いまだかつて、これほどまでにヘビーメタルなバンドがいただろうか? このバンド「HateBeak」のボーカルのメタル感といったらハンパではない! メタルのなかのメタル!! もはや人間業ではないといっても過言ではない。実はこのバンドのボーカル、本当に人間ではなかった!?
バンドのボーカリストを務めているのは、なんとインコなのである。このインコのシャウトは、メタル界屈指の実力を持つボーカリストを凌ぐ力量なのだ。アレンジしているとはいえ、インコのシャウトとメタルサウンドは結構合ってる! これからのメタルシーンは、鳥類の活躍が目覚ましくなるのかもしれない!?
・2人と1羽
ボーカルを務めるのは、ウォルドという名前のヨウム(大型インコ)である。バンドメンバーはウォルドのほかに、エンジニアのブレイク・ハリソンさんと、ギター・ドラムを担当するマーク・スローンさんの2人+1羽のスリーピースである。2004年に結成し米ボルチモアを拠点に活動開始した。
・ライブで見たい!
インコと侮るなかれ。YouTubeや音楽のコミュニティサイトのMy Spaceに公開された楽曲を聞くと、歌詞やメロディーはなくても、サウンドに宿した魂はひしひしと伝わってくる。重苦しい音の洪水のなかを、ウォルドのシャウトがまるで飛翔するがごとく炸裂しているのだ。これはライブで見てみたい!
・しかしライブできなかった
と思うのだが、彼らは決してライブを行わなかった。というのも爆音のなかにウォルドを晒してしまうと、虐待になってしまう。ブレイクさんは「我々はライブをしない」と公言していた。活動がもっとも盛んだったとき、彼らはその素性の一切を明かすことなく、ミステリアスなスタンスで活動していたという。
・メタル愛
ナゾ多きバンドとして活動していたものの、意外にもシーンの評価は高かった。彼ら自身は活動について、「ヘビーメタルへの愛」だけがバンドが存在する理由であり、特別なメッセージはないとしていた。奇をてらってインコをボーカルにした訳ではなく、彼らなりのメタルへの愛だったのである。そしてバンドが目指すものは音楽のレベルを引き上げることだった。
・2009年に解散
そんな彼らは、2頭の犬がボーカルを務める「Caninus」と組んでシングルをリリースした後、2009年に解散している。現在ウォルドがどうしているのかは不明だ。ちなみにCaninusの方も、2頭のうちの1頭が他界してしまったのだとか。人間以外のメンバーが在籍するバンドは、思わぬ事態で活動停止を余儀なくされることも想定しておかなければならないだろう。
それにしても、HateBeakのサウンドはなかなかヘビーである。いつの日か再結成されることに期待したい。
参照元:ODDITYCENTRAL、MySpace(英語)
執筆:佐藤英典
▼HateBeakの2007年発表の曲『Hellbent For Feathers 』
▼そしてこちらは2頭のピットブルがボーカルのCaninusの曲、『No Dogs,No Masters 』
▼2つのバンドが組んだ曲、『Bird Seeds of Vengeance』