ロケットニュース24

【インタビュー】英ケンブリッジ大学で日本学を勉強する学生に日本語や日本の印象を聞いてみた

2015年7月17日

日本とイギリスの違いってどんなところだろう? ”テレビで話される言語” や “家で靴を脱ぐか脱がないか” なんて気付きやすいものから ”布団を干すか干さないか” など、言われてみないと気付きにくいものまである。今回、イギリスのケンブリッジ大学で日本学科のに所属する3人の学生にインタビューする機会があった。

全く違った文化で育った彼らがどんなきっかけで日本に興味を持つようになったのか、また日本の大学に1年留学してみた彼らの目に日本はどう映ったのかなど、気になることを聞いてきた。いろいろと面白い気付きがあったので紹介してみたいと思う。

今回協力してくれたのは、サカリ君、エマさん、カースティンさんの3人だ。3人が所属する日本学科では、日本語や日本文学だけではなく、日本の歴史や文化、政治、社会など日本について様々な角度から学習する。

記者:それでは早速最初の質問です。どうして日本に興味を持つようになったのですか?

サカリ「僕の場合はビデオゲームかな。エイジオブエンパイアとかで、日本の侍が登場するんだけど、それで日本に興味をもって。15歳だったし、日本語が喋れるようになったらかっこいいなってなんとなく思って勉強することにしたんだ。日本に異国情緒的な魅力を感じたし。あと漢字の見た目とかがかっこよく思えたね」

記者:それでその流れで大学でも日本語を勉強しようと?

サカリ「そうだね、ケンブリッジ大学の大学案内を見ていてたまたま日本学ってコースを見つけたんだ。それまでそんなコースがあるなんてことすら知らなかったんだけど、自分の興味がある分野がうまく網羅されていたんだ。社会学、歴史、政治、そして言語とか。それでこのコースを受験することにしたんだ」

カースティン「私はヴィジュアル系音楽がきっかけだったの。YouTubeを見ていたら “SOPHIA(ソフィア)” というバンドの “ストロベリーアンドライオン” って曲をたまたま見つけて、日本のヴィジュアル系音楽にはまったの。それで日本に興味を持つようになったわ」

エマ「私は特に日本じゃなきゃいけないってわけじゃなかったんだけど、とりあえず大学では語学を専攻したいなっていうのがあって、でもヨーロッパの言語は高校でいろいろやったからなにか新鮮味があるものをということで、日本語を勉強することにしたの」

記者:日本語を勉強するのってどうでした?

サカリ「文法が(英語などやフィンランド語とは)全く違うのには驚いたね。最初はまるでプログラミング言語を学習しているようだったよ」

エマ「漢字を覚えるのは大変だったわ」

サカリ「僕は漢字を覚えるのは楽しかったね。フラッシュカードなんかを使ってさ。考えなくていいから、いい息抜きになるし」

カースティン「漢字はやっぱり難しいわ。使う機会がないとなかなか覚えられないし、すぐ忘れちゃう。たまに(日本人の)先生もイギリス生活が長くてど忘れしてたし」

エマ「私は文法に関しては確かに全く構造が違うけれど、論理的だと思う。だからそこまで大変っていう感じではなかったわ」

記者:私は日本人ですが、漢字を覚えるのは大の苦手でしたね(笑) ちなみに気に入ってる言葉とかありますか?

サカリ「『よろしく』とか『おつかれ』とか。『よろしく』はなにか頼みごとするときにすごい便利。『あっこれよろしく。じゃぁね〜。(立ち去る)』みたいな(笑) 『おつかれ』なんかは本当に英語にしにくい。英語だとグットジョッブとか言えるけど、それだとなんだか上から目線に聞こえちゃうしなかなか難しい」

エマ「私は『ゴロゴロ』とか『時々』とか繰り返し語の言葉の響きが好きかな」

確かに私もイギリスで生活していて、『おつかれ』のような労いの言葉がなかなかなくて不便に感じたこともある。そしてよく日本語を学習している人に言われるのだが、日本語には『もしもし』、『サラサラ』、『ネバネバ』のように2回繰り返す言葉が多くて面白かったり可愛かったりするようだ。考えてみれば、そのような言葉は英語にはない。

少しずつ場の空気があったまってきたところで、次ページの後半(その2)では3人の日本での留学生活に関する質問をしていくことに。日本人とは違った目線で見た “日本” を垣間見ることができるはずだ!

Report:ゴールド土方
Photo:Rocketnews24.


【インタビュー】英ケンブリッジ大学で日本学を勉強する学生に日本語や日本の印象を聞いてみた(その2)

記者:三年生の時にサカリ君は東京の上智大学に、エマさんとカースティンさんは京都の同志社大学に1年間交換留学生として日本で過ごしたそうですね。日本での大学生活はどうでした?

サカリ「あまり学習面ではいそがしくなかったので、授業をサボって旅行したりしていました(笑) ダンス部に入っていたんですけど、着替えている時に胸毛に注目されたりしましたね(笑) 日本ではめずらしいみたいで」

記者:たしかにめずらしいのかな? ちなみにモテました?

サカリ「うーん、まあモテたかな(笑) 外国人! 青い目! 茶髪!ってかんじで」

エマ「私とカースティンは京都に住んでいました。普段は静かだけど選挙カーがすごいうるさかったり、変なギャップ。ありがちだけど、お寺とか芸者とか日本的なものが楽しめた。でも思ったほどサブカルチャーシーンが大きくなかったわね。やっぱり日本というとサブカルチャーがすごいってイメージがあったけど、想像していたほどではなかった」

記者: 関西弁は覚えましたか?

エマ「ちょっと勉強したけど、先生に標準語で話しなさいって言われて。外国人が関西弁で話すと変とかなんとか」

記者:そうですかね? イギリス人が関西弁。いいと思うんですけどね。ところでイギリスに帰ってきてから、日本を恋しく思うことってありますか?

一同「コンビニ! 居酒屋! カラオケ!(笑)」

サカリ「あと松屋だね」

記者:吉野家でも、すき家でもなく松屋?

サカリ絶対に松屋だね! 味噌汁が付いてくるところがポイントだよ! あとは焼肉ソースをドバッとかけるのが美味しい。おすすめ!」

エマ「あとは山のある景色とか、河川敷で人が楽器の演奏をしている風景とかはすごい素敵だった」

記者:それでは最後に、日本に来て驚いたこととかはありますか?

エマ「『カワイイ』がすごい頻度で使われていたこととか。人とか動物とかだけじゃなくて、ドリンクとか物に対してもみんな『カワイイ〜』って言っていて、最初はなんのコッチャって思ったわ」

カースティン「私はみんながすごいオシャレなのにびっくりした。講義とかにもみんなヒール履いてくるし! イギリスだったらみんなスニーカだよね」

記者:確かにイギリスの大学生は女の人でも普段はジーンズにランニングシューズかスニーカって人が多いですね

カースティン「あとは男の人が常に髪をいじっていることとか?」

エマ日本の男の人は髪いじりすぎ(笑)  あとはみんな胸の露出に敏感だよね。タンクトップ着てたら、肌見せすぎなんて言われて。なのにみんな足の露出に関しては寛容みたいね。イギリスだと逆に足はそこまで出さなかったりするから面白いよね」

カースティン「あとは日本ではなんでもしゃべるのね! ゴミ回収車とか自動ドアとか、トラックとかも『バックシマス、バックシマス』って!(笑)」

エマ「あと売り子がすごいハイピッチなの。裏声なのかな」

カースティン「あれはちょっと耳障りだよね」

サカリ「上下関係とかはやっぱり理解するのに時間がかかったね。1年生まれた年が違うだけで、上下関係が出来上がるなんてヨーロッパだとなかなかないからね

あとはルールに対するみんなの意識の違いかな。日本ではルール=道徳みたいなところがあるように感じたね。どんな馬鹿らしいルールでも守らない = 悪い人(不良)だ! みたいなね。

大学に進学する前にも一年間日本にホームステイしたんだけど、その間ずっと携帯禁止で、なんで? って思ったね」

エマ「私は女子寮に住んでたんだけど、男の人は立ち入り禁止で。父親でも母親と一緒じゃないと入れないの。イギリスだともう男女混合が普通だから驚いた」

記者:確かにイギリスだと大学寮は基本男女混合ですよね。今日は日本人とは違った視点からの日本を垣間見ることができた気がします。どうもありがとうございました。

・外国人の目からみた日本ってなんだか新鮮

ちょっとした労いの 「おつかれさま」や、選挙カーからの放送、上下関係など日本で育つと普通のことのように感じるが、外国人からすると面白かったり、おかしかったりするようだ。

今回は話に出なかったが、他にも電車の中で熟睡するサラリーマンなど、外国人からは不思議に見えるものが多い。そんなことを意識しながら海外の映画を見て日本と比較したりするのも面白いかもしれない。

Report:ゴールド土方
Photo:Rocketnews24.

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