プロ根性は、時に見ている人々の心を揺さぶる。最近で言うと、フィギュアスケーターの羽生結弦選手だ。2014年11月に行われたフィギュアスケートグランプリシリーズ第3戦・中国杯。羽生選手はその直前練習で怪我を負ったものの、棄権することなく本番の演技に臨み、多くの人を感動させた。
今回はそんな羽生選手と同じくらい、いや、もしかしたら彼以上にプロ根性あふれるミュージシャンを取り上げたい。簡単に言うと、そのミュージシャンはライブ中に、股間……具体的にはTAMA(以下TM)に大ケガを負ってしまったのだ。出血をし、下手するとTMを失ってもおかしくないレベルの大ケガを!
だがしかし! そのミュージシャンは演奏を止めることなく、想像を絶する痛みに耐え、ライブ終了までステージに立ち続けたのである! なんというプロ根性!! アクシデントの瞬間を記録したYouTubeの動画とともに、色々な意味で鳥肌が立つストーリーを紹介しよう。
・メタルバンドのベーシスト
そのミュージシャンとは、オランダのシンフォニック・メタル・バンド「ディレイン」で、ベースを担当しているオットー・シムルペニンクさん。その男気とプロ根性ゆえに、本記事では親しみを込めてオットー兄貴と呼びたい。
2014年11月26日、ディレインはイギリス・バーミンガムでライブを行った。もちろん、ベーシストのオットー兄貴もライブに参加。ただそのライブでは、ステージ上のメンバー構成がいつもとは異なっていたという。したがって、オットー兄貴もいつもとは違う立ち位置で演奏をすることに。まさか、それが後の大事故に繋がる一因になるとは……。
・キャノン砲テープ打ちが直撃
ここで、アクシデントを引き起こすことになった機材について触れたい。それは、キャノン砲テープ打ち、またはストリーマーキャノンや銀キャノンなどと呼ばれる舞台装置。その名を知らなくても、「銀色のテープや紙吹雪を一気にバーーンと打ち上げる、巨大なクラッカーみたいなもの」と言えば、イメージがわく人は多いのではないだろうか。
その日のライブでも、「キャノン砲テープ打ち」は豪快な音を響かせた。が……近かったのだ! オットー兄貴が近過ぎたのだ!! どうやら、オットー兄貴は演奏に夢中になっていたらしい。その結果……キャノン砲は、兄貴の股間を直撃! 悲劇が引き起こされたのである。
・Facebook で激白
オットー兄貴は、Facebookにその時の状況をこう記している。
「ストリーマーキャノンは、後ろから俺のアレに直撃した。その時の痛みは最悪で、俺は不注意だった自分自身にムカついて仕方がなかったぜ。次の曲になると痛みはさらに酷くなり、出血している感覚もあった。凄まじい痛みで意識が飛びそうになったが、俺は何とかライブを終えることが出来たんだ。まさに歯を食いしばったよ」
兄貴は強靭な精神力で、最後までステージで演奏を続けたのだ。そしてライブが終わると、ケガの具合が明らかになったようだ。
「俺のTMは、でかいグレープフルーツくらいのサイズになり、とにかく、メチャクチャに痛かった。俺は近くの病院に担ぎ込まれたんだが、何時間も待たなければならなかった。結局、手術を受けたのは、朝の8時30分だ」
「そこで俺の左のTMが、いくつかの動脈と一緒に裂傷を負っていることが分かった。それから俺のTMからは500ミリリットルの血液が抜かれ、傷口は縫い合わされたんだ。その日は一日中病院さ」
……とのことである。なんと痛々しい治療だろうか……血液を抜かれるのも縫合されるのも、絶対に経験したくない! というより、想像さえしたくない!! 多くの男性はそう感じるだろう。なお気になるケガだが、オットー兄貴はこう記している。
「もう少しで左のTMを失うところだったが、おそらく大丈夫だと思う。約6週間後に超音波検査を受けることになっていて、その時に結果が分かるんだ。この最悪な痛みから解放されるまで、しばらくかかりそうだぜ。残念だけど、現状はこんなところさ。ただ、サバトンと一緒にやる予定のヨーロッパツアーまでには十分間に合うはずだ」
まだ確定ではないものの、多分大丈夫! そしてツアーにも間にあうはず!! このコメントに、多くのファンが歓喜したに違いない。
それにしても、まだ痛みを感じているにもかかわらず、ファンに対して「次のツアーはきっと大丈夫だ」と報告するとは……演奏を続けたことも脱帽ものだが、このコメントも脱帽もの。まさにプロ。これぞロッカー! これぞ真のメタルスピリッツだ!!
とにかく、検査結果が良好であることを願うばかりである。
参照元:YouTube、Facebook、Elite Daily(英語)
執筆:和才雄一郎