人間の三大欲である性欲。その強さのピークは男女によって異なると言われているが、性に目覚めてからの数年間、男性の性欲は一気に人生のピークを迎える。
これは今では考えられないが、「有り余る性欲」に、人格すらも支配されていた頃の筆者が体験した実話である。
・「大人のビデオ」を貸してくれるレンタルビデオ店
今から20年以上前、高校1年生の時。周囲に比べて性に目覚めたのが遅かった筆者は、性に目覚めてからというもの、自転車で20分ほどかかるレンタルビデオ店に、それこそ毎日のように通っていた。
もっと近所にレンタルビデオ店はあったが、その店に通っていた理由はただ一つ。今に比べて大らかな時代であった当時、その店は未成年でも「大人のビデオ」を貸してくれたのだ。
・いつもなら貸してくれるハズなのに
筆者はレンタルビデオ店とは真逆の方向にある高校に通っており、高校からレンタルビデオ店までは自転車で40分ほどかかる。──それでも構わなかった。40分の道のりを遠いと感じたことは一度もなく、ゴリラ以上に鼻息をフンフンさせながらペダルをこぎ続けた。
そんなある日のこと。人目を忍びつつレンタルビデオ店に入り、「大人のビデオ」を借りようとしたときのこと。いつもならすんなり貸してくれるハズなのに、その日に限ってやたらと処理が遅い。
・制服姿がダメだった
実はその日、筆者は制服姿のままレンタルビデオ店に突入していた。特に気にしていなかったが、高校生活の90%以上をジャージ姿で過ごしていた筆者は、いつもジャージでその店に訪れていたのだ。
どうやらお店には「ジャージ姿なら未成年かどうかわからないから貸せるけど、制服姿は未成年とわかるから貸せない」という理屈があるらしい……。ハンパなく意味不明な理屈だが、そのお店に恩恵を受けている以上、それに従うしかあるまい。
・若さゆえに
仕方なく「あぁ、わかりました」と引き下がった筆者は、店の前に停めてあった自転車の前まで行き……とりあえず脱いだ。ジャージの上着は無かったものの、ジャージのズボンはかばんに入っていたのだ。
そして「シャツを着たら高校生だと思われて “大人のビデオ” が借りられなくなる」と考えた筆者は、下はジャージ、上は裸のまま再度お店に突入した。そんな筆者を見て、無表情のまま黙々と仕事をこなしていたレジのおじさんの顔は、いまだに忘れられない。
結局無事にビデオは借りられたのだが、今思えば完全にクレイジーである。むしろ「よく通報されなかったな」と思う。振り返るたびに背筋が凍る、ゾッとする話である。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.