日々、暮らしていくために仕事は必要不可欠。その仕事をやっていく上でどうしても無視できないのが人間関係だ。そして、人と人の間で生きていくうちに、知らず知らずに心には不純物が溜まっていき、気付けば精神が病んでいる。そんな精神の病みは現代社会人の抱える闇と言える。
そして、そんな現代の闇を浄化するために、我々は “日常系” と呼ばれる禁断の果実に手を伸ばす。今期スタートの日常系アニメの中で、日常系ジャンキーを量産しているのが『干物妹うまるちゃん』だ。
・日常系とは?
日常系とは、サザエさんのように登場人物達が自由に日常を過ごす様を主体に描いた作品を指す。大きな展開や1クール通してのストーリーはなく、基本的に一話で完結する。
以前の記事で、最強の日常系である『のんのんびより』をご紹介したが、同じ日常系でも『干物妹うまるちゃん』は一味違う。
・あらすじ
容姿端麗で勉強もスポーツもできる完璧女子高生のうまるちゃん。実は完璧なのは外面だけで、家の中ではいつもお兄ちゃんにわがままを言い、ゴロゴロだらだらしたダメ人間生活を送っている。そんなうまるちゃんを中心とした日常の生活を描く。
・概要
この作品の主要人物は、タイトルにもある通り主人公のうまるちゃんだ。彼女と、同居しているお兄ちゃんを中心に日常の物語が描かれていく。しかし、実はヒロインであるうまるちゃんの人気の座を揺るがす強敵(?)が存在する。それが蛯名ちゃんだ。
・名脇役の蛯名ちゃん
蛯名ちゃんとは、うまるちゃんのクラスメイトで同じアパートに住んでいる巨乳の女子高生である。物語の初期から頻繁に登場し、基本的に天然ボケをかましてはにかんでいるだけのキャラだ。
・うまるちゃんがかわいくない説
アニメが始まった当初、ネットでは「主人公のうまるがかわいくない」という意見があった。私も少し思っていた。ストーリーよりもキャラを重要視する日常系アニメにおいて、ヒロインがかわいくないのは致命的だ。
しかし、私はある日悟ったのである。「うまるちゃんがかわいくないわけではない、蛯名ちゃんがかわいすぎるのだ……」と。蛯名ちゃんの照れっぷりやちょっとした天然ぼけっぷり、純粋さ、そして甘いビジュアルは、もはや凶器の領域だ!
きっと、初期の段階で蛯名ちゃんの魅力に取り憑かれ、ダークサイドに引きずり込まれた人たちも少なくないことだろう。
・ひたすら蛯名ちゃんがかわいい
ストーリーなど無いに等しい。だが、それが良い。仕事に疲れきって帰ってきた夜、無心で蛯名ちゃんを見る時の「一日終わったなあ……。」と、しみじみ思うあの感じは何ものにも代えがたい。
・のんのんびよりとの相違点
「結局、『のんのんびより』と同じやないかい!」 と感じた人もいるかもしれない。しかし、『のんのんびより』と『干物妹うまるちゃん』で決定的に違う点が、うまるちゃんのお兄ちゃんの存在だ。
・うまるちゃんのお兄ちゃん
うまるちゃんと同居しているお兄ちゃんは眼鏡をかけた草食系のサラリーマンだ。いつもうまるちゃんにわがままを言われ、少し愚痴ったりしながらもうまるちゃんのわがままを聞いてしまう。影は薄く主役ではないにせよ、常に物語に絡んでくる。
・視聴者の “目” となるお兄ちゃん
このお兄ちゃんの存在が『のんのんびより』との決定的な差である。考えてもみてほしい。影が薄く、眼鏡をかけており、草食系……これはそのままターゲットとなるオタク達にあてはまる特徴である。つまり、このアニメを見る際は、お兄ちゃんの主観となって見るのが正しい作法なのだ。
・お兄ちゃん目線で見ると天国でしかない
うまるちゃんはだらしないところをお兄ちゃんにしか見せないし、わがままもお兄ちゃんにしか言わない。蛯名ちゃんはお兄ちゃん相手だとハ二かんでしまう。こういったシチュエーションは、お兄ちゃんを自分だと思って考えてみるとただの最高でしかない。
『のんのんびより』には、こういった主観となれるキャラが存在しない。そのため、『干物妹うまるちゃん』の方が、アニメの世界感に没入できる仕組みとなっているのだ。
・気が付けば難民化
当初、順風満帆とは言えない船出だったうまるちゃん。しかし、回を追うごとに評価が上がっていき、現在は、うまる難民の発生が確実視されている。放送はあと一回。複雑なストーリーは無く、今から見ても十分理解できるだろう! そして、私は今現在、頭を抱えている。「これが終わったらワイ、どうやって生きていったらええんや……。」と!
執筆:中澤星児
参照元:『干物妹うまるちゃん』公式HP
Photo:RocketNews24.