ロケットニュース24

【その後のプロ野球選手】元ロッテ他「藤田宗一」さんロングインタビュー

2015年8月26日

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プロ野球選手の寿命は短い。中には例外もあるが、40歳まで現役でプレーできる選手はごくごく少数で、監督やコーチなどの指導者になれる選手はさらに少ない。多くの選手はユニフォームを脱いだ後、一から第二の人生を歩んでいる

そんな引退後のプロ野球選手を追いかけるのが、ロケットニュース24の新企画「その後のプロ野球選手」のコーナーである。記念すべき第1回目は、ロッテ・巨人・ソフトバンクを渡り歩いた、鉄腕サウスポー「藤田宗一」さんだ。

・鉄腕サウスポー「藤田宗一」

藤田宗一さんといえば、2005年「YFK」の一角としてロッテ31年ぶりのリーグ優勝に貢献し、2006年はWBC日本代表に選出。2008年には日本記録となる527試合連続救援登板を達成した “鉄腕サウスポー” である。

ユニフォームを脱いだ藤田さんは現在、東京・赤坂で『豚焼専門店・焼きゅう豚 繁』のオーナーとして第2の人生を歩んでいる。独立リーグを含めると14年もの間、プロ野球と携わってきた藤田さんに、お店で話を伺うことが出来た。

・「ロッテで優勝できるとは思っていなかった」

筆者:私自身がロッテファンで、この企画の第1回目を受けていただいて非常に光栄です! 今日はせっかくなので、思い切りミーハーな質問を中心にさせていただきます!!

藤田さん:いえいえ。どうぞどうぞ。

筆者:ではまず、現役時代の最大の思い出はなんでしょうか?

藤田さん:それはやっぱり2005年にロッテで優勝したことですね。まさかロッテで優勝出来るとは思ってなかったですし(笑)

筆者:な、なるほど……。やっぱり選手も何となくそういう雰囲気があるもんなんですね。あのときは、いつ頃から「イケるんじゃね?」 となったんですか?

藤田さん:交流戦が終わったあたりですね(2005年のロッテは交流戦で優勝)。あそこでガンと貯金ができたので。

・「河本さんは凄かった」

筆者:なるほどなるほど。ではさっそくミーハーな質問をさせていただきます。プロに入って、「この人はヤバイな」と思った選手は誰ですか?

藤田さん:河本さんですね(即答)。1年目のキャンプのときブルペンで横に並んだら、ボールがホップしてましたからね。負けずに投げてたら肩を痛めちゃいました(笑)

河本育之(かわもと やすゆき)。当時のロッテのストッパー。身長は決して高くなかったが、ストレートをウィニングショットにしていた。顔が怖いことでも知られる。

筆者:河本さん! 実は大好きなんです!! それは置いておいて、では藤田さんが影響を受けた選手は誰ですか?

藤田さん:河本さん、園川さん、小宮山さんですね。河本さんは同じサウスポーで体型も似てたから、「俺についてこい」と言われ、1年目はそれこそ練習から試合、食事まで一緒にさせていただきました。

・「影響を受けたのは、河本さん、園川さん、小宮山さん」

筆者:感激だな~。河本さんと藤田さんがガッツリつながってたなんて。園川さんは地味なイメージなんですが、どのあたりに影響されたのでしょうか?

園川一美(そのかわ かずみ)。ロッテ一筋14年の左腕。当時、イチロー選手に、プロ野球史上初となるシーズン200本目の安打を打たれたことでも有名。

藤田さん:園川さんは、コーチになられてからですね。僕は納得いかないことがあったら、ストレートに言ってしまう方なんですが、園川さんが「直接言うな。俺に言え。俺が全部中に入るから」と。

筆者:男気がある方なんですね! 意外でした!!

藤田さん:一度、投球に納得がいかなくてロッカーで暴れたら園川さんがダッシュでいらして「後で部屋にこい」と。シバかれるかと思ったんですが、行ったら話を聞いてくれて。選手の性格を知り抜いてる方です。

筆者:そうなんですか! 意外だなぁ。では小宮山さんは?

小宮山悟(こみやま さとる)。球界史上有数の頭脳派ピッチャー。元プロ野球選手なのに、柏レイソルが大好き。

藤田さん:小宮山さんは、厳しい方ですね。僕が小宮山さんより年上の先輩と揉めたとき、キッチリ僕も怒られるんですが、その後その先輩のところに行って「こいつの好きにやらせてやって下さい」と言ってくれました。面倒見もよく、野球をよく知っている方です。

筆者:なるほどー! 小宮山さんは冷静そうですもんね。

藤田さん:でも、僕はそうでもなかったんですが、小宮山さんは自分が不甲斐ないとロッカーで暴れることもあって。一回「藤田、お前も納得いかなかったら暴れていいんだぞ」と(笑)

筆者:それは意外です! 話を伺っていると藤田選手は、男気のある方とシンパシーが通じやすいのかもしれませんね。

藤田さん:そうかもしれませんね。

まだまだ続く、藤田選手へのロングインタビュー。気になる続きは最終ページへGOだ!

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

【その後のプロ野球選手】元ロッテ他「藤田宗一」さんロングインタビュー(後半)

・「柳田は大物になると思った」

筆者:では逆に、現役時代に面倒を見たというか、何か教えたりした選手はいますか?

藤田さん:キャンプ中に巨人の高橋尚成が来て「けん制教えて」とかはありましたね。あとは巨人に移籍してから、山口鉄也や越智大祐には、肩の作り方やブルペンでの待機方法などを教えました。

筆者:そういうのって、どういうきっかけで教えるんでしょうか?

藤田さん:僕は基本的に聞きにくれば教えてましたね。こっちから教えたりするのはコーチの仕事ですから。

筆者:なるほど。では、現役時代に仲が良かった選手は誰ですか?

藤田さん:コバヒロ(小林宏之)とか、福浦和也ですかね。よく一緒に飯を食いに行ったりしてました。

筆者:最近でも連絡を取っているのは?

藤田さん:山口鉄也や、越智、あとはソフトバンクで一緒だった吉川輝昭とかですかね。

筆者:ほうほう。ちなみに、現役プロ野球選手の中で注目してるのは誰ですか?

藤田さん:やっぱり、日本ハムの大谷君でしょうね。彼はピッチャーかバッター、どちらかに専念させたらとんでもないことになりますよ

筆者:ですよねー。ちなみにご自身が現役だとしたら、対戦したい選手は?

藤田さん:ソフトバンクの柳田悠岐と、西武の秋山翔吾ですね。両方とも左打者なので(左腕のリリーフピッチャーは、左打者と対戦することが多い)。柳田はソフトバンクの頃、2軍で一緒にどこかの球場に行ったことがあるんですが、彼はハートが強いですよ。

筆者:ほー。何かあったんですか?

藤田さん:当時、コーチか誰かに柳田が怒られたんですが、納得してなくて。僕が仲裁したんですが、あとで「どうして俺が謝らなきゃいけないんですか?」と。それを聞いて、こいつは将来大物になると思いましたよ。周りのヤツにも「柳田は将来スゴイ選手になるぞ」と言ってましたね。

・「自分が伝えられるものがあると思う」

筆者:そうなんですか。では話はガラッと変わり、どうして焼肉屋をオープンしようと思ったんですか?

藤田さん:飲食店には元々興味がありましたね。群馬にいた頃(独立リーグ時代)、修業させてもらえることになって。そのとき、たまたまいい豚とも巡り合って……という感じですかね。

筆者:なるほど。ちなみに、藤田さんは40歳で新たなスタートを切ったわけですが、苦労されたことはありますか?

藤田さん:20歳そこそこで社会に出るのとはまるで違いますからね。それはありましたよ。ただ、会社務めして一からスタートするよりは、自分でやった方がいいかなと。

筆者:そうですか。ちなみに機会があれば、指導者としてプロ野球界と関わりたい気持ちはありますか?

藤田さん:それはありますね。やっぱりずっと野球やってきましたし。自分が伝えられるものもあると思います。

筆者:そうですか。ちなみにこの企画はリレー形式にしたいんですが、誰かご紹介いただけますか?

藤田さん:関東なら、越智が麻布で焼肉屋やってますよ

筆者:おお。初耳でした。ちなみに越智選手へのメッセージがあれば。

藤田さん:お互い飲食店で時間がないけど、たまには飲みに行こう。くらいですかね(笑)

筆者:では、最後にファンの方にメッセージをお願いします。

藤田さん:第二の人生、こっちで頑張ってます。機会があればぜひ遊びに来てください!

・群馬産の愛豚(まなぶた)は絶品

現役時代はどちらかというと、コワモテなイメージの藤田さんであったが、常に穏やかな表情でインタビューに答えてくれた。また今回掲載したインタビューは、ごくごく一部である。記事にできないプロ野球の面白トーク、例えば「コーチの役割り」や「キャッチャー論」、「怪我との戦い」などの裏話を惜しげもなく聞かせてくれた。

その後にいただいた食事は、お世辞抜きに激ウマで、藤田さんが惚れぬいた群馬県産の愛豚(まなぶた)はガチで絶品。藤田さんは基本的にお店にいるそうだから、プロ野球ファンなら一度は足を運ぶ価値があるぞ! 最後に藤田さん、本当にありがとうございました!!

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 焼きゅう豚「繁」
住所 東京都港区赤坂2-13-4 第15大協ビル1F
時間 18:00~24:00
休日 第2第4土曜・祝日

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

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