後:78.6℃(外)79.1℃(内)ー0.5
5時間後:74.8℃(外)75.4℃(内)ー0.6
6時間後:71.6℃(外)73.6℃(内)ー2.0

・スタンレー
注いですぐ:93.5℃(外)94.6℃(内)ー1.1
1時間後:87.3℃(外)90.3℃(内)ー3.0
2時間後:84.2℃(外)87.0℃(内)ー2.8
3時間後:81.0℃(外)84.2℃(内)ー3.2
4時間後:78.1℃(外)81.8℃(内)ー3.7
5時間後:74.9℃(外)78.6℃(内)ー3.7
6時間後:72.2℃(外)76.2℃(内)ー4.0

やはり全体的に室外の方が温度が低いので、外気の影響は少なからずあるようだ。なかでも、室内と室外での平均差が圧倒的に大きいのはスタンレー。逆に差が一番小さいのは象印

平均差の小さい順……すなわち外気の影響が少ない順に並べると、象印サーモスタイガースタンレーの順となった。2位のサーモス、やはりここでも優秀だ。

・冷水の場合

ちなみに、鍋いっぱいに氷を大量に投入後、オタマで魔法瓶に注ぎ、室内・室外に放置した結果は以下の通り。──なお、氷の数や大きさによる誤差を考慮し、魔法瓶に氷は入れていない。

【室内(水温 1.4℃からスタート)】
『 注いですぐ → 1時間後 → 2時間後 → 3時間後 → 4時間後 → 5時間後 → 6時間後』
全メーカー
1.6℃ → 2.5℃ → 2.5℃ → 2.5℃ → 4.1℃ → 4.1℃ → 4.1℃

【室外(水温4.6℃からスタート)】
『注いですぐ → 1時間後 → 2時間後 → 3時間後 → 4時間後 → 5時間後 → 6時間後』
タイガー・サーモス・象印
4.6℃ → 4.6℃ → 4.6℃ → 4.6℃ → 4.6℃ → 4.6℃ → 4.6℃
スタンレー
4.6℃ → 6.1℃ → 6.1℃ → 6.1℃ → 6.1℃ → 6.1℃ → 6.1℃

今回、最初の温度を揃えることができなかったので、室内・室外の差は計測不可能だったものの、室内ではすべてのメーカーが全く同じ温度変化となった。室外では、スタンレーのみ1時間後に上昇して以降、すべて一定。冷水においては室外の場合スタンレーが一歩後ろを行く形だが、それ以外に差は出なかった。冷水は熱湯のように目立った変化がないのは面白い!

・結果

ということで、今回はお湯の結果から結論を出すことにしよう。とにかく室内外・温冷水ともに安定し、かつ外気の影響も受けにくかったのはサーモスだ。室外では一定してトップ。室内では4時間後にスタンレーに抜かれるものの、その後も 1℃未満の僅差を保っている。総合的に非常に優秀だ。

・各社の特徴

上記で述べたサーモス以外のそれぞれの特徴をまとめると、スタンレーは注いだ瞬間の温度が他3本と比べ低い傾向にあるが、温度の下がり方が一番ゆるやかで、長時間の使用で差が現れるといえる。象印は温度の下がり方が一番激しいものの、外気の影響は一番小さい。タイガーは全体的に一歩出遅れている印象だ。

・どれを選ぶ?

──いかがだろうか? 以上の通り、それぞれ差はあるものの、この差をどう捉えるかは人それぞれだろう。なお、今回は行っていないが、少量の熱湯(冷水)を入れて予熱(冷)すると、保温(保冷)効果が高まるとのこと。

今回は保温(保冷)力のみの調査だったが、軽さやタフさに力を入れていたりと、各社の工夫は様々だし、価格も異なる。用途に応じて必要な条件も変わってくるだろう。一つの結果として、今後の魔法瓶選びのご参考になれば幸いである。

Report:DEBUNEKO
Photo:RocketNews24.

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