以前の記事で、ソウルでグルーヴィーなバンド「ゴマアブラ」についてお伝えした。路上ライブ育ちの彼らが繰り出す音は、聞く者の心と身体を激しく揺さぶる。そして気が付けば、思わず踊り出しそうになってしまう。
たしかな腕とずば抜けたパフォーマンスで、2016年ブレイクするのではないか? と私(佐藤)は勝手に想像している。そんな彼らの音楽的なルーツや結成のいきさつについて、インタビューを行った。しびれるようなビートは一体どこからやってくるのか?
・どうやって出会った?
バンドはベースボーカルのダディー直樹、ギターのニュートン・コウタ、ドラムのおにぎり、そしてキーボードのNulu Pong(ヌルポン)の4人組。ダンサブルな楽曲から、諭すようなメッセージ性の強い曲まで幅広い音楽性を持っている。それぞれ卓抜した演奏技術を持っているのだが、この4人は一体どうやって集うことになったのだろうか?
ダディー「結成は2007年だっけ? 2008年だっけ? みんな覚えてないんですよ(笑)」
おにぎり「一応プロフィールでは2007年ってことになってる」
ダディー「俺とニュートンが高校の同級生で、おにぎりとNulu Pongが小学校の同級生なんですよ。俺とおにぎりが出会ったことをきっかけに4人が集まりました」
・どんな風に曲を作る?
おそらく4人は出会うべくして出会ったのだろう。あまりにも自然に集い、音楽を始めたために、いつから始まったのかさえ、思い出せないのではないか。ある意味必然といっても良い。そんな彼らはどのように曲を作っているのだろうか?
ダディー「曲はほとんど俺が作ります。メンバーにも作るように言うんですけど、作ってくれなくて(笑)」
記者「曲が先? 詞が先?」
ダディー「曲が先です」
・ライブについて
スタジオでのセッションを重ねて、楽曲を完成に導くそうだ。彼らの曲に、日本人離れしたグルーブが感じられるのは、セッションから生まれるものだからなのか。特に路上ライブの映像を見ると、一体感・グルーブ感が尋常ではないほどに感じ取ることができる。そんな彼らがライブでもっとも大事にしていることとは……。
ダディー「2007年から路上でのライブを続けたんですけど、その経験からハングリーさが培われたと思うんですよね。通りすがりの人の足を止めて楽しませるって簡単なことじゃないんです。大変なんですよ。でもそんななかで、お客さんが俺たちの曲を聞いて、踊り出したり、子どもがはしゃいでたりするのを見ると、最高に楽しいです」
Nulu Pong「渋谷とかでやってると、外国人観光客が多くて、明らかにずば抜けたダンスした人とかいてね」
ダディー「そう、プロなんじゃないか? って思うような人がいたり」
おにぎり「路上のライブ感を、ステージでも生かせるようにしたいと思っています」
・路上で忘れられないこと
2007年からやり続けてきた路上ライブに転機が訪れる。2011年の東日本大震災後に、ライブを行うかどうか悩んだそうだ。あの時のことを記憶している人も多いと思うが、街は計画停電の影響などで、すっかりと沈み切っており、至るところで自粛ムードが漂っていた。
ダディー「俺らのような音楽を路上でやったら、不謹慎と言われたり、石を投げられるんじゃないかと思ってかなり悩みましたよ。やるかどうか。でも、すごく評判が良くてうれしかったですよね。名取市から、募金活動に来ている人たちと仲良くなって、俺たちの演奏で人を集めて、募金してもらうっていう連携が出来たり……」
ダディー「被災された方に『こんな活動をやって大丈夫ですか?』って尋ねたら、『元気もらえた』って仰って頂けましたね。この時に、自分たちのやってる音楽に確信を持てたんです。これでいいんだって。俺たちの音楽で自然と身体が動いちゃって踊り出して、楽しんでもらえたらなっていつも思います。たとえば『会社や学校で嫌なことあったけど、踊って忘れちゃった』、そんな風に思ってもらえるようなライブを続けていきたいです」
現在路上ライブはお休みしているそうだ。今後は路上を再開しつつ、2カ月に1度のペースで、ライブハウスでワンマンライブ『やみつきワンマンNight!』を継続していく計画らしい。12月13日にその2回目を吉祥寺で行う。自然と身体が動き出してしまう、彼らのアツいソウルを体感したい人は、ライブに行くことをおススメする。2016年、彼らが飛躍的な活躍をすることに期待しよう。
・イベント詳細
名称 やみつきワンマンNight! vol.2
会場 吉祥寺MANDA-LA2
日時 2015年12月13日 開場18:00 開演19:00
料金 前売3000円 当日3300円(いずれも1ドリンクオーダー)
取材協力:ゴマアブラ
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24.